九州大学 1998年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) 与えられた放物線の方程式を微分して接線の傾きを求め、接線の方程式を立てたのち、$y$ 軸方向への平行移動を行う。
(2) 放物線と直線の式から $y$ を消去した $x$ についての 2 次方程式が、正の異なる 2 つの実数解をもつための条件(判別式、軸の位置、$x=0$ での符号)を調べる。
(3) 2 曲線で囲まれる面積であるから、交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ とおき、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を利用して定積分を計算する。
(4) 面積を計算する際の被積分関数(2 曲線の $y$ 座標の差)の対称性に着目すると、積分計算をせずに 2 等分する直線を求めることができる。
解法1
(1)
$y = x^2 - 2px$ を $x$ で微分すると、$y' = 2x - 2p$ となる。
点 $(t, t^2 - 2pt)$ における接線の傾きは $2t - 2p$ であるから、その接線の方程式は
$$y - (t^2 - 2pt) = 2(t - p)(x - t)$$
$$y = 2(t - p)x - 2t^2 + 2pt + t^2 - 2pt$$
$$y = 2(t - p)x - t^2$$
この直線を $y$ 軸方向に $b$ だけ平行移動した直線 $l(t, b)$ の方程式は、$y$ を $y - b$ に置き換えて(または右辺に $b$ を加えて)、
$$y = 2(t - p)x - t^2 + b$$
(2)
放物線 $y = x^2 - 2px$ と直線 $l(t, b)$ が交わる点の $x$ 座標は、次の方程式の実数解である。
$$x^2 - 2px = 2(t - p)x - t^2 + b$$
これを整理して、
$$x^2 - 2tx + t^2 - b = 0 \quad \cdots ①$$
放物線と直線 $l(t, b)$ が $x$ 座標が正の 2 点で交わるための条件は、2 次方程式①が正の異なる 2 つの実数解をもつことである。
$f(x) = x^2 - 2tx + t^2 - b$ とおく。条件は以下の 3 つがすべて成り立つことである。
(i) $f(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ (ii) $y = f(x)$ の軸が $x > 0$ の範囲にある (iii) $f(0) > 0$
(i) について
$$\frac{D}{4} = (-t)^2 - (t^2 - b) = b > 0$$
(ii) について $f(x) = (x - t)^2 - b$ より、軸は直線 $x = t$ であるから、
$$t > 0$$
(iii) について
$$f(0) = t^2 - b > 0$$
すなわち、$b < t^2$
以上 (i), (ii), (iii) より、求める $t, b$ の範囲は
$$t > 0 \text{ かつ } 0 < b < t^2$$
(3)
方程式①の異なる 2 つの実数解を $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ とすると、放物線と直線 $l(t, b)$ は $x = \alpha, \beta$ で交わる。
解の公式より $\alpha = t - \sqrt{b}, \beta = t + \sqrt{b}$ であり、$\beta - \alpha = 2\sqrt{b}$ である。
$\alpha \leqq x \leqq \beta$ の範囲において直線 $l(t, b)$ が放物線の上側にあるため、囲む図形の面積 $S$ は、
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} \{ 2(t - p)x - t^2 + b - (x^2 - 2px) \} dx$$
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} ( -x^2 + 2tx - t^2 + b ) dx$$
$$S = - \int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx$$
公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$ を用いて、
$$S = \frac{1}{6} (\beta - \alpha)^3$$
ここに $\beta - \alpha = 2\sqrt{b}$ を代入して、
$$S = \frac{1}{6} (2\sqrt{b})^3 = \frac{8b\sqrt{b}}{6} = \frac{4}{3}b\sqrt{b}$$
(4)
(3)の定積分において、被積分関数である 2 曲線の $y$ 座標の差を $g(x) = -x^2 + 2tx - t^2 + b$ とおく。
これを平方完成すると、
$$g(x) = -(x - t)^2 + b$$
となり、曲線 $y = g(x)$ は直線 $x = t$ に関して対称な上に凸の放物線である。
図形の面積 $S$ は、この放物線 $y = g(x)$ と $x$ 軸($y=0$)で囲まれた部分の面積に等しい。
$x$ 軸との交点 $x = \alpha, \beta$ の中点は $\frac{\alpha + \beta}{2} = t$ であり、放物線 $y = g(x)$ の頂点の $x$ 座標に一致する。
図形が直線 $x = t$ に関して線対称であることから、面積 $S$ を 2 等分する直線は $x = t$ である。
したがって、求める $u$ は $u = t$ である。
解説
放物線と直線で囲まれた面積に関する基本的な問題です。 (2)の「正の 2 点で交わる」という条件は、2 次方程式の解の配置問題の典型であり、グラフをイメージして条件(判別式・軸・端点の値)を漏れなく立式することが重要です。 (3)では、交点の座標をそのまま代入して積分計算をすると式が煩雑になるため、定積分の $\frac{1}{6}$ 公式を適切に用いることで計算ミスを防げます。 (4)はまともに $\int_{\alpha}^{u} g(x) dx = \frac{S}{2}$ を解くことも可能ですが、被積分関数が放物線の頂点の $x$ 座標に対して対称であることを図形的に見抜ければ、計算を一切せずに結論を得ることができます。
答え
(1) $y = 2(t - p)x - t^2 + b$
(2) $t > 0 \text{ かつ } 0 < b < t^2$
(3) $S = \frac{4}{3}b\sqrt{b}$
(4) $u = t$
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