大阪大学 1997年 文系 第3問 解説

方針・初手
直方体の辺の長さが正の実数であることから、$x > 0$ かつ $y > 0$ という条件が隠れていることに注意する。条件式 $2x + y = a$ (または $2x + y = 1$)を用いて文字 $y$ を消去し、$x$ の1変数関数として最大・最小を考える。その際、$y > 0$ から $x$ のとりうる値の範囲(定義域)を正確に求めておくことが初手となる。
解法1
(1)
直方体の辺の長さは正であるから、$x > 0$ かつ $y > 0$ である。
問題の条件 $x + x + y = a$ より、
$$ y = a - 2x $$
である。$y > 0$ であるから、$a - 2x > 0$ すなわち $x < \frac{a}{2}$ となる。
$x > 0$ と合わせると、$a > 0$ であり、$x$ のとりうる値の範囲は
$$ 0 < x < \frac{a}{2} $$
となる。直方体の体積 $V$ は縦、横、高さの積であるから、
$$ V = x^2 y $$
これに $y = a - 2x$ を代入して、$x$ の関数として表すと、
$$ V = x^2 (a - 2x) = -2x^3 + ax^2 $$
$V$ を $x$ で微分すると、
$$ \frac{dV}{dx} = -6x^2 + 2ax = -2x(3x - a) $$
$\frac{dV}{dx} = 0$ とすると、$x = 0, \frac{a}{3}$ である。
$0 < x < \frac{a}{2}$ において、$V$ の増減は以下のようになる。
$0 < x < \frac{a}{3}$ のとき、$\frac{dV}{dx} > 0$ より $V$ は単調増加する。
$x = \frac{a}{3}$ のとき、$\frac{dV}{dx} = 0$ となる。
$\frac{a}{3} < x < \frac{a}{2}$ のとき、$\frac{dV}{dx} < 0$ より $V$ は単調減少する。
したがって、$V$ は $x = \frac{a}{3}$ で極大かつ最大となる。
このとき、$y$ の値は、
$$ y = a - 2 \cdot \frac{a}{3} = \frac{a}{3} $$
となる。
(2)
$a=1$ のとき、条件式は $2x + y = 1$ となり、$y = 1 - 2x$ である。
(1) と同様にして、$x$ のとりうる値の範囲は
$$ 0 < x < \frac{1}{2} $$
である。
このとき、体積 $V$ は (1) の式に $a=1$ を代入して、
$$ V = -2x^3 + x^2 $$
となる。
次に、直方体の表面積 $S$ を求める。縦 $x$、横 $x$、高さ $y$ の直方体の表面積は、上下の面の面積が $x^2$ ずつ、側面の4つの面の面積が $xy$ ずつであるから、
$$ S = 2x^2 + 4xy = 2(x^2 + 2xy) $$
これに $y = 1 - 2x$ を代入すると、
$$ S = 2 \{ x^2 + 2x(1 - 2x) \} = 2(x^2 + 2x - 4x^2) = 2(-3x^2 + 2x) = -6x^2 + 4x $$
求める関数を $f(x) = V - \frac{1}{2}S$ とおくと、
$$ f(x) = (-2x^3 + x^2) - \frac{1}{2}(-6x^2 + 4x) $$
$$ f(x) = -2x^3 + x^2 + 3x^2 - 2x = -2x^3 + 4x^2 - 2x $$
$f(x)$ を $x$ で微分すると、
$$ f'(x) = -6x^2 + 8x - 2 = -2(3x^2 - 4x + 1) = -2(3x - 1)(x - 1) $$
$f'(x) = 0$ とすると、$x = \frac{1}{3}, 1$ である。
定義域 $0 < x < \frac{1}{2}$ における $f(x)$ の増減を調べる。
$0 < x < \frac{1}{3}$ のとき、$3x - 1 < 0$ かつ $x - 1 < 0$ より、$f'(x) < 0$ である。
$x = \frac{1}{3}$ のとき、$f'(x) = 0$ である。
$\frac{1}{3} < x < \frac{1}{2}$ のとき、$3x - 1 > 0$ かつ $x - 1 < 0$ より、$f'(x) > 0$ である。
したがって、$f(x)$ は $x = \frac{1}{3}$ で極小かつ最小となる。
このとき、$y$ の値は、
$$ y = 1 - 2 \cdot \frac{1}{3} = \frac{1}{3} $$
となる。
解法2
(1) について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いる解法
直方体の辺の長さは正であるから、$x > 0$ かつ $y > 0$ である。
$x, x, y$ という3つの正の数について、相加平均と相乗平均の大小関係を適用すると、
$$ \frac{x + x + y}{3} \geqq \sqrt[3]{x \cdot x \cdot y} $$
が成り立つ。条件 $x + x + y = a$ を代入し、右辺を体積 $V = x^2y$ を用いて表すと、
$$ \frac{a}{3} \geqq \sqrt[3]{V} $$
両辺は正であるから、両辺を3乗して整理すると、
$$ V \leqq \frac{a^3}{27} $$
等号が成立するのは、$x = x = y$ のときである。
条件式 $2x + y = a$ に $y = x$ を代入すると $3x = a$ となり、$x = \frac{a}{3}$ を得る。
このとき $y = \frac{a}{3}$ であり、$x>0, y>0$ を満たす。
よって、$V$ が最大となるのは $x = \frac{a}{3}, y = \frac{a}{3}$ のときである。
解説
制約条件付きの多変数関数の最大・最小問題の基本形である。条件式を用いて変数を消去し、1変数の関数に帰着させるのが定石の手法である。
この際、消去する変数(本問では $y$)が正であるという条件から、残る変数(本問では $x$)の定義域が制限されることに注意する必要がある。定義域を確認せずに微分をして増減を調べると、求めた極値をとる $x$ が元の条件に合致しない場合(いわゆる「定義域外」)に誤答につながる。
また、(1) は「和が一定のときに積の最大値を求める」構造となっているため、3変数の相加平均と相乗平均の大小関係が極めて有効に機能する典型的な問題でもある。
答え
(1)
$x = \frac{a}{3}, y = \frac{a}{3}$
(2)
$x = \frac{1}{3}, y = \frac{1}{3}$
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