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九州大学 1996年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学2/図形と式テーマ/接線・法線テーマ/空間図形
九州大学 1996年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間図形における平面、球面、直線の関係をベクトルを用いて処理する問題です。 (1) は、接線が接平面上に含まれるという図形的な性質を利用するか、あるいは曲線上の点の位置ベクトルを媒介変数で表して微分することで示せます。 (2) は、2つの平面のなす角を、それぞれの法線ベクトルのなす角として捉え直して計算します。 (3) は、平面 $\alpha$ が通る2点の条件から平面の方程式を文字を用いて設定し、直線 $l$ が平面 $\alpha$ と平面 $\beta$ の交線であることを利用して方向ベクトルを求めます。最後に直線と平面のなす角の条件から文字の値を決定します。

解法1

(1) 球面 $S$ 上の点 $P$ における接平面を $\beta$ とすると、接平面 $\beta$ 上の任意のベクトルは、半径ベクトル $\overrightarrow{OP}$ に垂直である。 平面 $\alpha$ は点 $P$ を通る平面であり、球面 $S$ と平面 $\alpha$ が交わってできる円を $C$ とする。 点 $P$ は円 $C$ 上にあるため、平面 $\alpha$ 上の点 $P$ における円 $C$ の接線 $l$ は、球面 $S$ 上の曲線 $C$ の点 $P$ における接線でもある。 したがって、接線 $l$ は点 $P$ における球面 $S$ の接平面 $\beta$ 上に含まれる。 よって、接線 $l$ の方向ベクトルは $\overrightarrow{OP}$ に垂直であり、直線 $l$ はベクトル $\overrightarrow{OP}$ に直交する。

(2) 点 $P$ の座標は $P\left(\frac{1}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}}\right)$ である。 球面 $S$ と点 $P$ で接する平面 $\beta$ の法線ベクトル $\vec{n}_\beta$ は、$\overrightarrow{OP}$ に平行であるから、

$$\vec{n}_\beta = \sqrt{3} \overrightarrow{OP} = (1, 1, 1)$$

としてよい。 また、$xy$ 平面の法線ベクトル $\vec{n}_{xy}$ は、

$$\vec{n}_{xy} = (0, 0, 1)$$

である。 平面 $\beta$ と $xy$ 平面のなす角 $\theta$ $\left(0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}\right)$ は、2つの法線ベクトル $\vec{n}_\beta$ と $\vec{n}_{xy}$ のなす角を $\phi$ $\left(0 \le \phi \le \pi\right)$ とすると、$\cos \theta = |\cos \phi|$ を満たす。

$$\cos \phi = \frac{\vec{n}_\beta \cdot \vec{n}_{xy}}{|\vec{n}_\beta| |\vec{n}_{xy}|} = \frac{1 \cdot 0 + 1 \cdot 0 + 1 \cdot 1}{\sqrt{1^2+1^2+1^2} \sqrt{0^2+0^2+1^2}} = \frac{1}{\sqrt{3} \cdot 1} = \frac{1}{\sqrt{3}}$$

したがって、

$$\cos \theta = \frac{1}{\sqrt{3}}$$

である。

(3) 与えられた点を $A\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, 0, 0\right)$ とする。 平面 $\alpha$ は点 $P$ と点 $A$ を通る。平面 $\alpha$ の方程式を $ax + by + cz = d$ とおく。 点 $A$ を通ることから、

$$\frac{\sqrt{3}}{2}a = d \iff a = \frac{2}{\sqrt{3}}d$$

点 $P$ を通ることから、

$$\frac{1}{\sqrt{3}}a + \frac{1}{\sqrt{3}}b + \frac{1}{\sqrt{3}}c = d \iff a + b + c = \sqrt{3}d$$

$d=0$ とすると $a=0, b+c=0$ となり、平面 $\alpha$ は原点を通ることになるが、点 $A$ は原点ではないため不適。よって $d \neq 0$。 ここで $d = \sqrt{3}$ としても一般性を失わない。このとき $a = 2$ となる。 $2 + b + c = 3$ より、$c = 1 - b$。 よって、平面 $\alpha$ の法線ベクトル $\vec{n}_\alpha$ は、

$$\vec{n}_\alpha = (2, b, 1 - b)$$

とおける。 (1) より、直線 $l$ は平面 $\alpha$ 上にあり、かつ $\overrightarrow{OP}$ に垂直である。平面 $\beta$ は $P$ を通り $\overrightarrow{OP}$ に垂直な平面であるから、直線 $l$ は平面 $\beta$ 上にもある。すなわち、直線 $l$ は平面 $\alpha$ と平面 $\beta$ の交線である。 したがって、直線 $l$ の方向ベクトル $\vec{d}$ は、$\vec{n}_\alpha$ と $\vec{n}_\beta = (1, 1, 1)$ の両方に垂直であるから、

$$\begin{aligned} \vec{d} \cdot \vec{n}_\alpha &= 2x + by + (1-b)z = 0 \\ \vec{d} \cdot \vec{n}_\beta &= x + y + z = 0 \end{aligned}$$

