九州大学 1999年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) は定積分を含む方程式である。被積分関数を展開し、変数 $x, y$ は $\theta$ に無関係な定数として扱う。$\theta$ の三角関数の積分 $\int_0^{2\pi} \cos^n\theta d\theta$ を計算し、方程式を整理する。 (2) は (1) で求めた曲線と直線 $y = a$ の共有点の個数を考える。$y$ を消去した $x$ の $3$ 次方程式の実数解の個数を調べる方法(解法1)と、関数のグラフを利用して定数分離の形で視覚的に交点の個数を調べる方法(解法2)がある。
解法1
(1)
与えられた定積分を $I$ とおく。
$$I = \int_0^{2\pi} \left\{ y \left( x \cos\theta + \frac{1}{2}x^2 \right) - \left( x \cos\theta + \frac{1}{2}x^2 \right)^2 \right\} \cos\theta d\theta$$
被積分関数を展開し、$\theta$ について整理する。
$$\begin{aligned} \text{被積分関数} &= \left\{ yx \cos\theta + \frac{1}{2}x^2 y - \left( x^2 \cos^2\theta + x^3 \cos\theta + \frac{1}{4}x^4 \right) \right\} \cos\theta \\ &= yx \cos^2\theta + \frac{1}{2}x^2 y \cos\theta - x^2 \cos^3\theta - x^3 \cos^2\theta - \frac{1}{4}x^4 \cos\theta \\ &= (xy - x^3) \cos^2\theta + \left( \frac{1}{2}x^2 y - \frac{1}{4}x^4 \right) \cos\theta - x^2 \cos^3\theta \end{aligned}$$
ここで、各項の $\theta$ に関する定積分を計算する。
$$\int_0^{2\pi} \cos\theta d\theta = \Big[ \sin\theta \Big]_0^{2\pi} = 0$$
$$\int_0^{2\pi} \cos^2\theta d\theta = \int_0^{2\pi} \frac{1+\cos 2\theta}{2} d\theta = \left[ \frac{1}{2}\theta + \frac{1}{4}\sin 2\theta \right]_0^{2\pi} = \pi$$
$$\int_0^{2\pi} \cos^3\theta d\theta = \int_0^{2\pi} (1-\sin^2\theta)\cos\theta d\theta = \left[ \sin\theta - \frac{1}{3}\sin^3\theta \right]_0^{2\pi} = 0$$
これらを $I$ に代入すると、
$$I = (xy - x^3) \cdot \pi + \left( \frac{1}{2}x^2 y - \frac{1}{4}x^4 \right) \cdot 0 - x^2 \cdot 0 = \pi(xy - x^3)$$
条件より $I = 2k\pi$ であるから、
$$\pi(xy - x^3) = 2k\pi$$
$$xy - x^3 = 2k$$
したがって、求める曲線の方程式は $xy = x^3 + 2k$ である。
(2)
(1) で求めた曲線 $xy = x^3 + 2k$ と直線 $y = a$ の共有点の $x$ 座標は、方程式
$$ax = x^3 + 2k$$
すなわち
$$x^3 - ax + 2k = 0 \quad \cdots (*)$$
の実数解である。共有点が $1$ 個である条件は、方程式 $(*)$ の実数解がただ $1$ つであることである。 $h(x) = x^3 - ax + 2k$ とおく。
$$h'(x) = 3x^2 - a$$
(i) $a \leqq 0$ のとき
すべての実数 $x$ に対して $h'(x) \geqq 0$ となるため、$h(x)$ は単調に増加する。 $\lim_{x\to-\infty} h(x) = -\infty$、$\lim_{x\to\infty} h(x) = \infty$ であるから、$h(x) = 0$ はただ $1$ つの実数解をもつ。 よって、$a \leqq 0$ は条件を満たす。
(ii) $a > 0$ のとき
$h'(x) = 0$ となるのは $x = \pm \sqrt{\frac{a}{3}}$ のときである。 $h(x)$ は $x = -\sqrt{\frac{a}{3}}$ で極大、$x = \sqrt{\frac{a}{3}}$ で極小となる。 $3$ 次方程式 $(*)$ がただ $1$ つの実数解をもつ条件は、極大値と極小値が同符号になることである。 $k \geqq 0$ かつ $a > 0$ であるから、極大値は常に正となる。
$$h\left(-\sqrt{\frac{a}{3}}\right) = -\frac{a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} + a\sqrt{\frac{a}{3}} + 2k = \frac{2}{3}a\sqrt{\frac{a}{3}} + 2k > 0$$
