大阪大学 1987年 理系 第4問 解説

方針・初手
球 $S$ が $zx$ 平面(方程式 $y = 0$)に原点で接し、その中心が点 $P$ と同じ側にあるという条件から、まずは球 $S$ の中心 $Q$ の座標を決定する。曲線 $C$ 上の点 $R$ は媒介変数(パラメータ)を用いて表すことができるため、各点の座標を成分で表して計算を進めるのが基本方針となる。
(1) はベクトルの内積、あるいは三角形の辺の長さを余弦定理に当てはめることで $\angle QPR$ を求める。 (2) は $\angle QPR$ が一定値になることを踏まえた図形的な考察(直角三角形の性質)を用いるか、直線と球の方程式を連立して接する条件(重解)を調べることで、共有点の軌跡となる平面を特定する。 (3) は球と平面の距離を求め、定積分によって球欠(球の一部)の体積を計算する。
解法1
(1)
球 $S$ は原点で $zx$ 平面($y = 0$)に接するため、中心 $Q$ は $y$ 軸上にある。 さらに、半径が $2$ であり、$zx$ 平面に関して $y$ 座標が正である点 $P(2, 4, 0)$ と同じ側にあるため、中心 $Q$ の座標は $(0, 2, 0)$ である。
点 $R$ は $yz$ 平面上の曲線 $C : y = 4 - \frac{z^2}{4}$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $R \left(0, 4 - \frac{t^2}{4}, t \right)$ とおける。 ここで、$\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ の成分をそれぞれ求める。
$$ \vec{PQ} = (0-2, 2-4, 0-0) = (-2, -2, 0) $$
$$ \vec{PR} = \left(0-2, 4-\frac{t^2}{4}-4, t-0 \right) = \left(-2, -\frac{t^2}{4}, t \right) $$
これらより、内積 $\vec{PQ} \cdot \vec{PR}$ および各ベクトルの大きさを計算する。
$$ \vec{PQ} \cdot \vec{PR} = (-2) \cdot (-2) + (-2) \cdot \left(-\frac{t^2}{4}\right) + 0 \cdot t = 4 + \frac{t^2}{2} $$
$$ |\vec{PQ}| = \sqrt{(-2)^2 + (-2)^2 + 0^2} = \sqrt{8} = 2\sqrt{2} $$
$$ \begin{aligned} |\vec{PR}| &= \sqrt{(-2)^2 + \left(-\frac{t^2}{4}\right)^2 + t^2} \\ &= \sqrt{4 + \frac{t^4}{16} + t^2} \\ &= \sqrt{\left(2 + \frac{t^2}{4}\right)^2} \end{aligned} $$
$2 + \frac{t^2}{4} > 0$ であるから、$|\vec{PR}| = 2 + \frac{t^2}{4}$ となる。 したがって、$\vec{PQ}$ と $\vec{PR}$ のなす角を $\theta$ とすると、
$$ \cos \theta = \frac{\vec{PQ} \cdot \vec{PR}}{|\vec{PQ}| |\vec{PR}|} = \frac{4 + \frac{t^2}{2}}{2\sqrt{2} \left(2 + \frac{t^2}{4}\right)} = \frac{2 \left(2 + \frac{t^2}{4}\right)}{2\sqrt{2} \left(2 + \frac{t^2}{4}\right)} = \frac{1}{\sqrt{2}} $$
$0 \le \theta \le \pi$ より、$\theta = \frac{\pi}{4}$ である。 よって、$\angle QPR = \frac{\pi}{4}$ である。
(2)
直線 $PR$ と球 $S$ の共有点を $K(x, y, z)$ とする。 (1) より $\angle QPK = \frac{\pi}{4}$ または $\frac{3\pi}{4}$ である。 $K$ は半径 $2$ の球 $S$ 上の点であるため $QK = 2$ であり、また $PQ = 2\sqrt{2}$ である。 $\triangle PQK$ において正弦定理を用いると、
$$ \frac{QK}{\sin \angle QPK} = \frac{PQ}{\sin \angle PKQ} $$
$$ \frac{2}{\sin \frac{\pi}{4}} = \frac{2\sqrt{2}}{\sin \angle PKQ} $$
$$ 2\sqrt{2} = \frac{2\sqrt{2}}{\sin \angle PKQ} $$
