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九州大学 1995年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学B/確率分布・統計的推測数学B/数列テーマ/漸化式テーマ/確率漸化式
九州大学 1995年 理系 第5問 解説

方針・初手

解法1

問題の設定より、1回の操作において:

(1)

初期状態は、A袋に(赤1, 白1)、B袋に(赤1, 白1)である。 1回目の操作後、A袋の球数は1個または3個となる。

2回目の操作後の状態を、1回目の結果ごとに分類して計算する。

・A(赤赤白), B(白) の状態(確率 $\frac{1}{4}$)から: Aから白を取り出し(確率 $\frac{1}{3}$)、同じ色となる場合:Aに4個入る。確率は $\frac{1}{4} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{12}$。 Aから赤を取り出し(確率 $\frac{2}{3}$)、異なる色となる場合:Aは(赤白)になる。確率は $\frac{1}{4} \times \frac{2}{3} = \frac{1}{6}$。

・A(白白赤), B(赤) の状態(確率 $\frac{1}{4}$)から: 対称性により、Aに4個入る確率は $\frac{1}{12}$、Aが(赤白)になる確率は $\frac{1}{6}$。

・A(白), B(赤赤白) の状態(確率 $\frac{1}{4}$)から: Bから赤を取り出し(確率 $\frac{2}{3}$)、異なる色となる場合:Aは0個になる。確率は $\frac{1}{4} \times \frac{2}{3} = \frac{1}{6}$。 Bから白を取り出し(確率 $\frac{1}{3}$)、同じ色となる場合:Aは(白白)になる。確率は $\frac{1}{4} \times \frac{1}{3} = \frac{1}{12}$。

・A(赤), B(白白赤) の状態(確率 $\frac{1}{4}$)から: 対称性により、Aが0個になる確率は $\frac{1}{6}$、Aが(赤赤)になる確率は $\frac{1}{12}$。

以上を合計すると、2回操作後の各状態の確率は以下の通り。 Aが4個($p_1$):$\frac{1}{12} + \frac{1}{12} = \frac{1}{6}$ Aが赤1白1($q_1$):$\frac{1}{6} + \frac{1}{6} = \frac{1}{3}$ Aが同じ色2個($r_1$):Aが(白白)または(赤赤)より、$\frac{1}{12} + \frac{1}{12} = \frac{1}{6}$ Aが0個($s_1$):$\frac{1}{6} + \frac{1}{6} = \frac{1}{3}$

(2)

$2(n-1)$ 回まで操作が続いた後($n \geqq 2$)、操作が終了していない場合、A袋の球数は2個であり、その内訳は「赤1白1」か「同色2個」のいずれかである。

・Aが「赤1白1」の状態(確率 $q_{n-1}$)から2回操作する場合: これは初期状態からの2回操作と全く同じ条件であるため、遷移確率は(1)と同様になる。 この状態から、2回後に各状態になる確率は以下の通り。 Aが4個になる:$\frac{1}{6} q_{n-1}$ Aが赤1白1になる:$\frac{1}{3} q_{n-1}$ Aが同色2個になる:$\frac{1}{6} q_{n-1}$ Aが0個になる:$\frac{1}{3} q_{n-1}$

・Aが「同色2個」の状態(確率 $r_{n-1}$)から2回操作する場合: Aが(赤赤)、Bが(白白)である確率を $\frac{1}{2} r_{n-1}$ として考える。 1回目の操作で、Aから必ず赤、Bから必ず白を取り出すため、異なる色となり両方Bに入る。 1回後、Aは(赤)、Bは(赤白白)となる。 2回目の操作では、 Aから赤、Bから白を取り出す(確率 $1 \times \frac{2}{3} = \frac{2}{3}$):異なる色となり、Aは0個になる。 Aから赤、Bから赤を取り出す(確率 $1 \times \frac{1}{3} = \frac{1}{3}$):同じ色となり、Aは(赤赤)になる。 Aが(白白)の場合も対称性から同様に、Aが0個になる確率が $\frac{2}{3}$、Aが(白白)になる確率が $\frac{1}{3}$ となる。

