名古屋大学 1997年 文系 第3問 解説

方針・初手
直方体の対称性から、向かい合う面が出る確率は等しいことを利用し、まずは6つの面が出る確率をすべて求める。その後、向かい合う面に書かれた数の和を文字でおき、目の期待値の条件から不定方程式を立てて絞り込む。
解法1
均質な直方体を投げたとき、各面が出る確率は、対称性より向かい合う面同士で等しい。 向かい合う3組の面がそれぞれ出る確率を $p, q, r$ とすると、すべての面の確率の和は $1$ であるから、
$$ 2p + 2q + 2r = 1 $$
が成り立つ。 問題の条件より、$1$ つの確率が $\frac{1}{9}$、別の確率が $\frac{1}{4}$ であるから、$p = \frac{1}{9}, q = \frac{1}{4}$ とおける。これを代入すると、
$$ 2 \left( \frac{1}{9} \right) + 2 \left( \frac{1}{4} \right) + 2r = 1 $$
$$ \frac{2}{9} + \frac{1}{2} + 2r = 1 $$
$$ \frac{13}{18} + 2r = 1 $$
$$ 2r = \frac{5}{18} $$
$$ r = \frac{5}{36} $$
よって、6つの面が出る確率は $\frac{1}{9}, \frac{1}{9}, \frac{1}{4}, \frac{1}{4}, \frac{5}{36}, \frac{5}{36}$ と定まる。
次に、向かい合う面に書かれた数の和をそれぞれ $X, Y, Z$ とおく。 確率 $\frac{1}{9}$ の面の数の和を $X$、確率 $\frac{1}{4}$ の面の数の和を $Y$、確率 $\frac{5}{36}$ の面の数の和を $Z$ とする。 サイコロの各面には $1$ から $6$ までの数が1つずつ書かれているので、
$$ X + Y + Z = 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 = 21 $$
である。 出る目の期待値が $3$ であるから、
$$ \frac{1}{9}X + \frac{1}{4}Y + \frac{5}{36}Z = 3 $$
が成り立つ。両辺に $36$ を掛けると、
$$ 4X + 9Y + 5Z = 108 $$
となる。ここで、$Z = 21 - X - Y$ を代入すると、
$$ 4X + 9Y + 5(21 - X - Y) = 108 $$
$$ -X + 4Y + 105 = 108 $$
$$ X = 4Y - 3 $$
が得られる。
$X, Y, Z$ は $1$ から $6$ までの異なる2つの整数の和であるため、そのとりうる値の最小値は $1+2=3$、最大値は $5+6=11$ である。すなわち、$3 \leqq X \leqq 11, 3 \leqq Y \leqq 11$ である。
$Y$ の値について場合分けをして調べる。
(i) $Y = 3$ のとき
$X = 4 \cdot 3 - 3 = 9$ となり、$3 \leqq X \leqq 11$ を満たす。 このとき $Z = 21 - 9 - 3 = 9$ となり、条件を満たす。
(ii) $Y \geqq 4$ のとき
$X \geqq 4 \cdot 4 - 3 = 13$ となり、$X \leqq 11$ を満たさず不適である。
したがって、$(X, Y, Z) = (9, 3, 9)$ に確定する。
$Y = 3$ となるのは、書かれた数が $1$ と $2$ の組である場合のみである。 残る数 $3, 4, 5, 6$ を用いて、和がそれぞれ $X = 9, Z = 9$ となるように2組を作ることを考える。 $3, 4, 5, 6$ から2つを選んで和を $9$ にする組み合わせは、$\{3, 6\}$ と $\{4, 5\}$ のみである。
したがって、$3$ と同じ組になる(反対側の面に書かれている)数は $6$ である。
解説
直方体の対称性から「向かい合う面の確率が等しい」ことを見抜くのが第一歩である。この性質により、残りの面の確率が確定する。その後、確率ごとの向かい合う面の和を変数としておき、不定方程式を導く流れは標準的であるが、各変数が「異なる2つの目の和」であるため $3 \leqq X \leqq 11$ などの隠れた条件を忘れずに用いることが重要である。論理的に変数を絞り込む、整数問題のような思考力が問われる良問である。
答え
$6$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











