大阪大学 1981年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は多項式の合成関数の次数に注目する。2つの多項式を合成したときの次数は、それぞれの次数の積になることを利用し、方程式を立てて解く。
(2) は (1) の結果と $f(1)=1$ という条件から、2つの関数を $a(x-1)+1$ の形に設定する。この形は合成計算が容易になり、条件が「傾きの積」だけの関係式に帰着できるため、場合分けをして処理を進める。
解法1
(1)
$f_1(x)$、$f_2(x)$ の次数をそれぞれ $d_1, d_2$ とする。
$f_1$、$f_2$ は定数ではないので、$d_1 \geqq 1, d_2 \geqq 1$ である。
一般に、次数が $m, n$ の多項式 $P(x), Q(x)$ について、合成関数 $P(Q(x))$ の次数は $mn$ となる。
題意より、$f_1 \circ f_2$ は $f_1$ または $f_2$ のどちらかに一致する。
したがって、次数について以下の等式のいずれかが成り立つ。
$$ d_1 d_2 = d_1 \quad \text{または} \quad d_1 d_2 = d_2 $$
(i)
$d_1 d_2 = d_1$ のとき
$d_1 \geqq 1$ より、両辺を $d_1$ で割って $d_2 = 1$ を得る。
また、$f_1 \circ f_1$ は $f_1$ または $f_2$ に一致するため、その次数について $d_1^2 = d_1$ または $d_1^2 = d_2$ が成り立つ。
$d_2 = 1$ であるから、$d_1^2 = d_1$ または $d_1^2 = 1$ となる。
$d_1 \geqq 1$ より、いずれの場合も $d_1 = 1$ となる。
(ii)
$d_1 d_2 = d_2$ のとき
同様に、$d_2 \geqq 1$ より両辺を $d_2$ で割って $d_1 = 1$ を得る。
このとき、$f_2 \circ f_2$ が $f_1$ または $f_2$ に一致することから、その次数について $d_2^2 = d_1$ または $d_2^2 = d_2$ が成り立つ。
$d_1 = 1$ であり、$d_2 \geqq 1$ であるから、いずれの場合も $d_2 = 1$ となる。
(i)、(ii) のいずれの場合においても、$d_1 = d_2 = 1$ である。
よって、$f_1, f_2$ はともに1次式であることが示された。
(2)
(1) の結果より、$f_1(x), f_2(x)$ は1次式であるから、実数 $a_1, a_2, b_1, b_2$(ただし $a_1 \neq 0, a_2 \neq 0$)を用いて、次のように表せる。
$$ f_1(x) = a_1 x + b_1 $$
$$ f_2(x) = a_2 x + b_2 $$
条件 $f_1(1) = 1, f_2(1) = 1$ より、以下の関係式が成り立つ。
$$ a_1 + b_1 = 1 \iff b_1 = 1 - a_1 $$
$$ a_2 + b_2 = 1 \iff b_2 = 1 - a_2 $$
これを代入して整理すると、関数は次のように書ける。
$$ f_1(x) = a_1(x - 1) + 1 $$
$$ f_2(x) = a_2(x - 1) + 1 $$
ここで、関数 $f_i(x) = a_i(x-1)+1$、$f_j(x) = a_j(x-1)+1$ ($i, j \in \{1, 2\}$)の合成関数 $f_i \circ f_j$ を計算する。
$$ f_i(f_j(x)) = a_i \{ a_j(x-1)+1 - 1 \} + 1 = a_i a_j(x-1)+1 $$
すなわち、合成関数も同じ形を保ち、その傾きは元の傾きの積になる。
これらが $f_1$ または $f_2$ に一致するという条件は、傾きに注目することで、以下の集合の条件に言い換えられる。
$$ a_i a_j \in \{a_1, a_2\} \quad (i, j \in \{1, 2\}) $$
具体的には、以下の4つの条件がすべて成り立つことと同値である。
$$ a_1^2 \in \{a_1, a_2\} $$
$$ a_1 a_2 \in \{a_1, a_2\} $$
$$ a_2 a_1 \in \{a_1, a_2\} $$
$$ a_2^2 \in \{a_1, a_2\} $$
ここで、$a_1, a_2$ の値について場合分けを行う。
(ア)
$a_1 = a_2$ のとき
集合 $\{a_1, a_2\}$ は要素が1つの集合 $\{a_1\}$ となる。
条件は $a_1^2 = a_1$ のみとなり、$a_1 \neq 0$ より $a_1 = 1$ を得る。
このとき $a_2 = 1$ であり、すべての条件を満たす。
(イ)
$a_1 \neq a_2$ のとき
$a_1 a_2 \in \{a_1, a_2\}$ であるから、$a_1 a_2 = a_1$ または $a_1 a_2 = a_2$ となる。
もし $a_1 a_2 = a_1$ ならば、$a_1 \neq 0$ より $a_2 = 1$ となる。
このとき、$a_1^2 \in \{a_1, 1\}$ であるから、$a_1^2 = a_1$ または $a_1^2 = 1$ である。
$a_1 \neq a_2 = 1$ より $a_1 \neq 1$ だから、$a_1^2 = 1$ より $a_1 = -1$ を得る。
よって、$(a_1, a_2) = (-1, 1)$ となる。このとき $a_2^2 = 1 \in \{-1, 1\}$ も満たす。
もし $a_1 a_2 = a_2$ ならば、$a_2 \neq 0$ より $a_1 = 1$ となる。
このとき、$a_2^2 \in \{1, a_2\}$ であるから、$a_2^2 = 1$ または $a_2^2 = a_2$ である。
$a_2 \neq a_1 = 1$ より $a_2 \neq 1$ だから、$a_2^2 = 1$ より $a_2 = -1$ を得る。
よって、$(a_1, a_2) = (1, -1)$ となる。このとき $a_1^2 = 1 \in \{1, -1\}$ も満たす。
(ア)、(イ) より、求める $(a_1, a_2)$ の組は $(1, 1), (-1, 1), (1, -1)$ の3組である。
これらを $f_1(x) = a_1(x-1)+1, f_2(x) = a_2(x-1)+1$ にそれぞれ代入して整理すると、求める組 $(f_1, f_2)$ が得られる。
解説
(1) は、多項式の合成関数の性質である「合成関数の次数は各多項式の次数の積」を利用して、次数に関する方程式を立てるのが定石である。
(2) では、$f_1(1)=1$ などの定点を通る1次関数を $a(x-1)+1$ のように立式できるかがカギとなる。この形にしておくことで、合成関数 $(f \circ g)(x)$ を計算した際に定数項の煩雑な処理が消え、「傾きの積」という単純な条件に帰着させることができる。
答え
(1)
略(解法1参照)
(2)
$(f_1(x), f_2(x)) = (x, x), (-x+2, x), (x, -x+2)$
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