トップ 名古屋大学 2006年 理系 第1問

名古屋大学 2006年 理系 第1問 解説

数学2/指数対数数学B/数列数学3/積分法テーマ/接線・法線テーマ/漸化式
名古屋大学 2006年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) は曲線上の接点の座標を文字で設定し、接線の方程式を立ててから、それが点 $(0, b)$ を通るという条件を用いて接点の座標を決定する。

(2)(1) の結果を利用することで、$A_n$ の座標から次の接点 $A_{n+1}$ の座標を求める漸化式を導出できる。面積計算は、積分する方向($x$ で積分するか、$y$ で積分するか)によって計算量が変わるため、式が簡単になる方を選択する。

(3) は等差数列と等比数列の積で表される数列の和の極限である。公比を掛けてずらして引くという定石を用いて和を計算し、問題文で与えられている極限の条件を利用する。

解法1

(1)

曲線 $C: y = \log x$ を微分すると

$$y' = \frac{1}{x}$$

となる。接点を $(t, \log t)$ とおくと、接線の方程式は

$$y - \log t = \frac{1}{t} (x - t)$$

$$y = \frac{1}{t} x - 1 + \log t$$

と表せる。これが点 $(0, b)$ を通るので

$$b = -1 + \log t$$

$$\log t = b + 1$$

$$t = e^{b+1}$$

となる。よって、求める接線の方程式は

$$y = \frac{1}{e^{b+1}} x + b$$

である。

(2)

点 $A_n$ の座標を $(a_n, \log a_n)$ とおく。$A_1 (1, 0)$ であるから $a_1 = 1$ である。

点 $A_n$ を通り $x$ 軸に平行な直線は $y = \log a_n$ であり、これと $y$ 軸との交点は $B_n (0, \log a_n)$ となる。

$B_n$ を通る曲線 $C$ の接線の接点が $A_{n+1} (a_{n+1}, \log a_{n+1})$ である。(1) の結果から、$y$ 切片が $b = \log a_n$ である接線の接点の $x$ 座標は $e^{b+1}$ となるため、

$$a_{n+1} = e^{\log a_n + 1} = e \cdot e^{\log a_n} = e \cdot a_n$$

が成り立つ。数列 $\{a_n\}$ は初項 $1$、公比 $e$ の等比数列であるから、

$$a_n = e^{n-1}$$

となる。これにより、各点の座標は

$$A_n (e^{n-1}, n-1), \quad B_n (0, n-1), \quad A_{n+1} (e^n, n)$$

となる。

線分 $B_n A_{n+1}$ は点 $(0, n-1)$ と点 $(e^n, n)$ を結ぶ直線の一部であり、その方程式は

$$y - (n-1) = \frac{n - (n-1)}{e^n - 0} (x - 0)$$

$$y = \frac{1}{e^n} x + n - 1$$

であり、これを $x$ について解くと直線 $x = e^n (y - n + 1)$ と表せる。

また、曲線 $C: y = \log x$ は $x = e^y$ と表せる。

面積 $S_n$ を $y$ 軸方向の積分で求める。$y$ の区間 $[n-1, n]$ において、直線 $x = e^n (y - n + 1)$ と曲線 $x = e^y$ で囲まれる領域の面積であるから、

$$S_n = \int_{n-1}^n \left\{ e^y - e^n (y - n + 1) \right\} dy$$

$$S_n = \left[ e^y - \frac{e^n}{2} (y - n + 1)^2 \right]_{n-1}^n$$

$$S_n = \left( e^n - \frac{e^n}{2} \cdot 1^2 \right) - \left( e^{n-1} - 0 \right)$$

$$S_n = \frac{1}{2} e^n - e^{n-1} = \frac{e-2}{2} e^{n-1}$$

となる。

(3)

(2) の結果より、

$$\frac{n}{S_n} = \frac{2n}{(e-2)e^{n-1}} = \frac{2}{e-2} n \left( \frac{1}{e} \right)^{n-1}$$