を満たす $(x, y, z)$ を求めればよい。外積(ベクトル積)を用いると、

$$\begin{aligned} \vec{d} &= \vec{n}_\alpha \times \vec{n}_\beta \\ &= \left( b \cdot 1 - (1-b) \cdot 1, \ (1-b) \cdot 1 - 2 \cdot 1, \ 2 \cdot 1 - b \cdot 1 \right) \\ &= (2b - 1, -b - 1, 2 - b) \end{aligned}$$

と表せる。 直線 $l$ と $xy$ 平面のなす角が $\theta$ である。直線の方向ベクトル $\vec{d}$ と $xy$ 平面の法線ベクトル $\vec{n}_{xy} = (0, 0, 1)$ のなす角を $\psi$ とすると、直線と平面のなす角の定義より $\sin \theta = |\cos \psi|$ が成り立つ。

$$\cos \psi = \frac{\vec{d} \cdot \vec{n}_{xy}}{|\vec{d}| |\vec{n}_{xy}|} = \frac{2 - b}{\sqrt{(2b - 1)^2 + (-b - 1)^2 + (2 - b)^2} \cdot 1} = \frac{2 - b}{\sqrt{6b^2 - 6b + 6}}$$

(2) より $\cos \theta = \frac{1}{\sqrt{3}}$ であり、$0 \le \theta \le \frac{\pi}{2}$ であるから、

$$\sin \theta = \sqrt{1 - \left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^2} = \sqrt{\frac{2}{3}}$$

よって、次の方程式を得る。

$$\frac{|2 - b|}{\sqrt{6(b^2 - b + 1)}} = \sqrt{\frac{2}{3}}$$

両辺は正であるから、2乗して整理する。

$$\begin{aligned} \frac{(2 - b)^2}{6(b^2 - b + 1)} &= \frac{2}{3} \\ 3(4 - 4b + b^2) &= 12(b^2 - b + 1) \\ 12 - 12b + 3b^2 &= 12b^2 - 12b + 12 \\ 9b^2 &= 0 \\ b &= 0 \end{aligned}$$

$b = 0$ のとき、平面 $\alpha$ の法線ベクトルは $\vec{n}_\alpha = (2, 0, 1)$ となる。 また、先の設定より $d = \sqrt{3}$ であるから、求める平面 $\alpha$ の方程式は、

$$2x + z = \sqrt{3}$$

となる。

解法2

(1) について(微分を用いた証明) 球面 $S$ の方程式は $x^2 + y^2 + z^2 = 1$ であり、位置ベクトルを用いて $|\vec{r}|^2 = 1$ と表せる。 円 $C$ 上の任意の点 $X$ の位置ベクトルを $\vec{r}(t)$ と媒介変数表示する。 点 $X$ は球面 $S$ 上にあるので、常に

$$|\vec{r}(t)|^2 = 1$$

が成り立つ。両辺を $t$ で微分すると、

$$2 \vec{r}(t) \cdot \frac{d\vec{r}}{dt} = 0$$

点 $P$ に対応するパラメータを $t_0$ とすると、$\vec{r}(t_0) = \overrightarrow{OP}$ である。 また、$\frac{d\vec{r}}{dt}$ に $t=t_0$ を代入したベクトル $\vec{v} = \vec{r}'(t_0)$ は、曲線 $C$ 上の点 $P$ における接線ベクトルであり、これは直線 $l$ の方向ベクトルに平行である。 したがって、

$$\overrightarrow{OP} \cdot \vec{v} = 0$$

となり、接線 $l$ はベクトル $\overrightarrow{OP}$ に直交することが示された。

解説

空間ベクトルと図形の方程式の総合問題です。 (1) は、接平面の幾何学的な意味を理解しているかを問うています。「球面の接平面は、接点における半径に垂直である」という基本事項を、円の接線という状況に適用します。 (2) の「平面と平面のなす角」は、「それぞれの法線ベクトルのなす角」に帰着させて内積から求めるのが定石です。法線ベクトルは長さを揃えたり単位ベクトルにする必要はなく、計算しやすい整数比のものを選ぶとミスを防げます。 (3) は設定が少し複雑ですが、条件を1つずつ式に翻訳していくことで確実に解けます。「直線の方向ベクトル」が「2つの平面の法線ベクトルの両方に垂直である」ことを利用するのがポイントです。連立方程式から方向ベクトルを求めるか、あるいはベクトル積(外積)を用いると計算がスムーズに進みます。「直線と平面のなす角」は、直線の方向ベクトルと平面の法線ベクトルのなす角を利用してサイン($\sin$)の形で立式することに注意しましょう。

答え

(1) 解説の通り。

(2)

$$\cos \theta = \frac{1}{\sqrt{3}}$$

(3)

$$2x + z = \sqrt{3}$$

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