したがって、この状態から2回後に各状態になる確率は以下の通り。 Aが4個になる:$0$ Aが赤1白1になる:$0$ Aが同色2個になる:$\frac{1}{3} r_{n-1}$ Aが0個になる:$\frac{2}{3} r_{n-1}$

$2n$ 回目の各状態は、上記2パターンの遷移の和として表されるため、以下の漸化式を得る。

$$\begin{cases} p_n = \frac{1}{6} q_{n-1} \\ q_n = \frac{1}{3} q_{n-1} \\ r_n = \frac{1}{6} q_{n-1} + \frac{1}{3} r_{n-1} \\ s_n = \frac{1}{3} q_{n-1} + \frac{2}{3} r_{n-1} \end{cases}$$

(3)

(2)で得た漸化式を解く。 $q_n = \frac{1}{3} q_{n-1}$ より、数列 $\{q_n\}$ は初項 $q_1 = \frac{1}{3}$、公比 $\frac{1}{3}$ の等比数列である。

$$q_n = \frac{1}{3} \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} = \frac{1}{3^n}$$

$p_n$ について、$n \geqq 2$ のとき、

$$p_n = \frac{1}{6} q_{n-1} = \frac{1}{6} \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} = \frac{1}{2 \cdot 3^n}$$

これは $n=1$ のとき $p_1 = \frac{1}{6}$ となり成立する。

$r_n$ の漸化式に $q_{n-1} = \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1}$ を代入する。

$$r_n = \frac{1}{3} r_{n-1} + \frac{1}{6} \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1}$$

両辺に $3^n$ を掛ける。

$$3^n r_n = 3^{n-1} r_{n-1} + \frac{1}{2}$$

数列 $\{3^n r_n\}$ は、初項 $3^1 r_1 = 3 \times \frac{1}{6} = \frac{1}{2}$、公差 $\frac{1}{2}$ の等差数列である。

$$3^n r_n = \frac{1}{2} + (n-1) \cdot \frac{1}{2} = \frac{n}{2}$$

$$r_n = \frac{n}{2 \cdot 3^n}$$

$s_n$ の漸化式に $q_{n-1}, r_{n-1}$ を代入する。

$$s_n = \frac{1}{3} \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} + \frac{2}{3} \cdot \frac{n-1}{2 \cdot 3^{n-1}}$$

$$s_n = \frac{1}{3^n} + \frac{n-1}{3^n} = \frac{n}{3^n}$$

これも $n=1$ のとき $s_1 = \frac{1}{3}$ となり成立する。

解説

確率の漸化式の基本となる状態推移の問題である。 「$2n$ 回まで操作が続く」という条件は、$2n$ 回目の時点での「状態」を確率変数として定義していると捉えるのがポイントである。操作は球がなくなれば終了するため、$2n$ 回で終了する確率と、$2n$ 回後もまだ2個ずつ残って操作が続く確率を区別し、適切にマルコフ連鎖を構築する。2回の操作を1セットとして状態遷移を考えることで、簡明に漸化式を立てることができる。計算量も多くなく、状態間の推移を丁寧に追えれば完答が狙える標準的な良問である。

答え

(1) $p_1 = \frac{1}{6}, \ q_1 = \frac{1}{3}, \ r_1 = \frac{1}{6}, \ s_1 = \frac{1}{3}$

(2) $p_n = \frac{1}{6} q_{n-1}, \ q_n = \frac{1}{3} q_{n-1}, \ r_n = \frac{1}{6} q_{n-1} + \frac{1}{3} r_{n-1}, \ s_n = \frac{1}{3} q_{n-1} + \frac{2}{3} r_{n-1}$

(3) $p_n = \frac{1}{2 \cdot 3^n}, \ q_n = \frac{1}{3^n}, \ r_n = \frac{n}{2 \cdot 3^n}, \ s_n = \frac{n}{3^n}$

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