九州大学 1981年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) では、関数の積の微分公式 $\{u(x)v(x)\}' = u'(x)v(x) + u(x)v'(x)$ を用いて導関数を計算する。
(2) では、(1) で求めた $f'(x)$ を与えられた微分方程式に代入し、$x$ についての恒等式として扱う。指数関数 $e^x$ は常に正であるため、両辺を $e^x$ で割って多項式の係数比較に持ち込む。
(3) 以降は、(2) で定まった $f(x)$ についての基本的な微積分操作となる。極値を求めるために第1次導関数 $f'(x)$ の符号変化を調べ、グラフの凹凸を調べるために第2次導関数 $f''(x)$ の符号変化を調べる。グラフの描画においては、極限 $\lim_{x \to \pm\infty} f(x)$ を調べて漸近線も把握する。
解法1
(1)
$f(x) = (ax + bx^2)e^x$ に対して、積の微分法を用いる。
$$\begin{aligned} f'(x) &= (ax + bx^2)'e^x + (ax + bx^2)(e^x)' \\ &= (a + 2bx)e^x + (ax + bx^2)e^x \\ &= \{bx^2 + (a+2b)x + a\}e^x \end{aligned}$$
(2)
$y = f(x)$ であるから、$\frac{dy}{dx} = f'(x)$ である。これを与えられた微分方程式 $\frac{dy}{dx} = y + e^x$ に代入する。
$$\{bx^2 + (a+2b)x + a\}e^x = (ax + bx^2)e^x + e^x$$
右辺を $e^x$ でくくって整理する。
$$\{bx^2 + (a+2b)x + a\}e^x = (bx^2 + ax + 1)e^x$$
すべての実数 $x$ に対して $e^x > 0$ であるから、両辺を $e^x$ で割ることができる。
$$bx^2 + (a+2b)x + a = bx^2 + ax + 1$$
式を整理して、$x$ についてまとめる。
$$2bx + a - 1 = 0$$
これが $x$ についての恒等式となるための条件は、すべての係数が $0$ となることである。
$$\begin{cases} 2b = 0 \\ a - 1 = 0 \end{cases}$$
これを解いて、$a = 1, b = 0$ を得る。
(3)
(2) の結果より、$f(x) = xe^x$ である。 この関数の導関数は、(1) の結果に $a=1, b=0$ を代入するか、直接計算することで得られる。
$$f'(x) = 1 \cdot e^x + x \cdot e^x = (x+1)e^x$$
$f'(x) = 0$ とすると、$e^x > 0$ であるから $x+1 = 0$、すなわち $x = -1$ である。 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
増減表より、$f(x)$ は $x = -1$ で極小となる。 極小値は $f(-1) = -1 \cdot e^{-1} = -\frac{1}{e}$ である。 極大値はない。
(4)
(3) より、$f'(x) = (x+1)e^x$ であるから、これをさらに微分して第2次導関数を求める。積の微分法を用いる。
$$\begin{aligned} f''(x) &= (x+1)'e^x + (x+1)(e^x)' \\ &= 1 \cdot e^x + (x+1)e^x \\ &= (x+2)e^x \end{aligned}$$
(5)
関数のグラフをかくために、(3) と (4) の結果を合わせて、凹凸を含めた増減表を作成する。 $f''(x) = 0$ とすると、$e^x > 0$ より $x+2 = 0$、すなわち $x = -2$ である。 $f(-2) = -2e^{-2} = -\frac{2}{e^2}$
| $x$ | $\cdots$ | $-2$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f''(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\searrow$(上に凸) | $-\frac{2}{e^2}$ | $\searrow$(下に凸) | $-\frac{1}{e}$ | $\nearrow$(下に凸) |
また、極限を調べる。
$$\lim_{x \to \infty} f(x) = \lim_{x \to \infty} xe^x = \infty$$
$x \to -\infty$ の極限については、$t = -x$ とおくと、$x \to -\infty$ のとき $t \to \infty$ となる。
$$\lim_{x \to -\infty} xe^x = \lim_{t \to \infty} (-t)e^{-t} = \lim_{t \to \infty} -\frac{t}{e^t} = 0$$
したがって、$x$ 軸(直線 $y=0$)が漸近線となる。 さらに、$y$ 切片を求めると $f(0) = 0 \cdot e^0 = 0$ より、原点 $(0,0)$ を通る。
以上の情報(極小点 $(-1, -\frac{1}{e})$、変曲点 $(-2, -\frac{2}{e^2})$、原点を通る、直線 $y=0$ を漸近線にもつ)を総合してグラフの概形を描く。
解説
本問は微分法とその応用に関する標準的な問題である。
前半の (1) と (2) は、積の微分を正確に行い、恒等式の性質を用いて未定係数を決定する基本的な操作を問うている。「微分方程式を満たす」という表現に惑わされず、単に式に代入して恒等式として扱えばよい。
後半の (3) から (5) は、指数関数が絡む関数のグラフを描く典型問題である。増減、極値、凹凸、変曲点を調べる一連の操作を確実に行えるかがポイントとなる。 特にグラフを描く際には、定義域の端(本問では $\pm \infty$)における極限を調べ、漸近線の有無を確認することが不可欠である。$\lim_{x \to -\infty} xe^x = 0$ は、多項式よりも指数関数の方が発散のスピードが速いという事実に基づく有名な極限であり、置換積分で符号のミスに気をつけながら丁寧に導出するとよい。
答え
(1) $f'(x) = \{bx^2 + (a+2b)x + a\}e^x$
(2) $a = 1, b = 0$
(3) 極小値 $-\frac{1}{e}$ (極大値はなし)
(4) $f''(x) = (x+2)e^x$
(5) 極小点 $\left(-1, -\frac{1}{e}\right)$、変曲点 $\left(-2, -\frac{2}{e^2}\right)$ をもち、原点 $(0,0)$ を通り、$x \to -\infty$ で $x$ 軸を漸近線とする曲線(詳細は解法1の増減表と極限の記述を参照)。
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