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大阪大学 1986年 理系 第4問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形数学2/図形と式テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
大阪大学 1986年 理系 第4問 解説

方針・初手

立体 $K$ を構成する点 $Q$ を、定点 $A, B$ と半円周上の点 $P$ を用いたベクトルで表現することから始める。 切り口を調べるために $x$ 座標を $t$ と固定すると、$Q$ の $y, z$ 座標が媒介変数 $s$ のみで表されることに気づく。これにより、空間図形の問題から、$s$ を固定したときの「半円」が、$s$ を動かしたときに描く通過領域を $yz$ 平面上で求める問題へと帰着できる。

解法1

(1) $\triangle PAB$ の周および内部の点を $Q(x, y, z)$ とする。

線分 $AB$ は $-1 \leqq x \leqq 1, y=1, z=0$ 上にあるため、線分 $AB$ 上の任意の点を $R(u, 1, 0)$ ($-1 \leqq u \leqq 1$)とおくことができる。 点 $Q$ は点 $P(0, p, q)$ と点 $R$ を結ぶ線分上にあるので、実数 $s$ ($0 \leqq s \leqq 1$)を用いて次のように表せる。

$$ \vec{OQ} = s\vec{OP} + (1-s)\vec{OR} $$

各成分を計算すると、以下のようになる。

$$ \begin{cases} x = (1-s)u \\ y = sp + 1 - s \\ z = sq \end{cases} $$

平面 $x=t$ による切り口を考える。$x=t$ のとき、$(1-s)u = t$ である。 $-1 \leqq u \leqq 1$ であるから、$-(1-s) \leqq t \leqq 1-s$、すなわち $0 \leqq s \leqq 1-|t|$ を満たす。 (これにより、切り口が存在する範囲は $-1 \leqq t \leqq 1$ とわかる)

このとき、切り口上の点 $(t, y, z)$ の $y, z$ 座標は $u$ の値に依存せず、

$$ \begin{cases} y = sp + 1 - s \\ z = sq \end{cases} $$

となる。 点 $P(0, p, q)$ は半円 $p^2+q^2=2 \ (p \leqq 0)$ 上を動くため、$s$ を固定したときの点 $(y, z)$ の軌跡は、

$$ \left(\frac{y - (1-s)}{s}\right)^2 + \left(\frac{z}{s}\right)^2 = 2 \quad \text{かつ} \quad \frac{y - (1-s)}{s} \leqq 0 $$

整理すると、以下の半円(境界を含む)となる。($s=0$ のときは点 $(1, 0)$ を表す)

$$ (y - (1-s))^2 + z^2 = 2s^2, \quad y \leqq 1-s $$

切り口の図形 $D_t$ は、この半円が $0 \leqq s \leqq 1-|t|$ の範囲で動くときの通過領域である。 方程式を $s$ について整理する。

$$ s^2 + 2(1-y)s - (y-1)^2 - z^2 = 0 $$

これを $s$ の2次方程式とみると、$s \geqq 0$ における解は以下の1つのみである。

$$ s = y - 1 + \sqrt{2(y-1)^2 + z^2} $$

この $s$ が、条件 $s \leqq 1-y$ と $s \leqq 1-|t|$ を同時に満たす $(y, z)$ の条件を求める。

(i)

$s \leqq 1-y$ の条件 不等式に代入して整理する。

$$ y - 1 + \sqrt{2(y-1)^2 + z^2} \leqq 1-y $$

$$ \sqrt{2(y-1)^2 + z^2} \leqq 2(1-y) $$

右辺が $0$ 以上となるため $y \leqq 1$ が必要である。このもとで両辺を2乗して整理する。

$$ 2(y-1)^2 + z^2 \leqq 4(y-1)^2 $$

$$ z^2 \leqq 2(y-1)^2 $$

これより、$-\sqrt{2}(1-y) \leqq z \leqq \sqrt{2}(1-y)$ を得る。

(ii)

