九州大学 2015年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1)は関数を微分し、定義域 $x > 1$ における導関数の符号を調べる。
(2)は $\log x$ の微分が $\frac{1}{x}$ であることに着目し、置換積分法を用いる。
(3)は(1)の単調減少性と(2)の不定積分を利用して、数列の和を定積分で評価する典型的な手法(面積評価)を用いる。
解法1
(1)
$f(x) = \frac{1}{x(\log x)^2}$ とおく。
商の微分公式と合成関数の微分公式を用いて $f'(x)$ を計算する。
$$ \begin{aligned} f'(x) &= -\frac{\left( x(\log x)^2 \right)'}{\left( x(\log x)^2 \right)^2} \\ &= -\frac{1 \cdot (\log x)^2 + x \cdot 2(\log x) \cdot \frac{1}{x}}{x^2(\log x)^4} \\ &= -\frac{(\log x)^2 + 2\log x}{x^2(\log x)^4} \\ &= -\frac{\log x + 2}{x^2(\log x)^3} \end{aligned} $$
$x > 1$ において、$\log x > 0$ である。
したがって、$x^2(\log x)^3 > 0$ かつ $\log x + 2 > 0$ となるため、$f'(x) < 0$ が成り立つ。
よって、関数 $y = \frac{1}{x(\log x)^2}$ は $x > 1$ において単調に減少する。
(2)
$\log x = t$ とおくと、$\frac{1}{x} dx = dt$ である。
$$ \begin{aligned} \int \frac{1}{x(\log x)^2} dx &= \int \frac{1}{(\log x)^2} \cdot \frac{1}{x} dx \\ &= \int \frac{1}{t^2} dt \\ &= -\frac{1}{t} + C \\ &= -\frac{1}{\log x} + C \quad (C \text{ は積分定数}) \end{aligned} $$
(3)
(1)より、$f(x) = \frac{1}{x(\log x)^2}$ は $x > 1$ で単調に減少する。
したがって、自然数 $k \geqq 3$ に対して、$k-1 \leqq x \leqq k$ の区間において次の不等式が成り立つ。
$$ f(x) \geqq f(k) $$
等号は常に成立することはないため、この両辺を $x$ について $k-1$ から $k$ まで積分すると、以下の厳密な不等式が得られる。
$$ \int_{k-1}^{k} f(x) dx > \int_{k-1}^{k} f(k) dx $$
右辺は定数の積分であるから、次のように計算できる。
$$ \int_{k-1}^{k} f(k) dx = f(k) \cdot \left[ x \right]_{k-1}^{k} = f(k) \cdot 1 = f(k) $$
よって、次の評価式が得られる。
$$ f(k) < \int_{k-1}^{k} f(x) dx $$
この不等式で $k=3, 4, \cdots, n$ として辺々を加え合わせる。
$$ \begin{aligned} \sum_{k=3}^n f(k) &< \sum_{k=3}^n \int_{k-1}^{k} f(x) dx \\ &= \int_{2}^{3} f(x) dx + \int_{3}^{4} f(x) dx + \cdots + \int_{n-1}^{n} f(x) dx \\ &= \int_{2}^{n} f(x) dx \end{aligned} $$
ここで(2)の不定積分の結果を用いると、右辺の定積分は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} \int_{2}^{n} f(x) dx &= \left[ -\frac{1}{\log x} \right]_2^n \\ &= -\frac{1}{\log n} - \left(-\frac{1}{\log 2}\right) \\ &= \frac{1}{\log 2} - \frac{1}{\log n} \end{aligned} $$
$n$ は3以上の整数であるから、$n \geqq 3 > 1$ より $\log n > 0$ である。
したがって、$\frac{1}{\log n} > 0$ となり、次の不等式が成り立つ。
$$ \frac{1}{\log 2} - \frac{1}{\log n} < \frac{1}{\log 2} $$
以上より、目的の不等式が示された。
$$ \sum_{k=3}^n \frac{1}{k(\log k)^2} < \frac{1}{\log 2} $$
解説
微積分を用いて数列の和を評価する、いわゆる「面積評価」の典型問題である。
(1)と(2)は(3)の誘導として機能している。関数の単調減少性を示すことで長方形の面積と定積分の大小関係を立式し、不定積分の結果を用いて具体的な値を計算する。
(3)において、$k-1 \leqq x \leqq k$ という区間を選ぶか、$k \leqq x \leqq k+1$ という区間を選ぶかは、求める不等式の上界・下界に合わせて適切に判断する必要がある。今回は $\sum_{k=3}^n f(k)$ の上からの評価であるため、長方形の右上の頂点が曲線に接するような区間設定($k-1 \leqq x \leqq k$ で $f(x) \geqq f(k)$)が有効となる。
答え
(1) 関数を微分し、導関数が $x>1$ の範囲で負の値をとることから示される。(証明の詳細は解法1を参照)
(2) $$ -\frac{1}{\log x} + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
(3) 面積評価 $\sum_{k=3}^n f(k) < \int_2^n f(x) dx$ を立式し、(2)の結果を適用して示される。(証明の詳細は解法1を参照)
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