名古屋大学 1996年 理系 第1問 解説

方針・初手
数列の和 $S_n$ と一般項 $a_n$ の間にある関係式 $a_n = S_n - S_{n-1}$ ($n \ge 2$) を用いて、$a_n$ と $a_{n-1}$ の漸化式を導出する。 導かれた漸化式を因数分解すると、隣り合う項の間に成り立つ2つの関係式が現れる。問題の符号の条件から、どの項でどちらの関係式が採用されるかを特定していく。 (1)ではすべての項が正であるという条件から関係式を1つに絞り込む。(2)では唯一の負の項が何番目にあるかで場合分けを行い、$a_{100}$ の値を特定する。
解法1
初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とおく。与えられた条件より、すべての $n$ について以下の式が成り立つ。
$$S_n = \left(a_n + \frac{1}{4}\right)^2 \quad \cdots \text{①}$$
$n=1$ のとき、$S_1 = a_1$ であるから、①より
$$a_1 = \left(a_1 + \frac{1}{4}\right)^2$$
展開して整理すると、
$$a_1^2 - \frac{1}{2}a_1 + \frac{1}{16} = 0$$
$$\left(a_1 - \frac{1}{4}\right)^2 = 0$$
よって、$a_1 = \frac{1}{4}$ である。
$n \ge 2$ のとき、①と $a_n = S_n - S_{n-1}$ より
$$a_n = \left(a_n + \frac{1}{4}\right)^2 - \left(a_{n-1} + \frac{1}{4}\right)^2$$
右辺を展開して整理すると、
$$a_n = a_n^2 + \frac{1}{2}a_n + \frac{1}{16} - \left(a_{n-1}^2 + \frac{1}{2}a_{n-1} + \frac{1}{16}\right)$$
$$a_n = a_n^2 - a_{n-1}^2 + \frac{1}{2}a_n - \frac{1}{2}a_{n-1}$$
移項して整理すると、
$$a_n^2 - a_{n-1}^2 - \frac{1}{2}a_n - \frac{1}{2}a_{n-1} = 0$$
$$(a_n + a_{n-1})(a_n - a_{n-1}) - \frac{1}{2}(a_n + a_{n-1}) = 0$$
$$(a_n + a_{n-1})\left(a_n - a_{n-1} - \frac{1}{2}\right) = 0$$
これより、すべての $n \ge 2$ において、
$$a_n + a_{n-1} = 0 \quad \text{または} \quad a_n - a_{n-1} = \frac{1}{2} \quad \cdots \text{②}$$
のいずれかが成り立つ。
(1)
すべての $n$ に対して $a_n > 0$ であるから、任意の $n \ge 2$ について $a_n + a_{n-1} > 0$ となる。 したがって、②のうち常に $a_n - a_{n-1} = \frac{1}{2}$ が成り立つ。 これは数列 $\{a_n\}$ が初項 $\frac{1}{4}$、公差 $\frac{1}{2}$ の等差数列であることを意味する。 よって、求める一般項は
$$a_n = \frac{1}{4} + (n - 1) \cdot \frac{1}{2} = \frac{2n - 1}{4}$$
(2)
$a_1 = \frac{1}{4} > 0$ であるから、条件より最初の100項のうち負となる項は、第2項から第100項のいずれかただ1つである。 この負となる項を第 $k$ 項($2 \le k \le 100$)とする。 第 $k-1$ 項まではすべて正であるから、(1)と同様の論理で、
$$a_n = \frac{2n - 1}{4} \quad (1 \le n \le k-1)$$
となる。特に、$a_{k-1} = \frac{2k - 3}{4}$ であり、これは正である。
$n = k$ のとき、$a_k < 0, a_{k-1} > 0$ である。 もし $a_k - a_{k-1} = \frac{1}{2}$ とすると、$a_k = a_{k-1} + \frac{1}{2} > 0$ となり $a_k < 0$ に矛盾する。 ゆえに、②より $a_k + a_{k-1} = 0$ が成り立ち、
$$a_k = -a_{k-1} = -\frac{2k - 3}{4}$$
となる。ここで、$k$ の値によって場合分けを行う。
(i) $k = 100$ のとき
負となる項が第100項であるから、そのまま $k=100$ を代入して
$$a_{100} = -\frac{2 \cdot 100 - 3}{4} = -\frac{197}{4}$$
(ii) $2 \le k \le 99$ のとき
$n = k+1$ における $a_{k+1}$ は、条件より正である。 ②より $a_{k+1} + a_k = 0$ または $a_{k+1} - a_k = \frac{1}{2}$ のいずれかが成り立つ。 $a_{k+1} + a_k = 0$ とすると、$a_{k+1} = -a_k = \frac{2k - 3}{4} > 0$ となり条件を満たす。 $a_{k+1} - a_k = \frac{1}{2}$ とすると、$a_{k+1} = a_k + \frac{1}{2} = \frac{-2k + 5}{4}$ となる。これが正となるのは $k < \frac{5}{2}$ より $k = 2$ のときのみであり、そのとき $a_3 = \frac{1}{4}$ となる。 いずれの選択肢をとった場合も、結果として $a_{k+1} = \frac{2k - 3}{4}$ と一意に定まる。
さらに $n \ge k+2$ ($n \le 100$) については、以降の項がすべて正であるから、$a_n + a_{n-1} > 0$ となり、常に $a_n - a_{n-1} = \frac{1}{2}$ が成り立つ。 すなわち、第 $k+1$ 項以降は公差 $\frac{1}{2}$ の等差数列となる。 よって、$k+1 \le n \le 100$ において、
$$a_n = a_{k+1} + \{n - (k+1)\} \cdot \frac{1}{2} = \frac{2k - 3}{4} + \frac{2n - 2k - 2}{4} = \frac{2n - 5}{4}$$
となる。この式は $k$ の値に依存しない。 したがって、$n = 100$ を代入して、
$$a_{100} = \frac{2 \cdot 100 - 5}{4} = \frac{195}{4}$$
(i), (ii) より、求める $a_{100}$ の値は $-\frac{197}{4}$ または $\frac{195}{4}$ である。
解説
- 和 $S_n$ と一般項 $a_n$ の関係式を用いた漸化式の導出は、数列分野における頻出の定石である。
- 導かれた漸化式が因数分解でき、項の進み方として2つの分岐が生まれる点がこの問題の核である。
- (2)において、唯一の負の項が $a_{100}$ そのものである場合と、$a_{99}$ 以前にある場合とで答えが変わることに注意が必要である。
- 負の項から再び正の項へ戻る際の $a_{k+1}$ の値が一意に定まり、それ以降の項が負の項の位置 $k$ に依存せず1つの式で表せるという構造の妙味に気付けるかがポイントとなる。
答え
(1) $a_n = \frac{2n - 1}{4}$
(2) $a_{100} = -\frac{197}{4}, \frac{195}{4}$
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