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九州大学 2005年 理系 第5問 解説

数学C/式と曲線数学2/指数対数数学3/積分法数学3/微分法テーマ/面積・体積
九州大学 2005年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) 与えられた曲線は媒介変数 $t$ を用いて表されている。求める面積は $y$ を $x$ で積分することで得られるため、置換積分法を用いて $x$ の積分を $t$ の積分に変換する。部分積分を用いて計算を進める。

(2) (1)で求めた関数 $S(a)$ を $a$ で微分して増減を、2階微分して凹凸を調べる。問題文で与えられた極限の条件を利用して、無限遠での漸近線を求める。これらの情報をもとに増減表を作成し、グラフの概形を把握する。

(3) (2)より $S(a)$ が連続関数であることがわかるため、中間値の定理を利用する。問題文で与えられた不等式 $2.5 < e < 3$ を活用して $S(2)$ と $S(3)$ の値を評価し、$S(2) < 1.35 < S(3)$ となることを示す。

解法1

(1)

曲線 $C$ は $x = t^2$、$y = e^{-t}$ と表される。 $t \geqq 0$ のとき $x \geqq 0$、$y > 0$ である。 面積 $S(a)$ は、曲線 $C$、$x$ 軸、$y$ 軸 ($x=0$)、$x = a^2$ で囲まれる図形の面積である。

$$ S(a) = \int_0^{a^2} y \, dx $$

$x = t^2$ より $dx = 2t \, dt$ である。 また、$a > 0$ であり、$x$ と $t$ の積分区間の対応は以下のようになる。

$$ \begin{array}{c|ccc} x & 0 & \to & a^2 \\ \hline t & 0 & \to & a \end{array} $$

したがって、置換積分法により次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} S(a) &= \int_0^a e^{-t} \cdot 2t \, dt \\ &= 2 \int_0^a t e^{-t} \, dt \\ &= 2 \left[ t \left( -e^{-t} \right) \right]_0^a - 2 \int_0^a 1 \cdot \left( -e^{-t} \right) \, dt \\ &= -2a e^{-a} + 2 \int_0^a e^{-t} \, dt \\ &= -2a e^{-a} + 2 \left[ -e^{-t} \right]_0^a \\ &= -2a e^{-a} - 2e^{-a} + 2 \\ &= 2 - 2(a+1)e^{-a} \end{aligned} $$

(2)

(1)より、$S(a) = 2 - 2(a+1)e^{-a}$ であるから、$a$ で微分すると以下のようになる。

$$ \begin{aligned} S'(a) &= -2 \left\{ 1 \cdot e^{-a} + (a+1) \left( -e^{-a} \right) \right\} \\ &= -2 \left( e^{-a} - ae^{-a} - e^{-a} \right) \\ &= 2a e^{-a} \end{aligned} $$

$a > 0$ において、$e^{-a} > 0$ であるから、$S'(a) > 0$ となる。 さらに、$S'(a)$ を $a$ で微分する。

$$ \begin{aligned} S''(a) &= 2 \left\{ 1 \cdot e^{-a} + a \left( -e^{-a} \right) \right\} \\ &= 2(1-a)e^{-a} \end{aligned} $$

$S''(a) = 0$ とすると、$e^{-a} > 0$ より $a = 1$ である。 $a > 0$ における $S(a)$ の増減および凹凸の表は次のようになる。

$$ \begin{array}{c|c|c|c|c|c} a & (0) & \cdots & 1 & \cdots & (\infty) \\ \hline S'(a) & & + & + & + & \\ \hline S''(a) & & + & 0 & - & \\ \hline S(a) & (0) & \text{増加(下凸)} & 2-4e^{-1} & \text{増加(上凸)} & (2) \end{array} $$

無限遠での極限は、問題の条件 $\lim_{a \to \infty} a e^{-a} = 0$ を用いると次のように求まる。

$$ \begin{aligned} \lim_{a \to \infty} S(a) &= \lim_{a \to \infty} \left\{ 2 - 2a e^{-a} - 2e^{-a} \right\} \\ &= 2 - 2 \cdot 0 - 0 \\ &= 2 \end{aligned} $$

よって、グラフは原点 $(0,0)$ から出発し、常に単調増加する。 $0 < a < 1$ の区間では下に凸、$a > 1$ の区間では上に凸であり、点 $(1, 2 - 4e^{-1})$ を変曲点にもつ。 また、直線 $S = 2$ を漸近線にもつ概形となる。

(3)

関数 $S(a) = 2 - 2(a+1)e^{-a}$ は $a > 0$ において連続である。 $a=2$ および $a=3$ のときの $S(a)$ の値を評価する。

$$ S(2) = 2 - 2(2+1)e^{-2} = 2 - \frac{6}{e^2} $$

与えられた条件より $e < 3$ であるから、$e^2 < 9$ である。 したがって、$\frac{6}{e^2} > \frac{6}{9} = \frac{2}{3}$ となるため、

$$ S(2) < 2 - \frac{2}{3} = \frac{4}{3} \fallingdotseq 1.333 \cdots < 1.35 $$

が成り立つ。

次に、$a=3$ のとき、

$$ S(3) = 2 - 2(3+1)e^{-3} = 2 - \frac{8}{e^3} $$

与えられた条件より $e > 2.5 = \frac{5}{2}$ であるから、$e^3 > \left(\frac{5}{2}\right)^3 = \frac{125}{8}$ である。 したがって、$\frac{8}{e^3} < 8 \cdot \frac{8}{125} = \frac{64}{125} = \frac{512}{1000} = 0.512$ となるため、

$$ S(3) > 2 - 0.512 = 1.488 > 1.35 $$

が成り立つ。

以上より、$S(2) < 1.35 < S(3)$ である。 関数 $S(a)$ は閉区間 $[2, 3]$ において連続であるから、中間値の定理により $S(a) = 1.35$ となる実数 $a$ が $2 < a < 3$ の範囲に少なくとも1つ存在する。(証明終)

解説

媒介変数表示された曲線の面積計算、微分による関数の概形の把握、そして中間値の定理と不等式評価を用いた証明という、微分積分の標準的な頻出テーマが詰まった総合問題である。

(1)の置換積分では積分区間の変更に注意する。部分積分を正確に実行し、符号ミスに気をつけたい。

(2)の凹凸を調べる微分では、指数関数の微分規則にしたがって丁寧に計算を進める。極限の計算では与えられた条件を利用して漸近線を明確にすることが、グラフの概形を描く上で重要になる。

(3)の存在証明では「中間値の定理」を用いるのが定石である。問題文で与えられている $e$ の値の範囲 $2.5 < e < 3$ を活用して、$S(2)$ と $S(3)$ の上限・下限を評価する。この不等式評価の過程を論理的に記述できるかがポイントとなる。

答え

(1) $S(a) = 2 - 2(a+1)e^{-a}$

(2) グラフは $0 < a < 1$ で下に凸、$a > 1$ で上に凸の単調増加する曲線であり、変曲点は $(1, 2-4e^{-1})$、漸近線は $S = 2$ である。(解答用紙にはこれらの特徴を満たす概形を描く)

(3) 中間値の定理より、$S(2) < 1.35 < S(3)$ および区間 $[2, 3]$ における $S(a)$ の連続性から示された。

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