名古屋大学 1985年 理系 第1問 解説

方針・初手
図形(領域)内の $2$ 点間の距離が最大となるのは、その $2$ 点がともに領域の境界上にあるときです。本問の図形 $D$ は、放物線 $y = x^2 - 4 \ (-2 \le x \le 2)$ と $x$ 軸上の線分 $y = 0 \ (-2 \le x \le 2)$ によって囲まれた凸な領域です。 したがって、境界上の $2$ 点 $P, Q$ の選び方を以下の $3$ パターンに分けて、距離の $2$ 乗 $PQ^2$ の最大値を調べます。
- $P, Q$ がともに $x$ 軸上の線分上にある場合
- $P$ が $x$ 軸上の線分上にあり、$Q$ が放物線上にある場合
- $P, Q$ がともに放物線上にある場合
解法1
図形の境界は、線分 $L: y = 0 \ (-2 \le x \le 2)$ と、放物線 $C: y = x^2 - 4 \ (-2 \le x \le 2)$ の和集合である。 境界上の $2$ 点 $P, Q$ の距離の $2$ 乗 $PQ^2$ の最大値を考える。
(i) $P, Q$ がともに $L$ 上にあるとき $x$ 座標の差の最大値は $2 - (-2) = 4$ であるから、最大距離の $2$ 乗は $$4^2 = 16$$
(ii) $P$ が $L$ 上にあり、$Q$ が $C$ 上にあるとき $P(s, 0) \ (-2 \le s \le 2)$、$Q(t, t^2 - 4) \ (-2 \le t \le 2)$ とおく。 距離の $2$ 乗を $f(s)$ とおくと、 $$f(s) = (s - t)^2 + (t^2 - 4)^2$$ $t$ を固定して $s$ の関数とみると、$f(s)$ は $s^2$ の係数が正の $2$ 次関数(下に凸)である。 したがって、閉区間 $-2 \le s \le 2$ における最大値は、端点 $s = -2$ または $s = 2$ のいずれかでとる。対称性より $s = -2$ の場合を調べれば十分である。 $s = -2$ のとき、距離の $2$ 乗を $g(t)$ とおくと、 $$\begin{aligned} g(t) &= (-2 - t)^2 + (t^2 - 4)^2 \\ &= t^2 + 4t + 4 + t^4 - 8t^2 + 16 \\ &= t^4 - 7t^2 + 4t + 20 \quad (-2 \le t \le 2) \end{aligned}$$ $g(t)$ を $t$ で微分すると、 $$\begin{aligned} g'(t) &= 4t^3 - 14t + 4 \\ &= 2(2t^3 - 7t + 2) \\ &= 2(t + 2)(2t^2 - 4t + 1) \end{aligned}$$ $-2 < t \le 2$ において $g'(t) = 0$ となるのは、$2t^2 - 4t + 1 = 0$ より $t = \frac{2 \pm \sqrt{4 - 2}}{2} = 1 \pm \frac{\sqrt{2}}{2}$ のときである。 $t = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2}$ の前後で $g'(t)$ の符号は正から負に変わるため、ここで極大となる。増減を考慮すると、区間内での最大値は $t = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2}$ のときである。 $t^2 = 2t - \frac{1}{2}$ を用いて $g(t)$ を次数下げして計算する。$g(t)$ を $t^2 - 2t + \frac{1}{2}$ で割ると、 $$g(t) = \left(t^2 - 2t + \frac{1}{2}\right)\left(t^2 + 2t - \frac{7}{2}\right) - 4t + \frac{87}{4}$$ となるから、 $$\begin{aligned} g\left(1 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right) &= -4\left(1 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right) + \frac{87}{4} \\ &= -4 + 2\sqrt{2} + \frac{87}{4} \\ &= \frac{71}{4} + 2\sqrt{2} \end{aligned}$$ この値は $16$ より大きい。
