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名古屋大学 2022年 文系 第1問 解説

数学2/式と証明数学1/方程式不等式テーマ/整式の証明テーマ/場合分け
名古屋大学 2022年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は、整式の割り算を直接実行するか、恒等式を立てて係数を比較することで余りを求める。2乗の式で割るため、両辺を微分して剰余の定理を拡張した解法も有効である。 (2) は、(1) とは独立に $x^3$ を2次式 $f(x) = x^2 + ax + b$ で割った余りを計算し、与えられた余り $3x + b$ と係数を比較する。得られた連立方程式から、$b$ の値で場合分けを行って $a$ の個数、すなわち $f(x)$ の個数を調べる。

解法1

(1)

$x^3$ を2次式 $(x-a)^2 = x^2 - 2ax + a^2$ で割ったときの商は1次式である。商の最高次の項は $x$ であるから、定数 $c$ を用いて商を $x+c$ とおける。余りを $px+q$ ($p, q$ は実数)とおくと、次の恒等式が成り立つ。

$$ x^3 = (x^2 - 2ax + a^2)(x+c) + px + q $$

右辺を展開して整理すると、

$$ x^3 = x^3 + (c-2a)x^2 + (a^2 - 2ac + p)x + (a^2c + q) $$

両辺の係数を比較して、

$$ \begin{cases} c - 2a = 0 \\ a^2 - 2ac + p = 0 \\ a^2c + q = 0 \end{cases} $$

第1式より $c = 2a$ となる。これを第2式に代入して、

$$ a^2 - 4a^2 + p = 0 \iff p = 3a^2 $$

さらに第3式に代入して、

$$ 2a^3 + q = 0 \iff q = -2a^3 $$

したがって、求める余りは $3a^2 x - 2a^3$ である。

(2)

$x^3$ を $f(x) = x^2 + ax + b$ で割る。

$$ \begin{aligned} x^3 &= x(x^2 + ax + b) - ax^2 - bx \\ &= x(x^2 + ax + b) - a(x^2 + ax + b) + a^2 x + ab - bx \\ &= (x-a)(x^2 + ax + b) + (a^2 - b)x + ab \end{aligned} $$

よって、$x^3$ を $f(x)$ で割った余りは $(a^2 - b)x + ab$ である。これが $3x + b$ に等しいので、各項の係数を比較して以下の連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} a^2 - b = 3 \\ ab = b \end{cases} $$

第2式より、$b(a-1) = 0$ となるため、$b = 0$ または $a = 1$ である。

(i) $b = 0$ のとき

第1式より $a^2 = 3$ となり、$a = \pm \sqrt{3}$ である。 このとき、条件を満たす実数 $a$ は2つ存在し、それぞれに対応して $f(x)$ が1つずつ定まるから、$f(x)$ は2個ある。

(ii) $a = 1$ のとき

第1式より $1^2 - b = 3$ となり、$b = -2$ である。 このとき、条件を満たす実数 $a$ は1つに定まるから、$f(x)$ は1個ある。

(i), (ii) より、上記以外の $b$ の値に対しては条件を満たす実数 $a$ は存在しないため、$f(x)$ は0個となる。

解法2

(1) の別解:微分を用いた方法

$x^3$ を $(x-a)^2$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $px+q$ ($p, q$ は実数)とおくと、次の恒等式が成り立つ。

$$ x^3 = (x-a)^2 Q(x) + px + q $$

両辺に $x=a$ を代入すると、

$$ a^3 = pa + q $$

また、最初の恒等式の両辺を $x$ について微分すると、積の微分法を用いて次のように表せる。

$$ 3x^2 = 2(x-a)Q(x) + (x-a)^2 Q'(x) + p $$

この両辺に $x=a$ を代入すると、

$$ 3a^2 = p $$

これを先に求めた式に代入して $q$ を求めると、

$$ q = a^3 - 3a^2 \cdot a = -2a^3 $$

したがって、求める余りは $3a^2 x - 2a^3$ である。

解説

整式の割り算における基本的な恒等式の処理を問う問題である。 (1) では、直接割り算を実行してもよいが、解説で示したように恒等式の係数比較を利用することで計算ミスを防ぎやすくなる。また、2次式 $(x-\alpha)^2$ で割る問題においては、解法2のように微分を利用すると計算が非常に簡明になるため、解法の選択肢として持っておきたい。 (2) は余りが与えられているため、(1) と同様に実際に割り算を行って余りを導出し、係数比較によって連立方程式を立てる。連立方程式の処理において、「$ab=b$ の両辺を $b$ で割って $a=1$ のみとしてしまう」という同値変形の誤りに注意したい。正しくは共通因数でくくり、$b=0$ の場合分けを必ず拾う必要がある。

答え

(1) $3a^2 x - 2a^3$

(2) $b = 0$ のとき 2個、$b = -2$ のとき 1個、それ以外の $b$ のとき 0個

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