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九州大学 2000年 文系 第2問 解説

数学2/式と証明数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/整式の証明
九州大学 2000年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) は、$f(b)=0$ と $f(c)=0$ という条件に着目し、因数定理を用いて関数の形を仮定することが最も簡潔な方針である。 (2) は、2つの関数の差 $F(x) = f(x) - g(x)$ を考え、これが高々2次式であるにもかかわらず3つの異なる値で $0$ になることから、恒等的に $0$ であることを示すという定石を用いる。 (3) は、(1)(2) の誘導に乗ってラグランジュの補間公式の形(2次関数の決定)に帰着させる方法と、恒等式の部分分数分解を直接行う方法がある。

解法1

(1) 求める関数 $f(x)$ は高々2次の関数であり、$f(b) = 0$、$f(c) = 0$ を満たす。 $b$、$c$ は異なる実数であるから、因数定理より $f(x)$ はある定数 $k$ を用いて次のように表すことができる。

$$f(x) = k(x-b)(x-c)$$

さらに $f(a) = 1$ を満たすので、上式に $x = a$ を代入する。

$$1 = k(a-b)(a-c)$$

$a, b, c$ は互いに異なる実数であるから、$(a-b)(a-c) \neq 0$ であり、両辺を割ることができる。

$$k = \frac{1}{(a-b)(a-c)}$$

これをもとの式に代入して、求める関数は以下のようになる。

$$f(x) = \frac{(x-b)(x-c)}{(a-b)(a-c)}$$

(これは $x$ について展開すれば2次以下の多項式となるため、高々2次の関数である。)

(2) 関数 $F(x)$ を $F(x) = f(x) - g(x)$ とおく。 $f(x)$、$g(x)$ はともに高々2次の関数であるから、その差である $F(x)$ も高々2次の関数である。 問題の条件より、$f(a) = g(a)$、$f(b) = g(b)$、$f(c) = g(c)$ であるから、

$$F(a) = 0, \quad F(b) = 0, \quad F(c) = 0$$

が成り立つ。 $F(b) = 0$ かつ $F(c) = 0$ であり、$F(x)$ は高々2次の関数であることから、ある定数 $K$ を用いて次のように表せる。

$$F(x) = K(x-b)(x-c)$$

さらに $F(a) = 0$ であるから、

$$K(a-b)(a-c) = 0$$

$a, b, c$ は互いに異なる実数であるため、$(a-b)(a-c) \neq 0$ であり、$K = 0$ が導かれる。 したがって、常に $F(x) = 0$ が成り立つ。 $F(x) = f(x) - g(x) = 0$ より、常に $f(x) = g(x)$ となるため、$f(x)$ と $g(x)$ は同じ関数であることが示された。

(3) $h(x) = (x-a)(x-b)(x-c)$ を微分する。3つの積の微分法より、以下のようになる。

$$h'(x) = (x-b)(x-c) + (x-a)(x-c) + (x-a)(x-b)$$

これに $x=a$、$x=b$、$x=c$ をそれぞれ代入すると、

$$h'(a) = (a-b)(a-c)$$

$$h'(b) = (b-a)(b-c)$$

$$h'(c) = (c-a)(c-b)$$

となる。これらを用いて、示すべき等式の右辺を変形し、分母を $h(x) = (x-a)(x-b)(x-c)$ にそろえて通分する。

$$\frac{1}{h'(a)(x-a)} + \frac{1}{h'(b)(x-b)} + \frac{1}{h'(c)(x-c)}$$

$$= \frac{1}{(a-b)(a-c)(x-a)} + \frac{1}{(b-a)(b-c)(x-b)} + \frac{1}{(c-a)(c-b)(x-c)}$$

$$= \frac{(x-b)(x-c)}{(a-b)(a-c)h(x)} + \frac{(x-a)(x-c)}{(b-a)(b-c)h(x)} + \frac{(x-a)(x-b)}{(c-a)(c-b)h(x)}$$

$$= \frac{\frac{(x-b)(x-c)}{(a-b)(a-c)} + \frac{(x-a)(x-c)}{(b-a)(b-c)} + \frac{(x-a)(x-b)}{(c-a)(c-b)}}{h(x)}$$

