大阪大学 1996年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) は不等式の証明であり、(右辺) $-$ (左辺) $\geqq 0$ を示して因数分解に持ち込むのが定石である。(2) は3変数の関数の最大値を求める問題だが、(1) の結果を繰り返し用いることで、項をまとめて変数を $a+b+c$ の塊に帰着させることができる。
解法1
(1) $2^a + 2^b \leqq 1 + 2^{a+b}$ を示す。 右辺と左辺の差をとると、
$$ (1 + 2^{a+b}) - (2^a + 2^b) = 1 - 2^a - 2^b + 2^a \cdot 2^b $$
$$ = (1 - 2^a)(1 - 2^b) $$
条件より $a \geqq 0, b \geqq 0$ であり、底は $2 > 1$ であるから、$2^a \geqq 2^0 = 1$、$2^b \geqq 2^0 = 1$ となる。 したがって、$1 - 2^a \leqq 0$ かつ $1 - 2^b \leqq 0$ であるから、
$$ (1 - 2^a)(1 - 2^b) \geqq 0 $$
が成り立つ。 よって、$2^a + 2^b \leqq 1 + 2^{a+b}$ が示された。 (なお、等号成立は $1 - 2^a = 0$ または $1 - 2^b = 0$、すなわち $a = 0$ または $b = 0$ のときである)
(2) (1) の不等式において、実数 $a, b$ に対する条件は $0$ 以上であることのみである。 $a \geqq 0, b \geqq 0$ より $a+b \geqq 0$ であり、$c \geqq 0$ であるから、(1) の不等式の $a$ を $a+b$ に、$b$ を $c$ に置き換えたものも成立する。すなわち、
$$ 2^{a+b} + 2^c \leqq 1 + 2^{(a+b)+c} = 1 + 2^{a+b+c} $$
が成り立つ。これと (1) の結果を用いると、
$$ 2^a + 2^b + 2^c \leqq (1 + 2^{a+b}) + 2^c $$
$$ = 1 + (2^{a+b} + 2^c) $$
$$ \leqq 1 + (1 + 2^{a+b+c}) $$
$$ = 2 + 2^{a+b+c} $$
条件より $a+b+c=3$ であるから、
$$ 2^a + 2^b + 2^c \leqq 2 + 2^3 = 10 $$
となる。次に、最大値 $10$ をとるための条件(等号成立条件)を調べる。 上の不等式評価において等号が成り立つのは、
$$ 2^a + 2^b = 1 + 2^{a+b} \quad \cdots ① $$
かつ
$$ 2^{a+b} + 2^c = 1 + 2^{a+b+c} \quad \cdots ② $$
が同時に成り立つときである。 (1) の結果の等号成立条件より、① が成り立つのは $a=0$ または $b=0$ のときである。 同様に、② が成り立つのは $a+b=0$ または $c=0$ のときである。 $a \geqq 0, b \geqq 0$ より、$a+b=0$ は $a=b=0$ と同値であるから、②が成り立つ条件は $a=b=0$ または $c=0$ となる。
(i)
$a=b=0$ のとき $a+b+c=3$ より $c=3$ となる。このとき①($a=0$ または $b=0$)も満たしている。 よって、$(a, b, c) = (0, 0, 3)$。
(ii)
$c=0$ のとき $a+b+c=3$ より $a+b=3$ となる。 さらに①を満たすためには $a=0$ または $b=0$ であるから、 $a=0$ のとき $b=3$ となり、$(a, b, c) = (0, 3, 0)$。 $b=0$ のとき $a=3$ となり、$(a, b, c) = (3, 0, 0)$。
これらはいずれも $a, b, c \geqq 0$ を満たし、実際に $2^a+2^b+2^c=10$ となる。 以上より、$2^a + 2^b + 2^c$ は最大値 $10$ をとる。
解説
(1) で証明した不等式は、2つの指数関数の和を積(および定数)の形にまとめる役割を持っている。これを利用して、(2) では3変数の和を段階的に1つにまとめていくという、誘導に乗る典型的な流れである。 最大・最小問題において不等式評価を用いた場合、必ず「等号が成立するような変数の組が存在するか」を確認しなければならない。本問では等号成立条件を丁寧に追うことで、最大値を与える $(a, b, c)$ の組が自然に求まるようになっている。
答え
(1)
解法に示した通り。
(2)
最大値は $10$ 最大値を与える組は $(a, b, c) = (3, 0, 0), (0, 3, 0), (0, 0, 3)$
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