九州大学 1985年 理系 第6問 解説

方針・初手
$X = \tan t$(または $X = \tan x$)とおき、$\tan$ の倍角・三倍角の公式を用いて、与式を $X$ の有理関数として表すのが第一歩である。 (1)では、分母が $0$ になる点や、$\tan$ が定義されない点での値(除外点や極限)に注意しながら、関数の増減とグラフの概形を調べる。 (2)では、(1)のグラフを利用して直線 $Y=a$ との共有点の個数を求めるが、$x$ の定義域からくる $X$ の除外点(特に $X=0$ と $X=\pm 1$)での挙動に気をつけて共有点を数え上げる。
解法1
(1)
点 $P$ の座標を $(X, Y)$ とおくと、$X = \tan t$ である。 $t$ の変域 $-\frac{\pi}{2} < t < \frac{\pi}{2}$ において、$X$ はすべての実数値をとる。 $\tan$ の倍角・三倍角の公式より、
$$\tan 2t = \frac{2\tan t}{1-\tan^2 t} = \frac{2X}{1-X^2}$$
$$\tan 3t = \tan(2t+t) = \frac{\tan 2t + \tan t}{1-\tan 2t \tan t} = \frac{\frac{2X}{1-X^2} + X}{1-\frac{2X}{1-X^2} \cdot X} = \frac{X(3-X^2)}{1-3X^2}$$
これらが定義されるためには、$1-X^2 \neq 0$ かつ $1-3X^2 \neq 0$ が必要である。すなわち、$X \neq \pm 1$ かつ $X \neq \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 このとき、
$$Y = \frac{\tan 3t}{\tan 2t} = \frac{X(3-X^2)}{1-3X^2} \cdot \frac{1-X^2}{2X}$$
$X \neq 0$ のとき、分母分子を $X$ で割ることができ、
$$Y = \frac{(3-X^2)(1-X^2)}{2(1-3X^2)}$$
となる。 一方、$t = 0$(すなわち $X = 0$)のときの $Y$ の値は、問題文の定義より
$$\lim_{t \to 0} \frac{\tan 3t}{\tan 2t} = \lim_{t \to 0} \left( \frac{\sin 3t}{3t} \cdot \frac{2t}{\sin 2t} \cdot \frac{\cos 2t}{\cos 3t} \cdot \frac{3}{2} \right) = \frac{3}{2}$$
であり、これは上の式に $X = 0$ を代入した値と一致する。 したがって、$Y$ は $X = \pm 1, \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ を除くすべての $X$ について、関数 $f(X) = \frac{X^4-4X^2+3}{2(1-3X^2)}$ として表される。
$f(X)$ は偶関数であるから、グラフは $Y$ 軸対称である。$X \ge 0$ の範囲で増減を調べる。
$$f'(X) = \frac{4X(X^2-2) \cdot 2(1-3X^2) - (X^4-4X^2+3) \cdot 2(-6X)}{4(1-3X^2)^2}$$
$$f'(X) = \frac{2X(5-3X^2)(X^2+1)}{(1-3X^2)^2}$$
$X \ge 0$ において、$f'(X) = 0$ となるのは $X = 0, \sqrt{\frac{5}{3}}$ のときである。 増減表は次のようになる。
| $X$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{1}{\sqrt{3}}$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ | $\sqrt{\frac{5}{3}}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(X)$ | $0$ | $+$ | $\times$ | $+$ | $+$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $f(X)$ | $\frac{3}{2}$ | $\nearrow$ | $\times$ | $\nearrow$ | $0$ (除外) | $\nearrow$ | $\frac{1}{9}$ | $\searrow$ |
$X = \pm 1$ のときは $\tan 2t$ が未定義となるため、グラフにおいて点 $(\pm 1, 0)$ は除外される。 また、$X = \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ は漸近線であり、
$$\lim_{X \to \frac{1}{\sqrt{3}} - 0} f(X) = \infty, \quad \lim_{X \to \frac{1}{\sqrt{3}} + 0} f(X) = -\infty$$
となる。さらに、多項式の割り算より
$$f(X) = -\frac{1}{6}X^2 + \frac{11}{18} + \frac{8}{9(1-3X^2)}$$
となるため、$\lim_{X \to \infty} f(X) = -\infty$ である。 以上より、グラフの概形は、極小点 $(0, \frac{3}{2})$、極大点 $\left(\pm\sqrt{\frac{5}{3}}, \frac{1}{9}\right)$ をもち、漸近線 $X = \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ に従う曲線となる。ただし点 $(\pm 1, 0)$ は白丸で除外される。
