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名古屋大学 1984年 理系 第1問 解説

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名古屋大学 1984年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) は $x \sin x$ の定積分であるため、部分積分法を用いて計算する。積分区間の端点における三角関数の値 $\cos n\pi = (-1)^n$、$\sin n\pi = 0$ に注意して式を整理する。

(2) は (1) で求めた数列 $a_n$ の和を求める問題である。$k$ と $(-1)^{k-1}$ の積の形になるため、隣り合う項のペアを作って和を計算しやすいように $n$ の偶奇で場合分けをするか、あるいは等差数列と等比数列の積の和を求める定石(公比をかけてずらして引く)を用いる。

(3) は (2) の結果を利用して極限を計算する。$2n-1$ は奇数であることに着目し、(2) で得られた式に代入した後、分母の最高次数の $n$ で分母分子を割って極限を求める。

解法1

(1) $a_n$ は部分積分法を用いて次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} a_n &= \int_{0}^{n\pi} x \sin x \, dx \\ &= \left[ x (-\cos x) \right]_{0}^{n\pi} - \int_{0}^{n\pi} 1 \cdot (-\cos x) \, dx \\ &= \left( -n\pi \cos n\pi - 0 \right) + \left[ \sin x \right]_{0}^{n\pi} \\ &= -n\pi (-1)^n + \sin n\pi - \sin 0 \\ &= (-1)^{n-1} n\pi \end{aligned} $$

(2) $b_n$ は $a_n$ の初項から第 $n$ 項までの和である。

$$ b_n = \sum_{k=1}^{n} a_k = \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} k\pi = \pi \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} k $$

ここで、$S_n = \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} k = 1 - 2 + 3 - 4 + \cdots + (-1)^{n-1} n$ とおく。$n$ の偶奇で場合分けをして $S_n$ を求める。

(i) $n$ が偶数 $n=2m$($m$ は自然数)のとき

$$ \begin{aligned} S_{2m} &= 1 - 2 + 3 - 4 + \cdots + (2m-1) - 2m \\ &= (1 - 2) + (3 - 4) + \cdots + \{ (2m-1) - 2m \} \\ &= (-1) + (-1) + \cdots + (-1) \end{aligned} $$

$(-1)$ のペアが $m$ 個できるため、

$$ S_{2m} = -m = -\frac{n}{2} $$

(ii) $n$ が奇数 $n=2m-1$($m$ は自然数)のとき

$$ \begin{aligned} S_{2m-1} &= S_{2m} - (-1)^{2m-1}(2m) \\ &= -m - (-2m) \\ &= m \end{aligned} $$

ここで $m = \frac{n+1}{2}$ であるため、

$$ S_{2m-1} = \frac{n+1}{2} $$

以上より、$n$ が偶数のとき $b_n = -\frac{n\pi}{2}$、$n$ が奇数のとき $b_n = \frac{(n+1)\pi}{2}$ である。

(3) 求める極限の式に含まれる $b_{2n-1}$ の添字 $2n-1$ は奇数である。したがって、(2) の $n$ が奇数の場合の結果を適用する。

$$ b_{2n-1} = \frac{(2n-1)+1}{2}\pi = n\pi $$

これより、求める極限は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{b_{2n-1}}{2n-1} &= \lim_{n \to \infty} \frac{n\pi}{2n-1} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\pi}{2 - \frac{1}{n}} \\ &= \frac{\pi}{2} \end{aligned} $$

解法2

(2) について、等差数列と等比数列の積の和を求める手法を用いた別解を示す。

$$ b_n = \pi \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} k $$

$S_n = \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} k$ とおき、$S_n$ と $-S_n$ の辺々をずらして引く。

$$ S_n = 1 - 2 + 3 - 4 + \cdots + (-1)^{n-1} n $$

$$ -S_n = - 1 + 2 - 3 + \cdots + (-1)^{n-1} (n-1) + (-1)^n n $$

上の式から下の式を引くと、

$$ \begin{aligned} 2S_n &= 1 - 1 + 1 - 1 + \cdots + (-1)^{n-1} 1 - (-1)^n n \\ &= \sum_{k=1}^{n} (-1)^{k-1} - (-1)^n n \\ &= \frac{1 \cdot \{ 1 - (-1)^n \}}{1 - (-1)} - (-1)^n n \\ &= \frac{1 - (-1)^n - 2n(-1)^n}{2} \end{aligned} $$

よって、

$$ S_n = \frac{1 - (2n+1)(-1)^n}{4} $$

ゆえに、$b_n$ は次のように一つの式で表すことができる。

$$ b_n = \frac{1 - (2n+1)(-1)^n}{4} \pi $$

(3) で求めるべき $b_{2n-1}$ は、上で求めた一般項に $n$ の代わりに $2n-1$ を代入して得られる。

$$ \begin{aligned} b_{2n-1} &= \frac{1 - \{ 2(2n-1)+1 \}(-1)^{2n-1}}{4} \pi \\ &= \frac{1 - (4n-1)(-1)}{4} \pi \\ &= \frac{1 + 4n - 1}{4} \pi \\ &= n\pi \end{aligned} $$

以降の極限の計算は解法1と同様であり、$\frac{\pi}{2}$ を得る。

解説

部分積分と、符号が交互に変わる数列の和の扱いを問う、数学IIIの微積分と数学Bの数列の融合問題である。

(1) では $\cos n\pi$ を $(-1)^n$ に変換できるかどうかがその後の計算の見通しを大きく左右する。

(2) のような $1 - 2 + 3 - 4 + \cdots$ という形の数列の和は、解法1のように偶数番目と奇数番目で区切って和を考えるのが最も直感的でミスが少ない。一方、解法2のように等比数列の和の公式の導出と同様に公比(ここでは $-1$)を掛けて引く方法は、偶奇を分けずに一般項を一つの式で表すことができるため、強力な手法として覚えておきたい。

(3) は $b_n$ の一般項さえ正しく求まっていれば、あとは基本的な極限計算に帰着する。(2) で場合分けをした場合は、$2n-1$ が奇数であることに注意して正しい方の式を選択する必要がある。

答え

(1) $a_n = (-1)^{n-1} n\pi$

(2) $n$ が偶数のとき $b_n = -\frac{n\pi}{2}$ $n$ が奇数のとき $b_n = \frac{(n+1)\pi}{2}$ (または $b_n = \frac{1 - (2n+1)(-1)^n}{4} \pi$)

(3) $\frac{\pi}{2}$

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