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名古屋大学 1970年 理系 第3問 解説

数学2/図形と式数学C/平面ベクトルテーマ/速度・距離テーマ/整式の証明
名古屋大学 1970年 理系 第3問 解説

方針・初手

ある時刻を $t=0$ とし、時刻 $t$ における各点 $P, Q, R$ の座標を $t, a, b, c$ を用いて表す。$P$ と $Q$ はそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸上を動くことから、直線 $PQ$ の方程式を切片形でシンプルに表すことができる。この直線上に点 $R$ が常にあるという条件が $t$ についての恒等式となるように $a, b, c$ の関係式を導く。

解法1

条件となる「ある時刻」を $t=0$ とする。 点 $P$ は $x$ 軸の正の方向へ速さ $a$ で動くため、時刻 $t$ における座標は $(4+at, 0)$ である。 点 $Q$ は $y$ 軸の正の方向へ速さ $b$ で動くため、時刻 $t$ における座標は $(0, 2+bt)$ である。

点 $R$ は傾き $1$ の直線上を上方へ速さ $c$ で動く。速度ベクトルの向きは $(1, 1)$ と平行であり、その大きさは $c$ であるため、点 $R$ の速度ベクトルは $\left(\frac{c}{\sqrt{2}}, \frac{c}{\sqrt{2}}\right)$ となる。 $t=0$ において $R$ は $(2, 1)$ にあるので、時刻 $t$ における座標は $\left(2+\frac{c}{\sqrt{2}}t, 1+\frac{c}{\sqrt{2}}t\right)$ である。

点 $P$ と $Q$ を通る直線の方程式は、$4+at \neq 0$ かつ $2+bt \neq 0$ となる時刻 $t$ において、以下のように切片形で表される。

$$ \frac{x}{4+at} + \frac{y}{2+bt} = 1 $$

点 $R$ は常時この直線上にあるため、その座標を代入して成立しなければならない。

$$ \frac{2+\frac{c}{\sqrt{2}}t}{4+at} + \frac{1+\frac{c}{\sqrt{2}}t}{2+bt} = 1 $$

分母を払うと、以下の等式が得られる。

$$ \left( 2+\frac{c}{\sqrt{2}}t \right)(2+bt) + \left( 1+\frac{c}{\sqrt{2}}t \right)(4+at) = (4+at)(2+bt) $$

左辺を展開して整理する。

$$ \begin{aligned} &\left( 4 + 2bt + \sqrt{2}ct + \frac{bc}{\sqrt{2}}t^2 \right) + \left( 4 + at + 2\sqrt{2}ct + \frac{ac}{\sqrt{2}}t^2 \right) \\ &= 8 + (a + 2b + 3\sqrt{2}c)t + \frac{c}{\sqrt{2}}(a+b)t^2 \end{aligned} $$

右辺を展開する。

$$ (4+at)(2+bt) = 8 + (2a+4b)t + ab t^2 $$

これらが任意の $t$ について等しくなる恒等式であるため、係数を比較する。 $t$ の係数について:

$$ a + 2b + 3\sqrt{2}c = 2a + 4b \iff 3\sqrt{2}c = a + 2b \cdots \text{(1)} $$

$t^2$ の係数について:

$$ \frac{c}{\sqrt{2}}(a+b) = ab \cdots \text{(2)} $$

(1)より $\frac{c}{\sqrt{2}} = \frac{a+2b}{6}$ であるから、これを(2)に代入する。

$$ \begin{aligned} \frac{a+2b}{6} (a+b) &= ab \\ (a+2b)(a+b) &= 6ab \\ a^2 + 3ab + 2b^2 &= 6ab \\ a^2 - 3ab + 2b^2 &= 0 \\ (a-b)(a-2b) &= 0 \end{aligned} $$

これより、$a=b$ または $a=2b$ を得る。

(i) $a=b$ のとき

(1)より $3\sqrt{2}c = a + 2a = 3a$ となり、$c = \frac{a}{\sqrt{2}}$ である。 このとき、求める比は以下のようになる。

$$ a : b : c = a : a : \frac{1}{\sqrt{2}}a = 1 : 1 : \frac{\sqrt{2}}{2} = 2 : 2 : \sqrt{2} $$

(ii) $a=2b$ のとき

$b = \frac{1}{2}a$ であり、(1)より $3\sqrt{2}c = a + a = 2a$ となり、$c = \frac{\sqrt{2}}{3}a$ である。 このとき、求める比は以下のようになる。

$$ a : b : c = a : \frac{1}{2}a : \frac{\sqrt{2}}{3}a = 1 : \frac{1}{2} : \frac{\sqrt{2}}{3} = 6 : 3 : 2\sqrt{2} $$

いずれの場合も、速さ $a, b, c$ は正の数として矛盾なく定まる。

解法2

点 $P, Q, R$ の時刻 $t$ における座標は、解法1と同様に以下のように表せる。

$$ P(4+at, 0), \quad Q(0, 2+bt), \quad R\left(2+\frac{c}{\sqrt{2}}t, 1+\frac{c}{\sqrt{2}}t\right) $$

3点 $P, Q, R$ が常時一直線上にあるための条件は、ベクトル $\vec{QP}$ と $\vec{QR}$ が平行であることである。

$$ \vec{QP} = (4+at, -2-bt) $$

$$ \vec{QR} = \left(2+\frac{c}{\sqrt{2}}t, -1+\left(\frac{c}{\sqrt{2}}-b\right)t\right) $$

これらが平行であるための条件は、成分のたすき掛けの差が $0$ になることであるから、

$$ (4+at)\left\{-1+\left(\frac{c}{\sqrt{2}}-b\right)t\right\} - (-2-bt)\left(2+\frac{c}{\sqrt{2}}t\right) = 0 $$

が任意の $t$ について成り立つ。左辺を展開すると、

$$ -4 + 4\left(\frac{c}{\sqrt{2}}-b\right)t - at + a\left(\frac{c}{\sqrt{2}}-b\right)t^2 + \left\{4 + \sqrt{2}ct + 2bt + \frac{bc}{\sqrt{2}}t^2\right\} = 0 $$

整理して、

$$ (3\sqrt{2}c - 2b - a)t + \left\{ \frac{c}{\sqrt{2}}(a+b) - ab \right\}t^2 = 0 $$

これが $t$ についての恒等式となるため、以下の連立方程式が得られる。

$$ \begin{cases} 3\sqrt{2}c - 2b - a = 0 \\ \frac{c}{\sqrt{2}}(a+b) - ab = 0 \end{cases} $$

これらは解法1で得た式と全く同じであり、これ以降の計算も同様となるため結果も一致する。

解説

動点の座標を時刻 $t$ を用いて表し、「3点が一直線上にある」という幾何的条件を $t$ についての恒等式に落とし込む典型的な問題である。 直線の切片形の方程式を利用する方法(解法1)は立式が直感的で計算も美しいが、時刻 $t$ によっては分母が $0$ となる瞬間がある点に厳密には注意が必要である(本問では分母を払った形で恒等式の係数比較に持ち込むため実質的な影響はない)。 一方、ベクトルを用いて平行条件を立式する方法(解法2)は、分母が $0$ となるような例外処理を気にする必要がなく、機械的な計算で安全に答えにたどり着くことができる。

答え

$2 : 2 : \sqrt{2}$ または $6 : 3 : 2\sqrt{2}$

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