(2)
$-\frac{\pi}{2} < x < \frac{\pi}{2}$ において、方程式 $a = \frac{\tan 3x}{\tan 2x}$ を満たす $x$ を考える。 右辺が定義されるためには、分母 $\tan 2x \neq 0$ かつ、$\tan 2x, \tan 3x$ が定義されている必要がある。 すなわち、$x \neq 0, \pm\frac{\pi}{4}, \pm\frac{\pi}{6}$ である。 $X = \tan x$ とおくと、$x$ の変域 $-\frac{\pi}{2} < x < \frac{\pi}{2}$ において $x$ と $X$ は $1$ 対 $1$ に対応する。 上の条件より $X \neq 0, \pm 1, \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ となる。 このとき、与えられた方程式は
$$a = \frac{(3-X^2)(1-X^2)}{2(1-3X^2)} = f(X)$$
と同値である。 したがって、求める $x$ の個数は、(1) で調べた関数 $Y = f(X)$ のグラフと直線 $Y = a$ の共有点のうち、$X = 0, \pm 1, \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ を除くものの個数に等しい。 (1) のグラフの性質と増減表から、除外すべき $X$ に対する $Y$ の値は、 ・$X = 0$ のとき $Y = \frac{3}{2}$ ・$X = \pm 1$ のとき $Y = 0$ である($X = \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ は漸近線であり共有点をもたない)。 これに注意して直線 $Y = a$ との共有点の個数を調べると、以下のようになる。
(i) $a > \frac{3}{2}$ のとき $-\frac{1}{\sqrt{3}} < X < 0$ および $0 < X < \frac{1}{\sqrt{3}}$ の範囲で1つずつ交わるため、計2個。
(ii) $a = \frac{3}{2}$ のとき 共有点は $X = 0$ のみであるが、除外条件により0個。
(iii) $\frac{1}{9} < a < \frac{3}{2}$ のとき グラフより共有点は存在しないため、0個。
(iv) $a = \frac{1}{9}$ のとき $X = \pm\sqrt{\frac{5}{3}}$ で接するため、計2個。
(v) $0 < a < \frac{1}{9}$ のとき $1 < |X| < \sqrt{\frac{5}{3}}$ および $|X| > \sqrt{\frac{5}{3}}$ の範囲で各側2つずつ交わるため、計4個。
(vi) $a = 0$ のとき $f(X) = 0$ を解くと $X = \pm 1, \pm\sqrt{3}$ となるが、$X = \pm 1$ は除外されるため、$X = \pm\sqrt{3}$ の計2個。
(vii) $a < 0$ のとき $\frac{1}{\sqrt{3}} < |X| < 1$ および $|X| > \sqrt{\frac{5}{3}}$ の範囲で各側2つずつ交わるため、計4個。
解説
媒介変数で表された曲線の図示と、それを利用した方程式の実数解の個数を問う問題である。 (1)では、分母が $0$ になる点や $\tan$ 自体が定義されない点について、除外点や漸近線として丁寧に扱うことが求められる。$t=0$ での極限が与えられているため、グラフ上に $(0, \frac{3}{2})$ という点は存在するが、$\tan 2t$ が未定義となる $t = \pm\frac{\pi}{4}$ に対応する点 $(\pm 1, 0)$ はグラフから除外される。 (2)では、$a = \frac{\tan 3x}{\tan 2x}$ という方程式を考えるため、分母が $0$ となる $x=0$ は不適となる。このため、(1)のグラフで存在した $(0, \frac{3}{2})$ が解のカウントから外れることや、$a=0$ のときに除外点 $X=\pm 1$ を数えないようにすることなど、細かい条件の確認が正答への鍵となる。
答え
(1) 点 $P(X, Y)$ とおくと $Y = \frac{(3-X^2)(1-X^2)}{2(1-3X^2)}$ のグラフであり、以下の特徴を持つ。 ・$Y$ 軸対称である。 ・極小点は $(0, \frac{3}{2})$、極大点は $\left(\pm\sqrt{\frac{5}{3}}, \frac{1}{9}\right)$ である。 ・漸近線は $X = \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 ・$X$ 軸とは $(\pm\sqrt{3}, 0)$ で交わるが、点 $(\pm 1, 0)$ は除外される。
(2) ・$a > \frac{3}{2}$ のとき:2個 ・$a = \frac{3}{2}$ のとき:0個 ・$\frac{1}{9} < a < \frac{3}{2}$ のとき:0個 ・$a = \frac{1}{9}$ のとき:2個 ・$0 < a < \frac{1}{9}$ のとき:4個 ・$a = 0$ のとき:2個 ・$a < 0$ のとき:4個
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