名古屋大学 1966年 文系 第6問 解説

方針・初手
対数の積や商が含まれる式は、$\log_{10} x = X$、$\log_{10} y = Y$ とおき換えることで見通しよく処理できる。 前半の不等式証明は、置き換えた文字や元の変数についての相加平均と相乗平均の関係を用いる。 後半は、与えられた式を $X, Y$ で表して整理し、$x+y \leqq 20$ の条件から $X+Y$ のとりうる値の範囲を絞り込み、相加平均と相乗平均の関係を用いて積の最大値を考える。
解法1
$1 \leqq x, 1 \leqq y$ より、$\log_{10} x \geqq 0, \log_{10} y \geqq 0$ である。 $\log_{10} x = X, \log_{10} y = Y$ とおくと、$X \geqq 0, Y \geqq 0$ となる。
前半の不等式について、まず左側の不等式を証明する。 $X \geqq 0, Y \geqq 0$ における相加平均と相乗平均の関係より、
$$ \sqrt{X} \sqrt{Y} \leqq \frac{X + Y}{2} $$
が成り立つ。ここで、$\sqrt{X} \sqrt{Y} = \sqrt{\log_{10} x} \sqrt{\log_{10} y}$ であり、右辺は $\frac{X+Y}{2} = \frac{\log_{10} x + \log_{10} y}{2} = \frac{1}{2} \log_{10} xy = \log_{10} \sqrt{xy}$ と変形できるから、
$$ \sqrt{\log_{10} x} \sqrt{\log_{10} y} \leqq \log_{10} \sqrt{xy} $$
が示された。等号成立は $X=Y$、すなわち $x=y$ のときである。
次に、右側の不等式を証明する。 $x > 0, y > 0$ における相加平均と相乗平均の関係より、
$$ \sqrt{xy} \leqq \frac{x+y}{2} $$
が成り立つ。底 $10$ は $1$ より大きいので、両辺の常用対数をとっても大小関係は保存され、
$$ \log_{10} \sqrt{xy} \leqq \log_{10} \frac{x+y}{2} $$
となる。右辺を変形すると、
$$ \log_{10} \frac{x+y}{2} = \log_{10} (x+y) - \log_{10} 2 $$
となるので、
$$ \log_{10} \sqrt{xy} \leqq \log_{10} (x+y) - \log_{10} 2 $$
が示された。等号成立は $x=y$ のときである。 以上より、題意の不等式は証明された。
後半の最大値を求める。 与えられた式は、対数の性質を用いて次のように変形できる。
$$ \log_{10} xy + \log_{10} \frac{x}{y} = (\log_{10} x + \log_{10} y) + (\log_{10} x - \log_{10} y) = 2 \log_{10} x = 2X $$
$$ \log_{10} xy - \log_{10} \frac{x}{y} = (\log_{10} x + \log_{10} y) - (\log_{10} x - \log_{10} y) = 2 \log_{10} y = 2Y $$
したがって、求める式は
$$ \left( \log_{10} xy + \log_{10} \frac{x}{y} \right) \left( \log_{10} xy - \log_{10} \frac{x}{y} \right) = 2X \cdot 2Y = 4XY $$
となる。 条件 $x+y \leqq 20$ について、相加平均と相乗平均の関係 $x+y \geqq 2\sqrt{xy}$ を用いると、
$$ 2\sqrt{xy} \leqq x+y \leqq 20 $$
$$ \sqrt{xy} \leqq 10 $$
両辺は正なので、底 $10$ の常用対数をとると
$$ \log_{10} \sqrt{xy} \leqq \log_{10} 10 = 1 $$
$\log_{10} \sqrt{xy} = \frac{1}{2} (\log_{10} x + \log_{10} y) = \frac{X+Y}{2}$ であるから、
$$ \frac{X+Y}{2} \leqq 1 \iff X+Y \leqq 2 $$
となる。 さらに、$X \geqq 0, Y \geqq 0$ における相加平均と相乗平均の関係より、
$$ \sqrt{XY} \leqq \frac{X+Y}{2} \leqq 1 $$
両辺は $0$ 以上であるから、2乗すると $XY \leqq 1$ を得る。 したがって、$4XY \leqq 4$ となる。
等号成立条件を確認する。 $XY \leqq 1$ の等号が成立するのは $X=Y$ かつ $X+Y=2$ のとき、すなわち $X=1, Y=1$ のときである。 このとき $\log_{10} x = 1, \log_{10} y = 1$ より $x=10, y=10$ となり、条件 $1 \leqq x, 1 \leqq y$ および $x+y \leqq 20$ を満たす。 よって、最大値は $4$ である。
解説
対数の性質と「相加平均と相乗平均の関係」の組み合わせがメインテーマの問題である。 前半の不等式証明では、どの部分に相加平均と相乗平均の関係を適用するべきかを見抜く必要がある。左側の不等式は対数の値そのもの($X, Y$)に対して、右側の不等式は真数($x, y$)に対して適用している。 後半の最大値問題は、与式を対数法則で整理すると $4 \log_{10} x \log_{10} y$ になることに気づくのが第一歩である。条件式 $x+y \leqq 20$ から和の最大値を出し、そこから積の最大値を導くプロセスは、不等式評価の典型的な流れである。最大値を求めたあとは、等号成立条件を必ず確認すること。
答え
【証明】 略(解説の通り)
【最大値】 $4$
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