大阪大学 1997年 文系 第2問 解説

方針・初手
点 $P$ の座標を $(a\cos\theta, a\sin\theta)$ と設定する。 円が $x$ 軸、$y$ 軸と交わってできる線分 $AC, BD$ は、それぞれ $x$ 軸、$y$ 軸上に位置するため、四角形 $ABCD$ の直交する対角線となる。 したがって、円の弦の長さを求める要領で $AC, BD$ の長さを計算し、対角線が直交する四角形の面積公式 $S = \frac{1}{2} AC \cdot BD$ を用いるのが見通しの良い方針である。
解法1
(1) 点 $P$ は第1象限にあり、原点 $O$ からの距離が $a$、$\angle POA = \theta$ であるから、その座標は $(a\cos\theta, a\sin\theta)$ と表せる。
点 $P$ を中心とする半径 $1$ の円が $x$ 軸から切り取る線分 $AC$ の長さを求める。 点 $P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の長さは、点 $P$ の $y$ 座標であるから $a\sin\theta$ である。 円の半径は $1$ であるため、三平方の定理より弦 $AC$ の長さの半分は $\sqrt{1^2 - (a\sin\theta)^2}$ となる。よって、
$$ AC = 2\sqrt{1 - a^2\sin^2\theta} $$
同様に、円が $y$ 軸から切り取る線分 $BD$ の長さについて、点 $P$ から $y$ 軸に下ろした垂線の長さは $a\cos\theta$ であることから、
$$ BD = 2\sqrt{1^2 - (a\cos\theta)^2} = 2\sqrt{1 - a^2\cos^2\theta} $$
四角形 $ABCD$ の対角線 $AC$ と $BD$ はそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸上にあるため直交している。 したがって、四角形 $ABCD$ の面積 $S$ は、
$$ S = \frac{1}{2} AC \cdot BD $$
$$ S = \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{1 - a^2\sin^2\theta} \cdot 2\sqrt{1 - a^2\cos^2\theta} $$
$$ S = 2\sqrt{(1 - a^2\sin^2\theta)(1 - a^2\cos^2\theta)} $$
根号の中を展開して整理すると、
$$ (1 - a^2\sin^2\theta)(1 - a^2\cos^2\theta) = 1 - a^2(\sin^2\theta + \cos^2\theta) + a^4\sin^2\theta\cos^2\theta $$
$$ = 1 - a^2 + \frac{a^4}{4} (2\sin\theta\cos\theta)^2 $$
$$ = 1 - a^2 + \frac{a^4}{4} \sin^2 2\theta $$
よって、求める面積 $S$ は、
$$ S = 2\sqrt{1 - a^2 + \frac{a^4}{4}\sin^2 2\theta} $$
(2) $\theta$ は $0^\circ < \theta < 90^\circ$ の範囲を動くため、$0^\circ < 2\theta < 180^\circ$ となる。 この範囲において、
$$ 0 < \sin 2\theta \leqq 1 $$
が成り立つ。したがって、$S$ が最大となるのは $\sin 2\theta = 1$ のときである。 このとき、
$$ 2\theta = 90^\circ \iff \theta = 45^\circ $$
であり、最大値は、
$$ S = 2\sqrt{1 - a^2 + \frac{a^4}{4} \cdot 1^2} $$
$$ = 2\sqrt{\left(1 - \frac{a^2}{2}\right)^2} $$
ここで、$0 < a < 1$ であるため $1 - \frac{a^2}{2} > 0$ であり、そのまま根号を外すことができる。よって最大値は、
$$ S = 2\left(1 - \frac{a^2}{2}\right) = 2 - a^2 $$
解法2
円の方程式を用いて代数的に交点の座標を求める解法。
(1) 点 $P$ の座標は $(a\cos\theta, a\sin\theta)$ であるから、点 $P$ を中心とする半径 $1$ の円の方程式は、
$$ (x - a\cos\theta)^2 + (y - a\sin\theta)^2 = 1 $$
$x$ 軸上の点 $A, C$ の $x$ 座標は、$y = 0$ を代入して、
$$ (x - a\cos\theta)^2 + a^2\sin^2\theta = 1 $$
$$ (x - a\cos\theta)^2 = 1 - a^2\sin^2\theta $$
$0 < a < 1$ より $1 - a^2\sin^2\theta > 0$ は常に成り立つため、
$$ x = a\cos\theta \pm \sqrt{1 - a^2\sin^2\theta} $$
交点間の距離が線分 $AC$ の長さとなるため(点 $A$ の $x$ 座標が正という条件に関わらず差をとれば求まる)、
$$ AC = \left(a\cos\theta + \sqrt{1 - a^2\sin^2\theta}\right) - \left(a\cos\theta - \sqrt{1 - a^2\sin^2\theta}\right) = 2\sqrt{1 - a^2\sin^2\theta} $$
同様に、$y$ 軸上の点 $B, D$ の $y$ 座標は、$x = 0$ を代入して、
$$ (y - a\sin\theta)^2 = 1 - a^2\cos^2\theta $$
$$ y = a\sin\theta \pm \sqrt{1 - a^2\cos^2\theta} $$
となり、線分 $BD$ の長さは、
$$ BD = \left(a\sin\theta + \sqrt{1 - a^2\cos^2\theta}\right) - \left(a\sin\theta - \sqrt{1 - a^2\cos^2\theta}\right) = 2\sqrt{1 - a^2\cos^2\theta} $$
以降、四角形 $ABCD$ の面積 $S = \frac{1}{2} AC \cdot BD$ を計算して $\theta$ を求める手順は解法1と同様である。
解説
図形的なアプローチ(解法1)と、代数的なアプローチ(解法2)のどちらでも無理なく完答できる問題である。 円が座標軸から切り取る弦の長さを求める際、中心からの距離と三平方の定理を用いると計算が非常に簡潔になる。 また、面積の式を整理する過程で $\sin^2\theta\cos^2\theta$ の形が現れるため、2倍角の公式 $\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta$ を用いて1つの三角関数にまとめるのが、最大値・最小値を求める際の定石である。 最後に根号を外す際、$\sqrt{X^2} = |X|$ に従い、定数 $a$ の条件($0 < a < 1$)から絶対値の中身の符号が正であることを確認する手順を忘れないようにする。
答え
(1)
$$ S = 2\sqrt{1 - a^2 + \frac{a^4}{4}\sin^2 2\theta} $$
(2)
最大値 $2 - a^2$ ($\theta = 45^\circ$ のとき)
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