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東京工業大学 1966年 理系 第3問 解説

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東京工業大学 1966年 理系 第3問 解説

方針・初手

2つの式の差を関数として設定し、微分法を用いてその最小値を調べるのが定石である。条件式 $\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ から $p$ の値の範囲を求めておくことが、導関数の符号を判定する上で重要となる。

解法1

$\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ かつ $p > 0, q > 0$ であるから、

$$ \frac{1}{p} = 1 - \frac{1}{q} < 1 $$

が成り立ち、$p > 1$ であることがわかる。

$x \geqq 0$ において、2式の差を $f(x)$ とおく。

$$ f(x) = \frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} - x $$

これを $x$ で微分すると、

$$ f'(x) = x^{p-1} - 1 $$

となる。ここで、$p > 1$ より $p - 1 > 0$ であるから、$x > 0$ において $y = x^{p-1}$ は単調増加関数である。

$f'(x) = 0$ となるのは $x = 1$ のときであり、$x \geqq 0$ における $f(x)$ の増減表は以下のようになる。

$x$ $0$ $\cdots$ $1$ $\cdots$
$f'(x)$ $-$ $0$ $+$
$f(x)$ $\frac{1}{q}$ $\searrow$ $0$ $\nearrow$

ここで、最小値 $f(1)$ は、条件 $\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ を用いて計算すると、

$$ f(1) = \frac{1}{p} \cdot 1^p + \frac{1}{q} - 1 = \frac{1}{p} + \frac{1}{q} - 1 = 1 - 1 = 0 $$

となる。

したがって、$x \geqq 0$ において $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。等号が成立するのは $x = 1$ のときのみである。

これより、$\frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \geqq x$ であることが示された。

解法2

$x = 0$ のとき、

$$ \frac{1}{p} \cdot 0^p + \frac{1}{q} = \frac{1}{q} $$

であり、$q > 0$ より $\frac{1}{q} > 0$ であるから、$\frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} > x$ が成り立つ。

$x > 0$ のときを考える。関数 $y = \log x$ は $x > 0$ において上に凸な関数である。

また、与えられた条件より $\frac{1}{p} > 0, \frac{1}{q} > 0$ であり、$\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ を満たす。

したがって、任意の正の数 $A, B$ に対して、次の不等式が成り立つ。

$$ \log \left( \frac{1}{p} A + \frac{1}{q} B \right) \geqq \frac{1}{p} \log A + \frac{1}{q} \log B $$

ここで、$A = x^p, B = 1$ とおくと、

$$ \log \left( \frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \cdot 1 \right) \geqq \frac{1}{p} \log x^p + \frac{1}{q} \log 1 $$

右辺を計算すると、

$$ \frac{1}{p} \cdot p \log x + \frac{1}{q} \cdot 0 = \log x $$

となるため、

$$ \log \left( \frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \right) \geqq \log x $$

が得られる。対数関数は底の $e$ が $1$ より大きく単調増加であるため、真数の大小関係もこれに一致し、

$$ \frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \geqq x $$

が成り立つ。等号成立条件は、$A = B$ すなわち $x^p = 1$ のときであり、$x > 0$ より $x = 1$ のときである。

以上より、$x \geqq 0$ のすべての範囲において、$\frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \geqq x$ となる。

解説

この問題は、有名な「ヤングの不等式(Young's inequality)」の特別な場合(一方を変数、もう一方を定数の $1$ とみなした形)を示させるものである。

大小比較の基本である「差をとって微分し、最小値を求める」という方針(解法1)が最も確実で標準的である。その際、$x^{p-1}$ の増減を正しく判定するために、$p > 1$ という条件を自ら導き出す必要がある点に注意したい。

解法2のような「対数関数が上に凸であること」を利用する証明も、ヤングの不等式や相加・相乗平均の関係の一般化を示す際によく用いられるエレガントな手法である。

答え

常に $\frac{1}{p} x^p + \frac{1}{q} \geqq x$ が成り立つ。(等号成立は $x = 1$ のとき)

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