名古屋大学 1982年 文系 第3問 解説

方針・初手
2曲線の交点と上下関係を調べ、グラフの概形を把握する。 その後、区間内の各 $x$ について外側の曲線を回転させた体積から、内側の曲線を回転させた体積を引く形で立式する。 図形が $y$ 軸対称であることを利用して積分区間を半分にし、計算量を減らすとよい。
解法1
$f(x) = 1-x^2$、$g(x) = x^2-x^4$ とおく。
交点の $x$ 座標は方程式 $f(x) = g(x)$ の実数解である。
$$ 1-x^2 = x^2-x^4 $$
$$ x^4 - 2x^2 + 1 = 0 $$
$$ (x^2-1)^2 = 0 $$
よって、$x = \pm 1$ となる。 交点は $(1, 0), (-1, 0)$ であり、これらは両曲線が $x$ 軸と交わる点でもある。
次に、$-1 \leqq x \leqq 1$ における $f(x)$ と $g(x)$ の大小関係を調べる。
$$ f(x) - g(x) = (1-x^2) - (x^2-x^4) = (x^2-1)^2 \geqq 0 $$
等号成立は $x = \pm 1$ のときのみであるから、$-1 < x < 1$ において $f(x) > g(x)$ である。 また、$-1 \leqq x \leqq 1$ において $g(x) = x^2(1-x^2) \geqq 0$ であるから、この区間で $f(x) \geqq g(x) \geqq 0$ となる。
各関数の増減について調べる。 $f'(x) = -2x$ より、$f(x)$ は $x=0$ で極大値 $1$ をとる上に凸の放物線である。 $g'(x) = 2x - 4x^3 = 2x(1-2x^2)$ より、$g(x)$ は $x = \pm \frac{1}{\sqrt{2}}$ で極大値 $g\left(\pm \frac{1}{\sqrt{2}}\right) = \frac{1}{2} - \frac{1}{4} = \frac{1}{4}$ をとり、$x=0$ で極小値 $g(0) = 0$ をとる。
以上より、2曲線で囲まれた図形は $y$ 軸に関して対称であり、その概形は以下の特徴をもつ。
- 2曲線は $x$ 軸上の点 $(-1, 0), (1, 0)$ で接する。
- 上端の境界は、頂点が $(0, 1)$ の放物線 $y = 1-x^2$ である。
- 下端の境界は、原点 $(0, 0)$ で $x$ 軸に接し、点 $\left(\pm \frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{4}\right)$ を極大点とする曲線 $y = x^2-x^4$ である。
求める回転体の体積を $V$ とする。 図形の対称性より $x \geqq 0$ の部分を回転させた体積を2倍すればよい。 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $f(x) \geqq g(x) \geqq 0$ であるから、体積 $V$ は次のように表される。
$$ V = 2\pi \int_{0}^{1} \left\{ \{f(x)\}^2 - \{g(x)\}^2 \right\} dx $$
ここで、被積分関数を計算する。
$$ \begin{aligned} \{f(x)\}^2 - \{g(x)\}^2 &= (1-x^2)^2 - (x^2-x^4)^2 \\ &= (1 - 2x^2 + x^4) - (x^4 - 2x^6 + x^8) \\ &= 1 - 2x^2 + 2x^6 - x^8 \end{aligned} $$
したがって、体積 $V$ は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} V &= 2\pi \int_{0}^{1} (1 - 2x^2 + 2x^6 - x^8) dx \\ &= 2\pi \left[ x - \frac{2}{3}x^3 + \frac{2}{7}x^7 - \frac{1}{9}x^9 \right]_{0}^{1} \\ &= 2\pi \left( 1 - \frac{2}{3} + \frac{2}{7} - \frac{1}{9} \right) \\ &= 2\pi \left( \frac{1}{3} + \frac{2}{7} - \frac{1}{9} \right) \\ &= 2\pi \left( \frac{2}{9} + \frac{2}{7} \right) \\ &= 2\pi \cdot \frac{14 + 18}{63} \\ &= 2\pi \cdot \frac{32}{63} \\ &= \frac{64}{63}\pi \end{aligned} $$
解説
回転体の体積を求める典型的な問題である。 正確な立式のためには、2つの曲線がどのような位置関係にあるか(交点の座標、上下関係、および各関数の符号)を正しく調べる必要がある。 とくに交点 $x = \pm 1$ において、差の関数が $(x^2-1)^2 = 0$ となることから、2曲線がここで単に交わるだけでなく接していることが分かる。 また、回転体の体積の公式 $V = \pi \int (f(x)^2 - g(x)^2) dx$ を適用する前提として、$f(x) \geqq 0$ および $g(x) \geqq 0$ であることの確認が厳密な記述において重要となる。 図形の対称性を利用して積分区間を $0 \leqq x \leqq 1$ にすることで、代入計算の労力とミスを減らすことができる。
答え
概形の特徴:曲線 $y = 1-x^2$ (上側の境界)と曲線 $y = x^2-x^4$ (下側の境界)は点 $(\pm 1, 0)$ で接し、$y$ 軸対称な図形となる。 体積:$\frac{64}{63}\pi$
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