大阪大学 1969年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) は、多項式の恒等式において、特定の係数を決定する際の定石である「両辺に適切な値を代入する」「両辺を微分する」という操作を繰り返す問題である。 (2) は、(1) で得られた関係式を用いて $p, q, r$ を $a$ の式で表し、それらの絶対値の和の最小値を求める。絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、導関数を利用して関数の増減を調べる。
解法1
(1)
与えられた $x$ の恒等式 $$ f(x) = p + q(x - a) + r(x - a)^2 + P(x)(x - a)^3 $$ の両辺に $x = a$ を代入すると、 $$ f(a) = p + 0 + 0 + 0 $$ となり、 $p = f(a)$ が成り立つ。
次に、与式の両辺を $x$ で微分すると、積の微分法より $$ f'(x) = q + 2r(x - a) + P'(x)(x - a)^3 + P(x) \cdot 3(x - a)^2 $$ となる。この両辺に $x = a$ を代入すると、 $$ f'(a) = q + 0 + 0 + 0 $$ となり、 $q = f'(a)$ が成り立つ。
さらに、 $f'(x)$ の式の両辺を $x$ で微分すると、 $$ \begin{aligned} f''(x) &= 2r + P''(x)(x - a)^3 + P'(x) \cdot 3(x - a)^2 \\ &\quad + P'(x) \cdot 3(x - a)^2 + P(x) \cdot 6(x - a) \\ &= 2r + (x - a) \left\{ P''(x)(x - a)^2 + 6P'(x)(x - a) + 6P(x) \right\} \end{aligned} $$ となる。この両辺に $x = a$ を代入すると、 $$ f''(a) = 2r + 0 $$ となり、 $r = \frac{1}{2}f''(a)$ が成り立つ。
以上より、与えられた関係式が成り立つことが示された。
(2)
$f(x) = x^3 - x^2 + x - 1$ のとき、 $$ \begin{aligned} f'(x) &= 3x^2 - 2x + 1 \\ f''(x) &= 6x - 2 \end{aligned} $$ であるから、(1) の結果より $p, q, r$ は次のように表される。 $$ \begin{aligned} p &= f(a) = a^3 - a^2 + a - 1 \\ q &= f'(a) = 3a^2 - 2a + 1 \\ r &= \frac{1}{2}f''(a) = \frac{1}{2}(6a - 2) = 3a - 1 \end{aligned} $$
ここで、それぞれの式の値の正負を調べる。 $p$ について因数分解すると、 $$ p = a^2(a - 1) + (a - 1) = (a - 1)(a^2 + 1) $$ すべての実数 $a$ について $a^2 + 1 > 0$ であるため、$p$ の符号は $a - 1$ の符号と一致し、$a = 1$ を境に変化する。
$q$ について平方完成すると、 $$ q = 3 \left( a - \frac{1}{3} \right)^2 + \frac{2}{3} $$ となり、すべての実数 $a$ について $q > 0$ である。
$r$ は $r = 3a - 1$ であるため、$a = \frac{1}{3}$ を境に符号が変化する。
いま、 $g(a) = |p| + |q| + |r|$ とおく。絶対値の中身の符号が変化する境界は $a = \frac{1}{3}$ と $a = 1$ であるから、以下の3つの場合に分けて $g(a)$ の増減を調べる。
(i) $a < \frac{1}{3}$ のとき $p < 0$、$q > 0$、$r < 0$ であるから、 $$ \begin{aligned} g(a) &= -p + q - r \\ &= -(a^3 - a^2 + a - 1) + (3a^2 - 2a + 1) - (3a - 1) \\ &= -a^3 + 4a^2 - 6a + 3 \end{aligned} $$ これを $a$ で微分すると、 $$ g'(a) = -3a^2 + 8a - 6 = -3 \left( a - \frac{4}{3} \right)^2 - \frac{2}{3} $$ よって、この区間において $g'(a) < 0$ であり、$g(a)$ は単調に減少する。
(ii) $\frac{1}{3} \leqq a < 1$ のとき $p < 0$、$q > 0$、$r \geqq 0$ であるから、 $$ \begin{aligned} g(a) &= -p + q + r \\ &= -(a^3 - a^2 + a - 1) + (3a^2 - 2a + 1) + (3a - 1) \\ &= -a^3 + 4a^2 + 1 \end{aligned} $$ これを $a$ で微分すると、 $$ g'(a) = -3a^2 + 8a = -a(3a - 8) $$ $\frac{1}{3} \leqq a < 1$ の範囲では $a > 0$ かつ $3a - 8 < 0$ となるため、$g'(a) > 0$ である。 よって、この区間において $g(a)$ は単調に増加する。
(iii) $a \geqq 1$ のとき $p \geqq 0$、$q > 0$、$r > 0$ であるから、 $$ \begin{aligned} g(a) &= p + q + r \\ &= (a^3 - a^2 + a - 1) + (3a^2 - 2a + 1) + (3a - 1) \\ &= a^3 + 2a^2 + 2a - 1 \end{aligned} $$ これを $a$ で微分すると、 $$ g'(a) = 3a^2 + 4a + 2 = 3 \left( a + \frac{2}{3} \right)^2 + \frac{2}{3} $$ よって、この区間において $g'(a) > 0$ であり、$g(a)$ は単調に増加する。
以上の (i), (ii), (iii) より、$g(a)$ は連続な関数であり、 $a < \frac{1}{3}$ で単調減少、 $a \geqq \frac{1}{3}$ で単調増加することが分かる。 したがって、$g(a)$ すなわち $|p| + |q| + |r|$ を最小とする $a$ の値は $a = \frac{1}{3}$ である。
解説
(1) は、多項式を $(x-a)$ の累乗で展開した形(テイラー展開)における係数を求める基本的な証明問題である。微分して代入することで、余りとなる低次の項の係数が順次求まる仕組みを理解しておきたい。 (2) は、絶対値を含む関数の最小値を求める問題である。絶対値記号を外すためには、中身の正負による場合分けが不可欠である。各大問の流れに乗って $p, q, r$ を $a$ の式で表したのち、それぞれの符号が切り替わる境界の値を正確に見極め、微分を用いて各区間の増減を調べるという丁寧な処理が求められる。
答え
(1) 略(解法1を参照) (2) $a = \frac{1}{3}$
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