九州大学 1981年 理系 第5問 解説

方針・初手
袋から玉を取り出して元に戻す反復試行(復元抽出)の問題です。各試行において、$A$、$B$ がそれぞれ勝つ確率と、勝負がつかずにゲームが続行する確率を把握することが第一歩です。 ゲームが $n$ セット目まで長引く確率は等比数列をなすため、求める確率は等比数列の一般項として表されます。その後、無限等比級数の和を計算し、最後の整数問題(不定方程式)へとつなげます。
解法1
各回の試行において、 $A$ が玉を取り出して勝つ(白玉を取り出す)確率は $\frac{a}{12}$ である。 $A$ が勝たずにゲームが続行する(白玉以外を取り出す)確率は $1 - \frac{a}{12} = \frac{12-a}{12}$ である。 $B$ が玉を取り出して勝つ(赤玉を取り出す)確率は $\frac{b}{12}$ である。 $B$ が勝たずにゲームが続行する(赤玉以外を取り出す)確率は $1 - \frac{b}{12} = \frac{12-b}{12}$ である。
(1)
1回目で $A$ が勝つのは、最初に取り出した玉が白玉であるときなので、
$$p_1 = \frac{a}{12}$$
2回目で $B$ が勝つのは、1回目で $A$ が白玉以外を取り出し、2回目で $B$ が赤玉を取り出すときである。独立試行であるから、
$$q_1 = \frac{12-a}{12} \cdot \frac{b}{12} = \frac{b(12-a)}{144}$$
(2)
$(2n-1)$ 回目で $A$ が勝つためには、「$A$ が勝たず、次に $B$ が勝たない」という1セットの試行が $(n-1)$ 回繰り返された後、次の $A$ の番で白玉を取り出せばよい。 1セットの試行で勝負がつかずにゲームが続行する確率は、
$$\frac{12-a}{12} \cdot \frac{12-b}{12} = \frac{(12-a)(12-b)}{144}$$
したがって、$(2n-1)$ 回目で $A$ が勝つ確率 $p_n$ は、
$$p_n = \left\{ \frac{(12-a)(12-b)}{144} \right\}^{n-1} \cdot \frac{a}{12}$$
(3)
$2n$ 回目で $B$ が勝つためには、最初の $(n-1)$ セットで勝負がつかず、さらに $(2n-1)$ 回目の $A$ の番でも勝負がつかず、$2n$ 回目で $B$ が赤玉を取り出せばよい。 したがって、$2n$ 回目で $B$ が勝つ確率 $q_n$ は、
$$q_n = \left\{ \frac{(12-a)(12-b)}{144} \right\}^{n-1} \cdot \frac{12-a}{12} \cdot \frac{b}{12} = \frac{b(12-a)}{144} \left\{ \frac{(12-a)(12-b)}{144} \right\}^{n-1}$$
(4)
$a \geqq 1, b \geqq 1, c \geqq 1, a+b+c=12$ より、$a, b$ は自然数であり、$a+b \leqq 11$ である。 よって、$1 \leqq a \leqq 10$ かつ $1 \leqq b \leqq 10$ であるから、$2 \leqq 12-a \leqq 11$ かつ $2 \leqq 12-b \leqq 11$ が成り立つ。 これにより、数列 $\{p_n\}, \{q_n\}$ の公比を $r = \frac{(12-a)(12-b)}{144}$ とおくと、$0 < r < 1$ である。 公比の絶対値が $1$ より小さいため、無限等比級数 $S, T$ は収束する。
$$S = \frac{p_1}{1 - r} = \frac{\frac{a}{12}}{1 - \frac{(12-a)(12-b)}{144}} = \frac{12a}{144 - (144 - 12a - 12b + ab)}$$
分母を整理して、
$$S = \frac{12a}{12a + 12b - ab}$$
同様に、
$$T = \frac{q_1}{1 - r} = \frac{\frac{b(12-a)}{144}}{1 - \frac{(12-a)(12-b)}{144}}$$
分母分子に $144$ を掛けて整理すると、
$$T = \frac{b(12-a)}{12a + 12b - ab}$$
(5)
$S = T$ のとき、(4)で求めた式の分母は $144 - (12-a)(12-b) > 0$ であり $0$ にならないため、分子同士が等しくなればよい。
$$12a = b(12-a)$$
$$12a = 12b - ab$$
$$ab + 12a - 12b = 0$$
左辺を因数分解の形に変形する。
$$a(b + 12) - 12b = 0$$
$$a(b + 12) - 12(b + 12) + 144 = 0$$
$$(a - 12)(b + 12) = -144$$
両辺に $-1$ を掛けて、
$$(12 - a)(b + 12) = 144$$
ここで、$a, b$ のとりうる値の範囲を絞り込む。 $c \geqq 1, a+b+c=12$ より $a+b \leqq 11$ である。 $a \geqq 3$ とあわせると、$b \leqq 11 - 3 = 8$ となるため、$4 \leqq b \leqq 8$ である。 $b \geqq 4$ とあわせると、$a \leqq 11 - 4 = 7$ となるため、$3 \leqq a \leqq 7$ である。
したがって、$b+12$ は整数の範囲で $16 \leqq b+12 \leqq 20$ を満たす。 また、$12-a$ は整数の範囲で $5 \leqq 12-a \leqq 9$ を満たす。
$144$ の約数のうち、$16$ 以上 $20$ 以下となるのは $16$ と $18$ のみである。
(i) $b + 12 = 16$ のとき $b = 4$ である。 このとき、$12 - a = \frac{144}{16} = 9$ より、$a = 3$ となる。 これは $3 \leqq a \leqq 7$ を満たし、$a+b = 7 \leqq 11$ も満たす。
(ii) $b + 12 = 18$ のとき $b = 6$ である。 このとき、$12 - a = \frac{144}{18} = 8$ より、$a = 4$ となる。 これは $3 \leqq a \leqq 7$ を満たし、$a+b = 10 \leqq 11$ も満たす。
以上より、条件を満たす $(a, b)$ の組が求められる。
解説
確率・漸化式・極限・整数問題の要素が詰まった総合問題です。 序盤の確率の立式では、「玉を袋に戻す(復元抽出)」という条件から、各試行の確率が常に一定であることに気づくことが重要です。$A$ が赤玉や黒玉を引いても「負け」ではなく「ゲーム続行」である点に注意して事象を整理しましょう。 後半の (5) は $xy + cx + dy = 0$ 型の不定方程式の典型問題です。$(x+d)(y+c) = cd$ の形に無理やり因数分解して約数を探す手法は頻出なので、確実にマスターしておきたい処理です。また、約数をすべて書き出す前に $a, b, c$ の条件から変数の範囲を絞り込むことで、計算量を大幅に減らすことができます。
答え
(1)
$$p_1 = \frac{a}{12}, \quad q_1 = \frac{b(12-a)}{144}$$
(2)
$$p_n = \frac{a}{12} \left\{ \frac{(12-a)(12-b)}{144} \right\}^{n-1}$$
(3)
$$q_n = \frac{b(12-a)}{144} \left\{ \frac{(12-a)(12-b)}{144} \right\}^{n-1}$$
(4)
$$S = \frac{12a}{12a + 12b - ab}, \quad T = \frac{b(12-a)}{12a + 12b - ab}$$
(5)
$$(a, b) = (3, 4), (4, 6)$$
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