名古屋大学 2010年 文系 第2問 解説

方針・初手
関数 $f(x)$ は $x=0$ を境に値が変わる階段関数であるため、交点の個数を考える際は定義域を $x < 0$ と $x \geqq 0$ の区間に分けて考えます。 $x < 0$ の区間では曲線と $y=0$ との交点の個数を、$x \geqq 0$ の区間では曲線と $y=1$ との交点の個数をそれぞれ調べ、それらの和が求める交点の総数になることを利用して立式します。
解法1
(1)
直線 $y=ax+b$ と $y=f(x)$ の交点について考える。 $a=0$ のとき、直線は $x$ 軸に平行となり、各区間における交点の個数は $0$ 個または無数となるため、ちょうど $2$ 個の交点を持つことはない。したがって $a \neq 0$ である。 $a \neq 0$ のとき、直線 $y=ax+b$ は単調に増加または減少するため、$x < 0$ および $x \geqq 0$ の各区間において、交点はそれぞれ高々 $1$ 個である。 全体でちょうど $2$ 個の交点を持つためには、$x < 0$ において $y=0$ と、$x \geqq 0$ において $y=1$ と、それぞれ $1$ 個ずつ交点を持たなければならない。
$x < 0$ における交点の条件: 方程式 $ax+b=0$ を解くと $x=-\frac{b}{a}$ であり、これが $x < 0$ を満たすので、 $$ -\frac{b}{a} < 0 \iff \frac{b}{a} > 0 $$ が成り立つ。
$x \geqq 0$ における交点の条件: 方程式 $ax+b=1$ を解くと $x=\frac{1-b}{a}$ であり、これが $x \geqq 0$ を満たすので、 $$ \frac{1-b}{a} \geqq 0 $$ が成り立つ。
$\frac{b}{a} > 0$ より $a$ と $b$ は同符号である。 $a < 0$ のとき、$b < 0$ となる。このとき $\frac{1-b}{a} < 0$ となり不適。 $a > 0$ のとき、$b > 0$ となる。このとき $1-b \geqq 0$ であればよいので、$b \leqq 1$ を得る。
以上より、求める条件は $$ a > 0 \text{ かつ } 0 < b \leqq 1 $$ である。
(2)
$g(x) = x^3+6px^2+9p^2x+q$ とおく。 関数 $g(x)$ を微分すると $$ g'(x) = 3x^2+12px+9p^2 = 3(x+p)(x+3p) $$ となる。$p > 0$ であるから、$g'(x) = 0$ の解は $x = -3p, -p$ であり、これらはともに負である。 関数 $g(x)$ は $x = -3p$ で極大値、$x = -p$ で極小値をとる。それぞれの極値と $g(0)$ の値は以下の通りである。 $$ g(-3p) = -27p^3+54p^3-27p^3+q = q $$
$$ g(-p) = -p^3+6p^3-9p^3+q = -4p^3+q $$
$$ g(0) = q $$
$x \geqq 0$ においては $x+p > 0$ かつ $x+3p > 0$ より $g'(x) > 0$ であるから、$g(x)$ は単調に増加する。 したがって、$x \geqq 0$ の区間において、$y=g(x)$ と $y=1$ の交点は高々 $1$ 個である。 また、$g(x)$ は $3$ 次関数であるから、$x < 0$ の区間において、$y=g(x)$ と $y=0$ の交点は高々 $3$ 個である。 条件より全体で交点がちょうど $4$ 個であるから、内訳は $x < 0$ の区間で $3$ 個、$x \geqq 0$ の区間で $1$ 個で確定する。
(i) $x < 0$ の区間で交点が $3$ 個となる条件 方程式 $g(x)=0$ が異なる $3$ つの実数解を持ち、それらがすべて負であればよい。 $3$ つの実数解を持つ条件は、(極大値)$\times$(極小値)$<0$ であるから $$ q(-4p^3+q) < 0 $$
$$ 0 < q < 4p^3 \quad (\because p > 0) $$ このとき、方程式の $3$ つの解を $\alpha, \beta, \gamma$ ($\alpha < \beta < \gamma$)とすると、増減より $$ \alpha < -3p < \beta < -p < \gamma $$ となる。$\alpha, \beta$ が負であることは明らかであり、最大の解 $\gamma$ も負になるためには、単調増加区間 $x > -p$ において $g(0) > 0$ であればよい。 $g(0) = q > 0$ は $0 < q < 4p^3$ に含まれるため、常に満たされる。 よって、条件は $0 < q < 4p^3$ である。
(ii) $x \geqq 0$ の区間で交点が $1$ 個となる条件 $x \geqq 0$ において $g(x)$ は単調増加であるため、$y=g(x)$ と $y=1$ が交点を持つための条件は $g(0) \leqq 1$ である。 よって $$ q \leqq 1 $$
(i) と (ii) を同時に満たす必要があるため、求める条件は $$ 0 < q < 4p^3 \text{ かつ } q \leqq 1 $$ である。
これを $pq$ 平面上に図示する。 境界となる曲線 $q=4p^3$ と直線 $q=1$ の交点は、$4p^3 = 1$ より $p = \frac{1}{\sqrt[3]{4}}$ となる。 求める領域は不等式 $p > 0$ かつ $0 < q \leqq 1$ かつ $q < 4p^3$ が表す領域である。
解説
与えられた関数 $f(x)$ が定義域によって値の異なる階段関数であるため、交点の数を数える際は領域を $x < 0$ と $x \geqq 0$ に分割して考えるのが基本方針となります。 (2)では、交点の総数が $4$ 個という条件から、各領域の交点の個数の内訳を絞り込む点が最大のポイントです。$x \geqq 0$ における $3$ 次関数の単調性を調べることで、内訳が「$x < 0$ で $3$ 個、$x \geqq 0$ で $1$ 個」のパターンしかないことを論理的に確定させることが重要です。
答え
(1) $a > 0$ かつ $0 < b \leqq 1$
(2) 条件は $0 < q < 4p^3$ かつ $q \leqq 1$。 図示する領域は、$pq$ 平面において不等式 $p > 0$、$0 < q \leqq 1$、$q < 4p^3$ で囲まれた部分である(境界線は直線 $q=1$ の $p \geqq \frac{1}{\sqrt[3]{4}}$ の部分のみ含み、他はすべて含まない)。
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