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東京工業大学 1986年 理系 第3問 解説

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東京工業大学 1986年 理系 第3問 解説

方針・初手

四辺形 $ABCD$ は、辺 $AB$ と辺 $CD$ がともに $x$ 軸に垂直であるため、台形として面積を求めることができる。

台形の面積と定積分で表される面積の比が一定であるという条件から、比例定数 $k$ を用いて恒等式を立てる。積分区間の幅が $0$ に近づく極限($x \to a$)を考えることで、定数 $k$ の値を特定するのが第一歩となる。

その後は、定積分を含む等式の両辺を微分し、関数 $f(x)$ が満たす条件を導出するという定石に従う。

解法1

条件 (ii) について、点 $A(a, f(a))$, $B(a, 0)$, $C(x, 0)$, $D(x, f(x))$ を頂点とする四辺形 $ABCD$ は、$AB \parallel CD$ の台形である。

この台形の面積 $S_1$ は、

$$ S_1 = \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} (x - a) $$

となる。また、関数 $y = f(x)$ のグラフと線分 $AB$, $BC$, $CD$ で囲まれる部分の面積 $S_2$ は、

$$ S_2 = \int_a^x f(t) dt $$

となる。

面積の比 $S_1 : S_2$ が $a, x$ によらず一定であるから、ある定数 $k$ を用いて $S_1 = k S_2$ と表せる。すなわち、任意の $0 \leqq a < x \leqq 1$ に対して、

$$ \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} (x - a) = k \int_a^x f(t) dt $$

が成り立つ。両辺を $x - a$ $(> 0)$ で割ると、

$$ \frac{f(a) + f(x)}{2} = k \cdot \frac{1}{x - a} \int_a^x f(t) dt $$

となる。ここで $x \to a+0$ の極限をとる。$f(x)$ は微分可能であるから連続であり、左辺は $f(a)$ に収束する。右辺は微分の定義(あるいは積分の平均値の定理)より $k f(a)$ に収束する。したがって、

$$ f(a) = k f(a) $$

となる。関数 $f(x)$ は正の値をとるため $f(a) > 0$ であり、$k = 1$ が得られる。

よって、面積に関する等式は以下のようになる。

$$ \int_a^x f(t) dt = \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} (x - a) $$

この等式の両辺を $x$ について微分すると、

$$ f(x) = \frac{1}{2} f'(x) (x - a) + \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} \cdot 1 $$

整理すると、

$$ f'(x) (x - a) = f(x) - f(a) $$

これが任意の $0 \leqq a < x \leqq 1$ で成り立つ。ここで $a = 0$ とおき、条件 (i) の $f(0) = 2$ を用いると、

$$ x f'(x) = f(x) - 2 $$

$$ x f'(x) - f(x) = -2 $$

$x > 0$ において、両辺を $x^2$ で割ると、

$$ \frac{x f'(x) - f(x)}{x^2} = -\frac{2}{x^2} $$

商の微分公式より、左辺は $\left\{ \frac{f(x)}{x} \right\}'$ となるため、

$$ \left\{ \frac{f(x)}{x} \right\}' = -\frac{2}{x^2} $$

両辺を $x$ について積分すると、積分定数を $C$ として、

$$ \frac{f(x)}{x} = \frac{2}{x} + C $$

$$ f(x) = Cx + 2 $$

条件 (i) より $f(1) = 1$ であるから、

$$ 1 = C \cdot 1 + 2 $$

これを解いて $C = -1$ を得る。

したがって、

$$ f(x) = -x + 2 $$

となる。このとき区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $f(x) \geqq 1 > 0$ を満たし、条件に適する。

解法2

定数 $k = 1$ を導出し、以下の等式を得るまでの手順は解法1と同様である。

$$ \int_a^x f(t) dt = \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} (x - a) $$

この等式の両辺を、今度は $a$ について微分する($x$ は定数とみなす)。

$$ -f(a) = \frac{1}{2} f'(a) (x - a) + \frac{1}{2} \{f(a) + f(x)\} \cdot (-1) $$

両辺を $2$ 倍して整理する。

$$ -2f(a) = f'(a) (x - a) - f(a) - f(x) $$

$$ f(x) = f'(a) (x - a) + f(a) $$

これが任意の $0 \leqq a < x \leqq 1$ で成り立つ。ここで $a = 0$ とおくと、

$$ f(x) = f'(0) x + f(0) $$

条件 (i) より $f(0) = 2$ であるから、

$$ f(x) = f'(0) x + 2 $$

さらに $f(1) = 1$ であるから、

$$ 1 = f'(0) \cdot 1 + 2 $$

これを解いて $f'(0) = -1$ を得る。

したがって、

$$ f(x) = -x + 2 $$

となる。このとき区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $f(x) \geqq 1 > 0$ を満たし、条件に適する。

解説

比例定数 $k=1$ が求まった時点で、「任意の区間において、曲線の下の面積が台形の面積と常に等しい」ことが分かる。これは、図形的に考えれば $y = f(x)$ のグラフが直線(1次関数)であることを強く示唆している。

数式的な処理としては、定積分を含む等式を微分して関数を取り出すのが基本である。

解法1では上端 $x$ で微分し、導かれた微分方程式を $\left( \frac{u}{v} \right)' = \frac{u'v - uv'}{v^2}$ の形を作って解いた。この「$x^2$ で割る」という式変形は頻出のテクニックである。

解法2では下端 $a$ で微分した。これにより関数 $f(x)$ が直接 $x$ の1次式として表され、微分方程式を解く手間が省けるため、非常に見通しよく解き進めることができる。

答え

$$ f(x) = -x + 2 $$

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