九州大学 1995年 理系 第4問 解説

方針・初手
- (1) 点 $(t, f(t))$ における接線の方程式を立て、$y$ 切片を求める。その $y$ 切片が $(t^2 - 1)f(t)$ と等しいという条件から $t$ と $f(t), f'(t)$ の関係式を導き、$t$ を $x$ に置き換えて微分方程式を得る。
- (2) (1) で求めた微分方程式を変数分離形として解き、初期条件 $f(1)=1$ を用いて積分定数を決定する。
- (3) (2) で得た関数 $f(x)$ を微分して増減表を作成し、最大値を求める。
解法1
(1)
曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(t, f(t))$ における接線の方程式は、
$$y - f(t) = f'(t)(x - t)$$
すなわち
$$y = f'(t)x - t f'(t) + f(t)$$
である。この直線が $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標($y$ 切片)は、
$$- t f'(t) + f(t)$$
問題の条件より、これが点 $(0, (t^2 - 1)f(t))$ の $y$ 座標と等しいので、
$$- t f'(t) + f(t) = (t^2 - 1)f(t)$$
整理すると、
$$- t f'(t) = (t^2 - 2)f(t)$$
ここで変数 $t$ を $x$ に、$f(t)$ を $y$ に、$f'(t)$ を $y'$ に置き換えることで、関数 $y = f(x)$ の満たす微分方程式が得られる。
$$- x y' = (x^2 - 2)y$$
$x > 0$ であるから、両辺を $-x$ で割って整理する。
$$y' = \left(\frac{2}{x} - x\right)y$$
(2)
(1) で求めた微分方程式は変数分離形である。 初期条件 $f(1) = 1$ より $f(1) > 0$ であり、$y=0$ はこの初期条件を満たさない。したがって、考える区間において $y > 0$ としてよい。微分方程式の両辺を $y$ で割ると、
$$\frac{1}{y} y' = \frac{2}{x} - x$$
両辺を $x$ で積分すると、
$$\int \frac{1}{y} dy = \int \left(\frac{2}{x} - x\right) dx$$
$$\log y = 2\log x - \frac{1}{2}x^2 + C \quad (C \text{ は積分定数})$$
対数の性質から、
$$\log y = \log x^2 - \frac{1}{2}x^2 + C$$
$$y = e^{\log x^2 - \frac{1}{2}x^2 + C} = e^C \cdot x^2 e^{-\frac{1}{2}x^2}$$
$A = e^C$ ($A$ は正の定数)とおくと、
$$f(x) = A x^2 e^{-\frac{1}{2}x^2}$$
曲線が点 $(1, 1)$ を通るから $f(1) = 1$ であり、
$$A \cdot 1^2 \cdot e^{-\frac{1}{2}} = 1$$
$$A = e^{\frac{1}{2}}$$
したがって、求める関数 $f(x)$ は
$$f(x) = e^{\frac{1}{2}} x^2 e^{-\frac{1}{2}x^2} = x^2 e^{\frac{1-x^2}{2}}$$
(3)
(2) で求めた $f(x)$ を微分する。積の微分法と合成関数の微分法を用いて、
$$\begin{aligned} f'(x) &= (x^2)' e^{\frac{1-x^2}{2}} + x^2 \left(e^{\frac{1-x^2}{2}}\right)' \\ &= 2x e^{\frac{1-x^2}{2}} + x^2 e^{\frac{1-x^2}{2}} \cdot \left(-x\right) \\ &= x(2 - x^2) e^{\frac{1-x^2}{2}} \end{aligned}$$
$x > 0$ において $f'(x) = 0$ となる $x$ の値は、
$$2 - x^2 = 0$$
$x > 0$ より、
$$x = \sqrt{2}$$
$x > 0$ における $f(x)$ の増減表は次のようになる。
$$\begin{array}{c|c|c|c|c} x & (0) & \cdots & \sqrt{2} & \cdots \\ \hline f'(x) & & + & 0 & - \\ \hline f(x) & & \nearrow & \text{極大} & \searrow \end{array}$$
増減表より、$f(x)$ は $x = \sqrt{2}$ で最大となる。 そのときの最大値は、
$$f(\sqrt{2}) = (\sqrt{2})^2 e^{\frac{1 - (\sqrt{2})^2}{2}} = 2 e^{-\frac{1}{2}} = \frac{2}{\sqrt{e}}$$
解説
微分方程式の立式から解法、そして得られた関数の最大値を求めるという、微積分の典型的な総合問題である。 (1) で接線の方程式から得られる条件を素直に等式化すれば、容易に微分方程式を導くことができる。 (2) で得られる微分方程式は、最も基本的な変数分離形である。積分定数の扱いと絶対値の処理に注意して一般解を求め、初期条件から定数を確定させる。 (3) は指数関数と多項式の積で表された関数の微分である。微分計算のミスを防ぐため、導関数を共通因数でくくる形に整理することを意識するとよい。
答え
(1) $y' = \left(\frac{2}{x} - x\right)y$ (または $xy' = (2 - x^2)y$ など)
(2) $f(x) = x^2 e^{\frac{1-x^2}{2}}$
(3) $x = \sqrt{2}$ のとき、最大値 $\frac{2}{\sqrt{e}}$
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