よって、(極大値)$\times$(極小値)$> 0$ となるためには、(極小値)$> 0$ であればよい。
$$h\left(\sqrt{\frac{a}{3}}\right) = \frac{a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} - a\sqrt{\frac{a}{3}} + 2k = 2k - \frac{2}{3}a\sqrt{\frac{a}{3}} > 0$$
$$2k > \frac{2}{3}a\sqrt{\frac{a}{3}}$$
$$3k > a\sqrt{\frac{a}{3}}$$
両辺ともに正であるから、両辺を $2$ 乗して整理する。
$$9k^2 > \frac{a^3}{3}$$
$$a^3 < 27k^2$$
$$a < 3k^{\frac{2}{3}}$$
(ii) の前提 $a > 0$ と合わせると、$0 < a < 3k^{\frac{2}{3}}$ となる。この条件を満たす $a$ が存在するためには $k > 0$ が必要である。
以上 (i), (ii) より、求める $a$ の範囲は以下のようになる。 $k = 0$ のとき、$a \leqq 0$ $k > 0$ のとき、$a < 3k^{\frac{2}{3}}$
解法2
(2) の別解(定数分離とグラフの利用)
曲線の方程式 $xy = x^3 + 2k$ において、$x = 0$ とすると $0 = 2k$ となる。 これを踏まえ、$k=0$ と $k>0$ の場合で曲線の形状が変わるため場合分けをする。
(i) $k=0$ のとき
曲線の方程式は $xy = x^3$ すなわち $x(y - x^2) = 0$ となる。 これは直線 $x = 0$ と放物線 $y = x^2$ を表す。 これらと直線 $y = a$ の共有点を調べる。 $a > 0$ のとき、共有点は $(0, a), (\sqrt{a}, a), (-\sqrt{a}, a)$ の $3$ 個。 $a = 0$ のとき、共有点は $(0, 0)$ の $1$ 個。 $a < 0$ のとき、共有点は $(0, a)$ の $1$ 個。 よって、共有点が $1$ 個となるのは $a \leqq 0$ のときである。
(ii) $k>0$ のとき
曲線上に $x = 0$ となる点は存在しないため、$x \neq 0$ として両辺を $x$ で割ると、
$$y = x^2 + \frac{2k}{x}$$
$g(x) = x^2 + \frac{2k}{x}$ とおき、曲線 $y = g(x)$ と直線 $y = a$ の共有点の個数を調べる。
$$g'(x) = 2x - \frac{2k}{x^2} = \frac{2(x^3 - k)}{x^2}$$
$g'(x) = 0$ となるのは $x = k^{\frac{1}{3}}$ のときである。 $x \neq 0$ における $g(x)$ の増減は以下のようになる。 $x < 0$ のとき、$g'(x) < 0$ より単調減少。$\lim_{x\to -\infty}g(x) = \infty$, $\lim_{x\to -0}g(x) = -\infty$ $0 < x < k^{\frac{1}{3}}$ のとき、$g'(x) < 0$ より単調減少。$\lim_{x\to +0}g(x) = \infty$ $x > k^{\frac{1}{3}}$ のとき、$g'(x) > 0$ より単調増加。$\lim_{x\to \infty}g(x) = \infty$
したがって、$g(x)$ は $x = k^{\frac{1}{3}}$ で極小値をとる。
$$g(k^{\frac{1}{3}}) = k^{\frac{2}{3}} + \frac{2k}{k^{\frac{1}{3}}} = 3k^{\frac{2}{3}}$$
$y = g(x)$ のグラフの形状から、直線 $y = a$ との共有点がただ $1$ 個となるための条件は、極小値よりも直線が下にあることである。
$$a < 3k^{\frac{2}{3}}$$
以上 (i), (ii) より、求める $a$ の範囲は以下のようになる。 $k = 0$ のとき、$a \leqq 0$ $k > 0$ のとき、$a < 3k^{\frac{2}{3}}$
解説
(1) は一見複雑な積分方程式に見えるが、$x, y$ は積分変数 $\theta$ とは無関係の定数として扱うことができる。被積分関数を展開し、$\cos\theta, \cos^2\theta, \cos^3\theta$ の定積分に帰着させることで曲線の方程式が導かれる。 (2) は $x$ と $y$ の関係式から $3$ 次方程式の実数解の個数を問う問題に帰着する。解法1のように方程式の実数解の個数として処理する方法と、解法2のように曲線を捉え直してグラフの交点として視覚的に処理する方法がある。どちらの解法においても、$k=0$ と $k>0$ で状況が変化することに気付き、適切に場合分けを行うことが重要である。
答え
(1)
$$xy = x^3 + 2k$$
(2) $k = 0$ のとき、$a \leqq 0$ $k > 0$ のとき、$a < 3k^{\frac{2}{3}}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