これより $\sin \angle PKQ = 1$ となり、$\angle PKQ = \frac{\pi}{2}$ であることがわかる。 これは、直線 $PR$ が点 $K$ において球 $S$ に接することを意味する。 直角三角形 $PQK$ の内角に着目すると、$\angle PKQ = \frac{\pi}{2}$ かつ $\angle QPK = \frac{\pi}{4}$ であるから、$\angle PQK = \frac{\pi}{4}$ である。 したがって、内積 $\vec{QP} \cdot \vec{QK}$ は次のように計算できる。
$$ \vec{QP} \cdot \vec{QK} = |\vec{QP}| |\vec{QK}| \cos \frac{\pi}{4} = 2\sqrt{2} \cdot 2 \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} = 4 $$
$\vec{QP} = -\vec{PQ} = (2, 2, 0)$、$Q(0, 2, 0)$ より $\vec{QK} = (x, y-2, z)$ であるから、成分を用いて内積を表すと、
$$ 2x + 2(y-2) + 0 \cdot z = 4 $$
整理すると、
$$ x + y = 4 $$
点 $K$ は球 $S$ の表面上の点であると同時に、この関係式を満たす。 方程式 $x + y = 4$ は $xy$ 平面($z = 0$ の平面)に垂直な平面を表すため、これが求める平面 $\alpha$ の方程式である。 よって、$\alpha$ の方程式は $x + y = 4$ である。
(3)
平面 $\alpha : x + y - 4 = 0$ と、球 $S$ の中心 $Q(0, 2, 0)$ との距離 $d$ を求める。
$$ d = \frac{|0 + 2 - 4|}{\sqrt{1^2 + 1^2 + 0^2}} = \frac{2}{\sqrt{2}} = \sqrt{2} $$
球 $S$ の半径は $R = 2$ である。 平面 $\alpha$ で球 $S$ を切断したときの切り口は、半径 $r = \sqrt{R^2 - d^2} = \sqrt{2^2 - (\sqrt{2})^2} = \sqrt{2}$ の円である。 求めたいのは、平面 $\alpha$ によって分けられる小さいほうの部分(球欠)の体積 $V$ である。 球の中心から平面 $\alpha$ の方向への距離を $h$ とし、$h$ 軸に沿って切り口の円の面積を積分する。 中心からの距離が $h$ ($\sqrt{2} \le h \le 2$)における切り口の円の半径は $\sqrt{2^2 - h^2}$ であるから、その面積は $\pi (4 - h^2)$ となる。
$$ \begin{aligned} V &= \int_{\sqrt{2}}^{2} \pi (4 - h^2) \, dh \\ &= \pi \left[ 4h - \frac{h^3}{3} \right]_{\sqrt{2}}^{2} \\ &= \pi \left\{ \left( 8 - \frac{8}{3} \right) - \left( 4\sqrt{2} - \frac{2\sqrt{2}}{3} \right) \right\} \\ &= \pi \left( \frac{16}{3} - \frac{10\sqrt{2}}{3} \right) \\ &= \frac{2(8 - 5\sqrt{2})}{3} \pi \end{aligned} $$
解法2
(1)
解法1と同様に $Q(0, 2, 0)$、$P(2, 4, 0)$、$R \left(0, 4 - \frac{t^2}{4}, t \right)$ とする。 $\triangle PQR$ の各辺の長さの2乗を求める。
$$ PQ^2 = (0-2)^2 + (2-4)^2 + 0^2 = 8 $$
$$ \begin{aligned} QR^2 &= 0^2 + \left(4 - \frac{t^2}{4} - 2\right)^2 + t^2 \\ &= \left(2 - \frac{t^2}{4}\right)^2 + t^2 \\ &= 4 - t^2 + \frac{t^4}{16} + t^2 \\ &= 4 + \frac{t^4}{16} \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} PR^2 &= (0-2)^2 + \left(4 - \frac{t^2}{4} - 4\right)^2 + t^2 \\ &= 4 + \frac{t^4}{16} + t^2 \\ &= \left( 2 + \frac{t^2}{4} \right)^2 \end{aligned} $$
$\triangle PQR$ において余弦定理を適用する。
