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名古屋大学 1987年 文系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学1/立体図形テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
名古屋大学 1987年 文系 第2問 解説

方針・初手

点 $Q$ は、立方体 $A$ の点 $P$ を平面 $x+y+z=0$ に正射影した点である。 したがって、求める図形 $B$ の面積は、立方体 $A$ を平面 $x+y+z=0$ の法線方向から投影したときの影の面積に等しい。 これを図形的に正射影の面積の公式を用いて解く方法と、立方体の各頂点の射影を座標計算して直接図形(正六角形)の面積を求める方法の2つを示す。

解法1

立方体 $A$ を平面 $\alpha: x+y+z=0$ に正射影した図形 $B$ の面積を求める。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルは $\vec{n} = (1, 1, 1)$ である。

立方体 $A$ を $\vec{n}$ 方向から平面 $\alpha$ に投影するとき、その輪郭を形成し「手前」に見える面は、頂点 $(1, 1, 1)$ に集まる3つの正方形の面(それぞれ $x=1, y=1, z=1$ 上の面)である。 これら3つの正方形を平面 $\alpha$ に正射影した図形は、平面 $\alpha$ 上で互いに重なることなく敷き詰められ、影である図形 $B$ 全体を構成する。

$xy$ 平面に平行な面($z=1$ 上の正方形)を考える。 この面の面積は $S = 1$ であり、法線ベクトルは $\vec{e}_3 = (0, 0, 1)$ である。 平面 $\alpha$ の単位法線ベクトルを $\vec{u} = \frac{1}{\sqrt{3}}(1, 1, 1)$ とすると、2つの平面のなす角 $\theta$ は、法線ベクトルどうしのなす角に等しく、

$$ \cos\theta = \vec{e}_3 \cdot \vec{u} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$

となる。

したがって、1つの正方形を平面 $\alpha$ に正射影した図形の面積 $S'$ は、

$$ S' = S \cos\theta = 1 \cdot \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{\sqrt{3}} $$

である。

$x=1$ 上の正方形、$y=1$ 上の正方形についても、対称性から正射影の面積はすべて $\frac{1}{\sqrt{3}}$ である。 これら3つの正方形の正射影は重ならずに図形 $B$ を構成するため、求める面積は

$$ 3 \times \frac{1}{\sqrt{3}} = \sqrt{3} $$

となる。

解法2

$A$ の点 $P(x, y, z)$ から平面 $x+y+z=0$ へ下ろした垂線の足を $Q$ とする。 平面の法線ベクトルは $\vec{n} = (1, 1, 1)$ であるため、実数 $t$ を用いて

$$ \overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OP} + t\vec{n} = (x+t, y+t, z+t) $$

と表せる。

$Q$ は平面 $x+y+z=0$ 上にあるので、

$$ (x+t) + (y+t) + (z+t) = 0 $$

$$ 3t = -(x+y+z) \iff t = -\frac{x+y+z}{3} $$

となる。

立体 $A$ は凸多面体であるため、その正射影である図形 $B$ も、立体 $A$ の8つの頂点の正射影を頂点(またはその内部)とする凸多角形となる。 立方体の8つの頂点について、それぞれの正射影の座標を順に計算する。

(i) 原点 $(0, 0, 0)$ および点 $(1, 1, 1)$ について

それぞれ $x+y+z=0$ および $x+y+z=3$ より、$t=0$、$t=-1$ となり、ともに正射影は原点 $Q_0(0, 0, 0)$ に移る。

(ii) 残りの6頂点について

点 $P_1(1, 0, 0)$ のとき、$t = -\frac{1}{3}$ より $Q_1\left(\frac{2}{3}, -\frac{1}{3}, -\frac{1}{3}\right)$

点 $P_2(1, 1, 0)$ のとき、$t = -\frac{2}{3}$ より $Q_2\left(\frac{1}{3}, \frac{1}{3}, -\frac{2}{3}\right)$

点 $P_3(0, 1, 0)$ のとき、$t = -\frac{1}{3}$ より $Q_3\left(-\frac{1}{3}, \frac{2}{3}, -\frac{1}{3}\right)$

点 $P_4(0, 1, 1)$ のとき、$t = -\frac{2}{3}$ より $Q_4\left(-\frac{2}{3}, \frac{1}{3}, \frac{1}{3}\right)$

点 $P_5(0, 0, 1)$ のとき、$t = -\frac{1}{3}$ より $Q_5\left(-\frac{1}{3}, -\frac{1}{3}, \frac{2}{3}\right)$

点 $P_6(1, 0, 1)$ のとき、$t = -\frac{2}{3}$ より $Q_6\left(\frac{1}{3}, -\frac{2}{3}, \frac{1}{3}\right)$

原点 $Q_0$ と各点 $Q_k$ ($k=1, 2, \cdots, 6$) の距離の2乗を計算すると、例えば

$$ |Q_1|^2 = \left(\frac{2}{3}\right)^2 + \left(-\frac{1}{3}\right)^2 + \left(-\frac{1}{3}\right)^2 = \frac{4+1+1}{9} = \frac{2}{3} $$

となり、すべて原点からの距離が $\sqrt{\frac{2}{3}}$ である。

また、順に並んだ隣り合う点どうしの距離の2乗を計算すると、例えば

$$ |Q_1 - Q_2|^2 = \left(\frac{1}{3}\right)^2 + \left(-\frac{2}{3}\right)^2 + \left(\frac{1}{3}\right)^2 = \frac{1+4+1}{9} = \frac{2}{3} $$

となり、隣接する点どうしの距離もすべて $\sqrt{\frac{2}{3}}$ となる。

したがって、これら6点は原点を中心とする1辺の長さが $\sqrt{\frac{2}{3}}$ の正六角形をなす。 原点 $Q_0$ はこの正六角形の内部にあるため、求める範囲 $B$ はこの正六角形の内部および周である。

ゆえに、面積は

$$ 6 \times \frac{\sqrt{3}}{4} \left(\sqrt{\frac{2}{3}}\right)^2 = \frac{3\sqrt{3}}{2} \times \frac{2}{3} = \sqrt{3} $$

となる。

解説

空間図形の正射影に関する代表的な問題である。 立方体を体対角線の方向から正射影すると、その輪郭が正六角形になることは視覚的にもよく知られている。 解法1のように「面積の正射影」の考え方を用いると、平面のなす角の余弦を用いる面積の公式 $S' = S \cos \theta$ により、計算量が少なく簡潔に解くことができる。 解法2のように、ベクトルを用いて機械的に頂点の座標を処理し、平面上での頂点間の距離から図形の形状を特定するアプローチも確実性が高く、実戦的である。

答え

$$ \sqrt{3} $$

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