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名古屋大学 1996年 理系 第2問 解説

数学C/空間ベクトル数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/空間図形
名古屋大学 1996年 理系 第2問 解説

方針・初手

空間図形が平面に投影される問題である。光源と投影面の上の点とを結ぶ直線が、投影される図形を含む平面と交わる点を媒介変数を用いて表し、与えられた図形の方程式に代入することで、影の図形の方程式を求める。 (1)では、求めた影の円 $C$ と直線 $l$ の位置関係を、円の中心と直線の距離を用いて調べる。 (2)では、交点の中点 $P$ の座標を $t$ の媒介変数表示で表し、$t$ を消去して軌跡の方程式と範囲を求める。

解法1

$xy$平面(平面 $z=0$)上の点 $(x, y, 0)$ が、光源 $A(0, 0, t)$ から照らされた影であるとする。光源 $A$ と点 $(x, y, 0)$ を通る直線上の点は、実数 $k$ を用いて次のように表せる。

$$ (X, Y, Z) = (0, 0, t) + k(x, y, -t) = (kx, ky, t(1 - k)) $$

(1)

平面 $z=1$ 上にある円の影 $C$ の方程式を求める。 $Z = 1$ のとき、$t(1 - k) = 1$ より $k = \frac{t - 1}{t}$ である。 このとき、平面 $z=1$ と直線の交点の $x, y$ 座標は以下のようになる。

$$ X = \frac{t - 1}{t}x, \quad Y = \frac{t - 1}{t}y $$

これが平面 $z=1$ 上の円 $(x - 1)^2 + (y - 1)^2 = 4$ 上にある条件は、上の $X, Y$ を代入して、

$$ \left( \frac{t - 1}{t}x - 1 \right)^2 + \left( \frac{t - 1}{t}y - 1 \right)^2 = 4 $$

$t > 2$ より $t - 1 \neq 0$ であるから、両辺に $\left( \frac{t}{t - 1} \right)^2$ を掛けて整理すると、影 $C$ の方程式が得られる。

$$ \left( x - \frac{t}{t - 1} \right)^2 + \left( y - \frac{t}{t - 1} \right)^2 = \frac{4t^2}{(t - 1)^2} $$

これは、中心 $\left( \frac{t}{t - 1}, \frac{t}{t - 1} \right)$、半径 $\frac{2t}{t - 1}$ の円である($t > 2$ より半径は正)。

次に、平面 $z=2$ 上にある直線の影 $l$ の方程式を求める。 $Z = 2$ のとき、$t(1 - k) = 2$ より $k = \frac{t - 2}{t}$ である。 このとき、平面 $z=2$ と直線の交点の $x$ 座標は以下のようになる。

$$ X = \frac{t - 2}{t}x $$

これが平面 $z=2$ 上の直線 $x = 1$ 上にある条件は、$X = 1$ より、

$$ \frac{t - 2}{t}x = 1 \iff x = \frac{t}{t - 2} $$

よって、影 $l$ は $y$ 軸に平行な直線 $x = \frac{t}{t - 2}$ である。

円 $C$ と直線 $l$ が相異なる2点で交わる条件は、円 $C$ の中心と直線 $l$ の距離 $d$ が、円 $C$ の半径 $r$ より小さいことである。

$$ d = \left| \frac{t}{t - 1} - \frac{t}{t - 2} \right| = \left| \frac{t(t - 2) - t(t - 1)}{(t - 1)(t - 2)} \right| = \left| \frac{-t}{(t - 1)(t - 2)} \right| $$

$t > 2$ より、$t > 0, t - 1 > 0, t - 2 > 0$ であるため、絶対値記号はそのまま外すことができる。

$$ d = \frac{t}{(t - 1)(t - 2)} $$

また、半径は $r = \frac{2t}{t - 1}$ であるから、$d < r$ より、

$$ \frac{t}{(t - 1)(t - 2)} < \frac{2t}{t - 1} $$

$t > 2$ より $\frac{t}{t - 1} > 0$ であるから、両辺を $\frac{t}{t - 1}$ で割ると、

$$ \frac{1}{t - 2} < 2 $$

さらに $t - 2 > 0$ より、両辺に $t - 2$ を掛けて整理する。

$$ \begin{aligned} 1 &< 2(t - 2) \\ 1 &< 2t - 4 \\ 2t &> 5 \\ t &> \frac{5}{2} \end{aligned} $$

(2)

(1)の条件 $t > \frac{5}{2}$ のもとで、円 $C$ と直線 $l$ は相異なる2点で交わる。 直線 $l$ は $y$ 軸に平行な直線 $x = \frac{t}{t - 2}$ であるため、2つの交点の $x$ 座標はともに $\frac{t}{t - 2}$ である。 また、円が $y$ 軸に平行な直線によって切り取られる弦の中点の $y$ 座標は、円の中心の $y$ 座標と一致する。 したがって、2交点の中点 $P$ の座標 $(X, Y)$ は以下のようになる。

$$ X = \frac{t}{t - 2}, \quad Y = \frac{t}{t - 1} $$

この媒介変数表示から $t$ を消去する。$X = \frac{t}{t - 2}$ より、

$$ \begin{aligned} X(t - 2) &= t \\ t(X - 1) &= 2X \end{aligned} $$

$t > \frac{5}{2}$ において $X = 1 + \frac{2}{t - 2} > 1$ であるから $X - 1 \neq 0$ であり、$t = \frac{2X}{X - 1}$ となる。これを $Y$ の式に代入する。

$$ Y = \frac{\frac{2X}{X - 1}}{\frac{2X}{X - 1} - 1} = \frac{2X}{2X - (X - 1)} = \frac{2X}{X + 1} $$

次に、$t > \frac{5}{2}$ における $X$ のとり得る値の範囲を求める。

$$ X = \frac{t}{t - 2} = 1 + \frac{2}{t - 2} $$

$t > \frac{5}{2}$ のとき、$t - 2 > \frac{1}{2}$ であるから、

$$ \begin{aligned} 0 &< \frac{1}{t - 2} < 2 \\ 0 &< \frac{2}{t - 2} < 4 \end{aligned} $$

各辺に $1$ を加えて、$1 < X < 5$ を得る。 軌跡の方程式は $y = \frac{2x}{x + 1} = 2 - \frac{2}{x + 1}$ と変形できるため、これは漸近線を $x = -1, y = 2$ とする双曲線の一部である。

解説

空間における投影を平面上の図形の方程式に帰着させる典型問題である。 空間上の点と投影図を結ぶ直線のベクトル方程式を立てるのが基本であり、本問では逆算的に「影となる $xy$ 平面上の点から光源へ向かう直線が各平面と交わる点」を立式すると計算の見通しが良い。 (2)において中点の座標を求める際、2交点の $y$ 座標を解の公式などで直接求めてもよいが、図形的な対称性(円とそれに交わる縦線の関係)に気づけば、円の中心の $y$ 座標と一致することがすぐに分かり計算量を大幅に削減できる。軌跡を図示する際は、定義域の端点(白丸になる点)と曲線の形状(漸近線)を明確に記述することが求められる。

答え

(1) $t > \frac{5}{2}$

(2) 点 $P$ の軌跡は、関数 $y = \frac{2x}{x + 1}$ の $1 < x < 5$ の部分である。 図示すると、双曲線 $y = 2 - \frac{2}{x + 1}$ の一部であり、点 $(1, 1)$ と点 $\left(5, \frac{5}{3}\right)$ を結ぶ、上に凸の単調増加な曲線となる(両端の点は含まない)。

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