(iii) $P, Q$ がともに $C$ 上にあるとき $P(p, p^2 - 4)$、$Q(q, q^2 - 4)$ ($-2 \le q < p \le 2$)とおく。 距離の $2$ 乗は、 $$\begin{aligned} PQ^2 &= (p - q)^2 + (p^2 - q^2)^2 \\ &= (p - q)^2 \{1 + (p + q)^2\} \end{aligned}$$ ここで、$u = p - q$、$v = p + q$ とおくと、 $p = \frac{v+u}{2}$、$q = \frac{v-u}{2}$ であり、$-2 \le p \le 2$ かつ $-2 \le q \le 2$ であるから、 $$-4 \le v + u \le 4 \quad \text{かつ} \quad -4 \le v - u \le 4$$ これを整理すると、$-4 + u \le v \le 4 - u$ かつ $-4 - u \le v \le 4 + u$ となり、条件 $u > 0$ より $v$ の取りうる範囲は $-(4 - u) \le v \le 4 - u$ となる。 $u$ を固定すると、$PQ^2 = u^2(1 + v^2)$ は $|v|$ が最大のとき、すなわち $|v| = 4 - u$ のときに最大となる。 したがって、 $$PQ^2 \le u^2 \{1 + (4 - u)^2\} = u^4 - 8u^3 + 17u^2$$ これを $h(u) \ (0 < u \le 4)$ とおいて最大値を調べる。 $$\begin{aligned} h'(u) &= 4u^3 - 24u^2 + 34u \\ &= 2u(2u^2 - 12u + 17) \end{aligned}$$ $h'(u) = 0$ の解は $u = 3 \pm \frac{\sqrt{2}}{2}$ であり、$0 < u \le 4$ における増減表をかくと $u = 3 - \frac{\sqrt{2}}{2}$ で極大となる。 $u^2 = 6u - \frac{17}{2}$ を用いて $h(u)$ の次数を下げる。 $$\begin{aligned} h(u) &= u^2(u^2 - 8u + 17) \\ &= u^2\left(6u - \frac{17}{2} - 8u + 17\right) \\ &= u^2\left(-2u + \frac{17}{2}\right) \\ &= -2u^3 + \frac{17}{2}u^2 \\ &= -u\left(12u - 17\right) + \frac{17}{2}u^2 \\ &= -12u^2 + 17u + \frac{17}{2}u^2 \\ &= -\frac{7}{2}u^2 + 17u \\ &= -\frac{7}{2}\left(6u - \frac{17}{2}\right) + 17u \\ &= -21u + \frac{119}{4} + 17u \\ &= -4u + \frac{119}{4} \end{aligned}$$ $u = 3 - \frac{\sqrt{2}}{2}$ を代入すると、 $$\begin{aligned} h\left(3 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right) &= -4\left(3 - \frac{\sqrt{2}}{2}\right) + \frac{119}{4} \\ &= -12 + 2\sqrt{2} + \frac{119}{4} \\ &= \frac{71}{4} + 2\sqrt{2} \end{aligned}$$ なお、この最大値をとるとき $v = -(4 - u) = -\left(1 + \frac{\sqrt{2}}{2}\right)$ とすると、$q = \frac{v-u}{2} = -2$ となる。これは点 $Q$ が $(-2, 0)$ であることを意味しており、結局 (ii) で最大値をとったときの $2$ 点の組み合わせに一致する。
以上 (i) ~ (iii) より、距離の $2$ 乗の最大値は $\frac{71}{4} + 2\sqrt{2}$ である。
解説
「領域内の $2$ 点間の最大距離」を求める典型的な問題です。 凸な領域においては、最長となる線分の端点は必ず境界上にあります。さらに本問のような図形では、一方の端点が図形の「角」にあたる点(本問では $(-2, 0)$ または $(2, 0)$)に固定されるだろうという予想が立ちます。 解答の (ii) のように、距離の $2$ 乗を固定した変数についての $2$ 次関数とみて「下に凸な $2$ 次関数の最大値は区間の端点でとる」という性質を用いると、直感的な予想を論理的に証明しつつ変数の数を減らすことができます。(iii) の $u, v$ を用いた変数変換は $2$ 変数関数の最大・最小を求める際の有力な手法です。
答え
$$\frac{\sqrt{71 + 8\sqrt{2}}}{2}$$
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