$$ \begin{aligned} \cos \angle QPR &= \frac{PQ^2 + PR^2 - QR^2}{2 \cdot PQ \cdot PR} \\ &= \frac{8 + \left( 4 + \frac{t^4}{16} + t^2 \right) - \left( 4 + \frac{t^4}{16} \right)}{2 \cdot 2\sqrt{2} \cdot \left( 2 + \frac{t^2}{4} \right)} \\ &= \frac{8 + t^2}{4\sqrt{2} \left( 2 + \frac{t^2}{4} \right)} \\ &= \frac{4 \left( 2 + \frac{t^2}{4} \right)}{4\sqrt{2} \left( 2 + \frac{t^2}{4} \right)} \\ &= \frac{1}{\sqrt{2}} \end{aligned} $$
よって、$\angle QPR = \frac{\pi}{4}$ である。
(2)
直線 $PR$ 上の点 $K$ の座標は、実数 $s$ を用いて $\vec{OK} = (1-s)\vec{OP} + s\vec{OR}$ と表せる。
$$ \begin{aligned} x &= 2(1-s) \\ y &= 4(1-s) + s \left( 4 - \frac{t^2}{4} \right) = 4 - \frac{t^2}{4}s \\ z &= st \end{aligned} $$
点 $K$ が球 $S : x^2 + (y-2)^2 + z^2 = 4$ 上の点であるとすると、
$$ \{2(1-s)\}^2 + \left( 2 - \frac{t^2}{4}s \right)^2 + (st)^2 = 4 $$
$$ 4 - 8s + 4s^2 + 4 - t^2 s + \frac{t^4}{16}s^2 + s^2 t^2 = 4 $$
$s$ について整理する。
$$ \left( 4 + t^2 + \frac{t^4}{16} \right) s^2 - (8 + t^2) s + 4 = 0 $$
$$ \frac{(t^2 + 8)^2}{16} s^2 - (t^2 + 8) s + 4 = 0 $$
両辺に $16$ を掛けて平方完成の形にする。
$$ (t^2 + 8)^2 s^2 - 16(t^2 + 8) s + 64 = 0 $$
$$ \{ (t^2 + 8) s - 8 \}^2 = 0 $$
この方程式は $s$ について重解 $s = \frac{8}{t^2 + 8}$ をもつ。 これは直線 $PR$ が球 $S$ と常に接し、共有点がただ1つであることを示している。 このとき、接点 $K$ の $x$ 座標と $y$ 座標は次のようになる。
$$ x = 2 \left( 1 - \frac{8}{t^2 + 8} \right) = \frac{2t^2}{t^2 + 8} $$
$$ y = 4 - \frac{t^2}{4} \cdot \frac{8}{t^2 + 8} = \frac{4(t^2 + 8) - 2t^2}{t^2 + 8} = \frac{2t^2 + 32}{t^2 + 8} $$
$x$ と $y$ の和をとると、
$$ x + y = \frac{2t^2}{t^2 + 8} + \frac{2t^2 + 32}{t^2 + 8} = \frac{4t^2 + 32}{t^2 + 8} = \frac{4(t^2 + 8)}{t^2 + 8} = 4 $$
よって、共有点 $K$ は常に平面 $x + y = 4$ 上にある。 この平面は $z$ 軸に平行であり、$xy$ 平面に垂直である。 したがって、平面 $\alpha$ の方程式は $x + y = 4$ である。
(3)
平面 $\alpha$ の方程式が求まれば、球の体積計算は解法1と同様である。 中心 $(0, 2, 0)$ から平面 $x + y - 4 = 0$ までの距離は $\sqrt{2}$、球の半径は $2$。 これを平面による切断円の面積積分として計算し、体積 $V = \frac{2(8 - 5\sqrt{2})}{3} \pi$ を得る。
解説
空間座標において、図形的な特徴を方程式に落とし込む処理能力と、計算の工夫が問われる問題である。 (1) ではベクトルの内積か余弦定理のどちらを用いてもスムーズに角度が定まる。変数がうまく相殺される快感を味わえるだろう。 (2) は本問の山場である。解法1のように、(1) で得た $\frac{\pi}{4}$ という角度と球の半径の長さを組み合わせ、直角二等辺三角形の幾何的性質から「直線が球に接する」ことを見抜ければ、計算量を大幅に削減できる。一方で、図形的直感に自信がない場合でも、解法2のように直線をパラメータ表示して球の方程式に代入し、判別式 $D=0$(重解)を導くという代数的なゴリ押しで完答可能である。 (3) は空間図形の求積の基本である。球を平面で切断した「球欠」の体積は、球の中心を基準とした高さ方向の積分によって求めるのが確実である。
答え
(1)
$\frac{\pi}{4}$
(2)
$x + y = 4$
(3)
$\frac{2(8 - 5\sqrt{2})}{3} \pi$
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