大阪大学 1975年 文系 第1問 解説

方針・初手
2つの2次方程式を解き、4点 $A, B, C, D$ の表す複素数を具体的に求める。 点 $A, B$ は互いに共役な虚数となり、点 $C, D$ は実数となる。これらの点が同一円周上にあるとすれば、その円は実軸に関して対称であり、中心は実軸上にあると予想できる。この対称性に着目し、円の中心の座標を推定して各点までの距離を計算するか、または図形的な性質から方べきの定理の逆を利用する。
解法1
$a > 1$ より、2次方程式 $ax^2 - 2x + a = 0$ の判別式を $D_1$ とすると、
$$ D_1 / 4 = (-1)^2 - a \cdot a = 1 - a^2 < 0 $$
よって、この方程式の解は虚数であり、解の公式より
$$ x = \frac{1 \pm \sqrt{1 - a^2}}{a} = \frac{1 \pm i\sqrt{a^2 - 1}}{a} $$
これらが点 $A, B$ を表す複素数である。
また、2次方程式 $x^2 - 2ax + 1 = 0$ の判別式を $D_2$ とすると、
$$ D_2 / 4 = (-a)^2 - 1 \cdot 1 = a^2 - 1 > 0 $$
よって、この方程式の解は相異なる実数であり、解の公式より
$$ x = a \pm \sqrt{a^2 - 1} $$
これらが点 $C, D$ を表す実数である。
点 $A, B$ は実軸に関して対称であり、点 $C, D$ は実軸上にある。4点 $A, B, C, D$ が同一円周上にあるとすれば、その円は実軸に関して対称な円であり、中心は実軸上にある。さらに、$C, D$ が実軸上にあるため、その中心は線分 $CD$ の中点であると推測できる。
線分 $CD$ の中点を表す実数を $c$ とすると、
$$ c = \frac{(a - \sqrt{a^2 - 1}) + (a + \sqrt{a^2 - 1})}{2} = a $$
となる。ここで、中心 $c = a$ から各点までの距離の2乗を計算する。
点 $C, D$ までの距離の2乗は、
$$ |C - a|^2 = |D - a|^2 = (\sqrt{a^2 - 1})^2 = a^2 - 1 $$
点 $A, B$ は互いに共役であり、中心 $a$ も実数であるため、$|A - a|^2 = |B - a|^2$ が成り立つ。
$$ |A - a|^2 = \left| \frac{1 + i\sqrt{a^2 - 1}}{a} - a \right|^2 $$
$$ |A - a|^2 = \left| \frac{1 - a^2 + i\sqrt{a^2 - 1}}{a} \right|^2 $$
$$ |A - a|^2 = \frac{(1 - a^2)^2 + (\sqrt{a^2 - 1})^2}{a^2} $$
$$ |A - a|^2 = \frac{(a^2 - 1)^2 + (a^2 - 1)}{a^2} $$
$$ |A - a|^2 = \frac{(a^2 - 1)(a^2 - 1 + 1)}{a^2} $$
$$ |A - a|^2 = \frac{(a^2 - 1)a^2}{a^2} = a^2 - 1 $$
したがって、
$$ |A - a| = |B - a| = |C - a| = |D - a| = \sqrt{a^2 - 1} $$
が成り立つ。よって、4点 $A, B, C, D$ は中心 $a$、半径 $\sqrt{a^2 - 1}$ の同一の円周上にある。(証明終)
解法2
点 $A, B$ を表す複素数をそれぞれ $\alpha, \bar{\alpha}$ とする。
$$ \alpha = \frac{1 + i\sqrt{a^2 - 1}}{a} $$
この2点を結ぶ線分 $AB$ は実軸と垂直に交わる。その交点を $H$ とすると、$H$ は実軸上の点であり、その表す実数は $\alpha$ の実部に等しく、$H = \frac{1}{a}$ である。
また、点 $C, D$ を表す複素数をそれぞれ $\gamma, \delta$($\gamma < \delta$)とすると、
$$ \gamma = a - \sqrt{a^2 - 1}, \quad \delta = a + \sqrt{a^2 - 1} $$
これらは実軸上の点である。ここで、$H$ と $\gamma, \delta$ の大小関係を調べる。
$$ \frac{1}{a} - \gamma = \frac{1}{a} - (a - \sqrt{a^2 - 1}) = \frac{1 - a^2 + a\sqrt{a^2 - 1}}{a} = \frac{\sqrt{a^2 - 1}(a - \sqrt{a^2 - 1})}{a} > 0 $$
よって $\gamma < H$ となる。また、$\delta > a > 1 > \frac{1}{a}$ であるから、$H < \delta$ となる。ゆえに、点 $H$ は線分 $CD$ 上の内分点である。
線分 $AB$ と線分 $CD$ の交点が $H$ であり、各点から交点 $H$ までの距離の積を計算する。$H$ から $A, B$ までの距離は、$\alpha$ の虚部の絶対値に等しいため、
$$ HA = HB = \frac{\sqrt{a^2 - 1}}{a} $$
よって、
$$ HA \cdot HB = \frac{a^2 - 1}{a^2} $$
次に、$H$ から $C, D$ までの距離の積は、
$$ HC \cdot HD = (H - \gamma)(\delta - H) $$
ここで、$\gamma, \delta$ は方程式 $x^2 - 2ax + 1 = 0$ の解であるから、解と係数の関係より $\gamma + \delta = 2a, \quad \gamma \delta = 1$ である。これを展開して代入すると、
$$ HC \cdot HD = -\gamma \delta + H(\gamma + \delta) - H^2 = -1 + \frac{1}{a}(2a) - \frac{1}{a^2} = 1 - \frac{1}{a^2} = \frac{a^2 - 1}{a^2} $$
したがって、
$$ HA \cdot HB = HC \cdot HD $$
が成り立つ。方べきの定理の逆より、4点 $A, B, C, D$ は同一の円周上にある。(証明終)
解説
共円条件(4点が同一円周上にある条件)を示すための基本的なアプローチが問われている問題である。
解法1のように、ある1点(中心)からの距離が等しいことを示すのが最も確実である。点 $A, B$ が共役複素数であり、点 $C, D$ が実数であるという対称性から、円が実軸対称となることを見抜ければ、中心を $C, D$ の中点に設定するという発想に自然に至る。
また、解法2のように幾何的な性質に帰着させ、方べきの定理の逆を用いる方法も非常に鮮やかで計算の見通しが良い。
答え
4点 $A, B, C, D$ は、中心を表す複素数が $a$、半径が $\sqrt{a^2 - 1}$ の同一円周上にあることが示された。
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