$s \leqq 1-|t|$ の条件 同様に不等式に代入する。

$$ y - 1 + \sqrt{2(y-1)^2 + z^2} \leqq 1-|t| $$

$$ \sqrt{2(y-1)^2 + z^2} \leqq 2 - |t| - y $$

右辺が $0$ 以上となるため $y \leqq 2-|t|$ が必要である。両辺を2乗して整理する。

$$ 2(y-1)^2 + z^2 \leqq (2 - |t| - y)^2 $$

$$ 2y^2 - 4y + 2 + z^2 \leqq y^2 + 2(|t|-2)y + (2-|t|)^2 $$

$$ y^2 - 2|t|y + z^2 \leqq t^2 - 4|t| + 2 $$

$$ (y - |t|)^2 + z^2 \leqq 2(1-|t|)^2 $$

(i) および (ii) より、通過領域 $D_t$ の境界となる2つの曲線 $z^2 = 2(y-1)^2$ と $(y - |t|)^2 + z^2 = 2(1-|t|)^2$ の交点を調べる。 連立して $z^2$ を消去すると、

$$ (y - |t|)^2 + 2(y-1)^2 = 2(1-|t|)^2 $$

$$ 3y^2 - 2(|t|+2)y - t^2 + 4|t| = 0 $$

$$ (y - |t|)(3y - (4-|t|)) = 0 $$

$y \leqq 1$ より $y = |t|$ のみが適する。このとき $z = \pm \sqrt{2}(1-|t|)$ である。 したがって、$y \leqq |t|$ の範囲では (ii) の条件が厳しく、$|t| \leqq y \leqq 1$ の範囲では (i) の条件が厳しい。

以上より、平面 $x=t$ による $K$ の切り口の図形は以下の通りである。

(2) 平面 $x=t$ による切り口の面積を $S(t)$ とする。

$y \leqq |t|$ の部分は、中心 $(|t|, 0)$、半径 $\sqrt{2}(1-|t|)$ の円の左半分であるから、その面積 $S_1$ は、

$$ S_1 = \frac{1}{2} \cdot \pi \left(\sqrt{2}(1-|t|)\right)^2 = \pi(1-|t|)^2 $$

$|t| \leqq y \leqq 1$ の部分は、底辺の長さが $2\sqrt{2}(1-|t|)$、高さが $1-|t|$ の三角形であるから、その面積 $S_2$ は、

$$ S_2 = \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{2}(1-|t|) \cdot (1-|t|) = \sqrt{2}(1-|t|)^2 $$

したがって、切り口の面積 $S(t)$ は、

$$ S(t) = S_1 + S_2 = (\pi + \sqrt{2})(1-|t|)^2 $$

求める立体 $K$ の体積 $V$ は、この $S(t)$ を $-1 \leqq t \leqq 1$ の範囲で積分すればよい。$S(t)$ は偶関数であるから、

$$ V = \int_{-1}^1 S(t) dt = 2 \int_{0}^1 (\pi + \sqrt{2})(1-t)^2 dt $$

$$ V = 2(\pi + \sqrt{2}) \left[ -\frac{(1-t)^3}{3} \right]_0^1 = \frac{2(\pi + \sqrt{2})}{3} $$

解説

空間図形の切り口を正しく捉える力が問われる問題である。 全体像を空間で把握するのは困難なため、「平面 $x=t$ で切断する」という定石に従うことが肝要となる。切り口上の点を媒介変数で表現し、条件から $x$ に関係する文字を消去すると、平面上の図形の通過領域の問題に帰着できる。 通過領域の処理において、境界の交点や大小関係の確認がやや煩雑であるが、基本に忠実に条件式を処理すれば完答にたどり着くことができる。

答え

(1)

平面 $x=t$ による $K$ の切り口は、$-1 \leqq t \leqq 1$ において、以下の2つの図形を合わせた図形である。

(2)

$K$ の体積は $\frac{2(\pi + \sqrt{2})}{3}$

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