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名古屋大学 1978年 理系 第2問 解説

数学C/平面ベクトル数学A/図形の性質テーマ/存在証明テーマ/面積・体積
名古屋大学 1978年 理系 第2問 解説

方針・初手

点の位置関係を数式で処理するために、ベクトルを用いる。平面上のいずれかの点を基準とし、各点の位置ベクトルを文字で置く。与えられた中点の条件を順に適用して方程式を立てることで、点 $P$ の位置ベクトルを決定する。

解法1

点 $A$ を始点とし、各点の位置ベクトルを以下のように定める。

$$ \vec{b} = \overrightarrow{AB}, \quad \vec{c} = \overrightarrow{AC}, \quad \vec{p} = \overrightarrow{AP} $$

点 $Q, R, S$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{q}, \vec{r}, \vec{s}$ とすると、問題の条件からこれらは以下のように表せる。

点 $Q$ は線分 $AP$ の中点であるから、

$$ \vec{q} = \frac{1}{2}\vec{p} $$

点 $R$ は線分 $BQ$ の中点であるから、

$$ \vec{r} = \frac{\vec{b} + \vec{q}}{2} = \frac{1}{2}\vec{b} + \frac{1}{4}\vec{p} $$

点 $S$ は線分 $CR$ の中点であるから、

$$ \vec{s} = \frac{\vec{c} + \vec{r}}{2} = \frac{1}{2}\vec{c} + \frac{1}{4}\vec{b} + \frac{1}{8}\vec{p} $$

$S = P$ となるのは、$\vec{s} = \vec{p}$ のときである。この等式に上記の $\vec{s}$ を代入して整理する。

$$ \frac{1}{2}\vec{c} + \frac{1}{4}\vec{b} + \frac{1}{8}\vec{p} = \vec{p} $$

$$ \frac{7}{8}\vec{p} = \frac{1}{4}\vec{b} + \frac{1}{2}\vec{c} $$

$$ \vec{p} = \frac{2}{7}\vec{b} + \frac{4}{7}\vec{c} $$

ここで、3点 $A, B, C$ は三角形をなすため $\vec{b}$ と $\vec{c}$ は定ベクトルであり、上式を満たす $\vec{p}$ はただ1通りのベクトルとして一意に定まる。したがって、$S=P$ となる点 $P$ はただ1つ存在することが示された。

このときの点 $P$ を $P_0$ とすると、

$$ \overrightarrow{AP_0} = \frac{2\vec{b} + 4\vec{c}}{7} $$

これを図形的な意味がわかるように、内分点の公式の形に変形する。

$$ \overrightarrow{AP_0} = \frac{6}{7} \cdot \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3} $$

辺 $BC$ を $2 : 1$ に内分する点を $D$ とおくと、$\overrightarrow{AD} = \frac{\vec{b} + 2\vec{c}}{3}$ となるため、

$$ \overrightarrow{AP_0} = \frac{6}{7} \overrightarrow{AD} $$

と表せる。これは、点 $P_0$ が線分 $AD$ 上にあり、線分 $AD$ を $6 : 1$ に内分する点であることを意味する。

$\triangle ABC$ の面積を $U$ とする。$\triangle ABC$ と $\triangle P_0 BC$ は底辺 $BC$ を共有しているため、その面積比は底辺から対角の頂点までの高さの比に等しい。

この高さの比は、点 $A$ および点 $P_0$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の長さの比であり、相似な直角三角形を考えることで、それは線分 $AD$ と線分 $P_0 D$ の長さの比 $AD : P_0 D$ に等しいことがわかる。

$P_0$ は線分 $AD$ を $6 : 1$ に内分するため、$AD : P_0 D = 7 : 1$ である。

したがって、$\triangle P_0 BC$ の面積は $\frac{1}{7} U$ となる。

よって、$\triangle ABC$ と $\triangle P_0 BC$ の面積の比は $7 : 1$ である。

解説

図形の相対的な位置関係からある点の存在性や面積比を求める問題において、ベクトルを用いて定式化する手法は非常に有効である。 与えられた点の中点という条件を反復して適用するだけで一次方程式に帰着できるため、計算ミスに注意して進めたい。 後半の面積比については、得られた位置ベクトルの式から「定点に向かう線分上の内分点」という図形的意味を正しく読み取ることがポイントとなる。基準の点をうまく選ぶことで計算量を見やすく抑えることができる。

答え

$S=P$ となる点 $P$ はただ1つ存在することが証明された。(証明は解法に記載)

$\triangle ABC$ と $\triangle P_0 BC$ の面積の比は $7 : 1$

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