となる。ここで第 $n$ 部分和を

$$T_n = \sum_{k=1}^n k \left( \frac{1}{e} \right)^{k-1}$$

とおき、公比 $r = \frac{1}{e}$ を用いて $T_n$ を計算する。

$$T_n = 1 + 2r + 3r^2 + \cdots + n r^{n-1}$$

$$r T_n = r + 2r^2 + \cdots + (n-1)r^{n-1} + n r^n$$

辺々を引くと

$$(1-r)T_n = 1 + r + r^2 + \cdots + r^{n-1} - n r^n$$

$$(1-r)T_n = \frac{1 - r^n}{1 - r} - n r^n$$

ここで $|r| = \frac{1}{e} < 1$ であり、問題の条件から $n \to \infty$ のとき $nr^n \to 0$ となる。また $r^n \to 0$ である。極限をとると、

$$\lim_{n \to \infty} (1-r)T_n = \frac{1}{1-r}$$

$$\lim_{n \to \infty} T_n = \frac{1}{(1-r)^2}$$

$r = \frac{1}{e}$ を代入して

$$\lim_{n \to \infty} T_n = \frac{1}{\left(1 - \frac{1}{e}\right)^2} = \frac{e^2}{(e-1)^2}$$

したがって、求める無限級数の和は

$$\sum_{n=1}^\infty \frac{n}{S_n} = \frac{2}{e-2} \lim_{n \to \infty} T_n = \frac{2}{e-2} \cdot \frac{e^2}{(e-1)^2} = \frac{2e^2}{(e-2)(e-1)^2}$$

となる。

解法2

(2) の面積計算を $x$ 軸方向の積分で行う別解である。

点 $B_n (0, n-1)$ から直線 $x = e^n$ に下ろした垂線の足を $H(e^n, n-1)$ とおく。

直角三角形 $B_n H A_{n+1}$ の面積から、区間 $[e^{n-1}, e^n]$ における $y = \log x$ と直線 $y = n-1$ の間の面積を引くことで $S_n$ を求めることができる。

三角形 $B_n H A_{n+1}$ の面積は

$$\frac{1}{2} \cdot e^n \cdot \{n - (n-1)\} = \frac{1}{2} e^n$$

引くべき曲線下の面積は

$$\int_{e^{n-1}}^{e^n} \{ \log x - (n-1) \} dx$$

である。部分積分を用いてこれを計算する。

$$\int_{e^{n-1}}^{e^n} \{ \log x - (n-1) \} dx = \left[ x \log x - x - (n-1)x \right]_{e^{n-1}}^{e^n}$$

$$= \left[ x (\log x - n) \right]_{e^{n-1}}^{e^n}$$

$$= e^n (n - n) - e^{n-1} \{(n-1) - n\}$$

$$= 0 - e^{n-1} (-1) = e^{n-1}$$

したがって、求める面積 $S_n$ は

$$S_n = \frac{1}{2} e^n - e^{n-1} = \frac{e-2}{2} e^{n-1}$$

となる。

解説

(1) は接線の公式をそのまま用いる基本問題である。(2) ではその結果が漸化式へと繋がり、点の座標がきれいに求まる構造になっている。

面積計算においては、関数の形に着目し、積分変数を $x$ にするか $y$ にするかで計算の手間が大きく変わる。$y$ を変数として積分すると、対数関数の部分積分を避けて指数関数の積分に帰着できるため、計算ミスを減らすことができる。関数の逆関数の見方に慣れておくとよい。

(3) は(等差数列)×(等比数列)の形をした数列の和であり、公比を掛けてずらして引く定石手法を用いる。問題文の最後に極限値のヒントが与えられているため、解答ではこのヒントが適用できる形に変形していく論理を丁寧に記述することが重要である。

答え

(1)

$$y = \frac{1}{e^{b+1}} x + b$$

(2)

$$S_n = \frac{e-2}{2} e^{n-1}$$

(3)

$$\frac{2e^2}{(e-2)(e-1)^2}$$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。