ここで、この式の分子の関数を $G(x)$ とおく。

$$G(x) = \frac{(x-b)(x-c)}{(a-b)(a-c)} + \frac{(x-a)(x-c)}{(b-a)(b-c)} + \frac{(x-a)(x-b)}{(c-a)(c-b)}$$

$G(x)$ は高々2次の関数の和であるため、全体としても高々2次の関数である。 この $G(x)$ に $x=a$、$x=b$、$x=c$ を代入すると、

$$G(a) = \frac{(a-b)(a-c)}{(a-b)(a-c)} + 0 + 0 = 1$$

$$G(b) = 0 + \frac{(b-a)(b-c)}{(b-a)(b-c)} + 0 = 1$$

$$G(c) = 0 + 0 + \frac{(c-a)(c-b)}{(c-a)(c-b)} = 1$$

となる。一方、常に $1$ の値をとる定数関数 $I(x) = 1$ を考えると、これも高々2次の関数(係数がすべて $0$ で定数項のみ)であり、$I(a)=1$、$I(b)=1$、$I(c)=1$ を満たす。 したがって、(2) の結果から $G(x)$ と $I(x)$ は同じ関数であり、恒等的に以下が成り立つ。

$$G(x) = 1$$

ゆえに、右辺の式は $\frac{1}{h(x)}$ と等しくなることが示された。

解法2

(3)の別解 与えられた有理関数 $\frac{1}{h(x)}$ を部分分数分解する方針をとる。 $h(x) = (x-a)(x-b)(x-c)$ であり、$a, b, c$ は互いに異なるため、実数の定数 $A, B, C$ を用いて次のような恒等式として分解できる。

$$\frac{1}{h(x)} = \frac{A}{x-a} + \frac{B}{x-b} + \frac{C}{x-c}$$

この等式の両辺に $(x-a)$ を掛けると、以下のようになる。

$$\frac{1}{(x-b)(x-c)} = A + \frac{B(x-a)}{x-b} + \frac{C(x-a)}{x-c}$$

この式は $x \neq b, c$ で恒等的に成り立つので、極限 $x \to a$ をとる(有理関数としての連続性より $x=a$ を代入するのと同じ結果になる)と、

$$\frac{1}{(a-b)(a-c)} = A$$

となる。ここで $h(x)$ の導関数 $h'(x)$ を考えると、

$$h'(x) = (x-b)(x-c) + (x-a)(x-c) + (x-a)(x-b)$$

であるから、$h'(a) = (a-b)(a-c)$ となる。したがって、

$$A = \frac{1}{h'(a)}$$

である。 全く同様の手順で、もとの等式の両辺に $(x-b)$ を掛けて $x \to b$ とすると、

$$B = \frac{1}{(b-a)(b-c)} = \frac{1}{h'(b)}$$

もとの等式の両辺に $(x-c)$ を掛けて $x \to c$ とすると、

$$C = \frac{1}{(c-a)(c-b)} = \frac{1}{h'(c)}$$

が得られる。これらを最初の部分分数分解の式に代入することで、

$$\frac{1}{h(x)} = \frac{1}{h'(a)(x-a)} + \frac{1}{h'(b)(x-b)} + \frac{1}{h'(c)(x-c)}$$

となり、示された。

解説

本問は多項式の決定と恒等式に関する標準的な問題である。 (1) はラグランジュの補間公式の最も基本的な形を導く問題となっている。因数定理を活用することで、係数を文字でおいて連立方程式を解く手間を省くことができる。 (2) は「$n$ 次以下の多項式が、$n+1$ 個の異なる値で一致するならば、その多項式は恒等的に等しい」という重要な定理(一致の定理)の、2次の場合の証明である。関数どうしの差をとり、$F(x) = 0$ を示すのが定石である。 (3) は部分分数分解の係数決定問題である。解法1のように (1)(2) の誘導に乗ってラグランジュ補間を利用する視点は、より高度な数学にもつながる重要な考え方である。一方、解法2で示したヘヴィサイドの展開定理(極限を用いた部分分数分解の係数決定法)を知っていると、計算量を見通しよく削減できるため、実践的なテクニックとして習得しておきたい。

答え

(1) $f(x) = \frac{(x-b)(x-c)}{(a-b)(a-c)}$

(2) 解説の通り(差関数 $F(x) = f(x) - g(x)$ をおき、恒等的に $0$ となることを示した)

(3) 解説の通り((1), (2) の誘導を用いる、または部分分数分解により示した)

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