大阪大学 1962年 理系 第5問 解説

方針・初手
三角形 $PED$ の面積を求める前半は、図形の性質(角度や対称性)を利用して幾何的に解く方針と、長方形を座標平面上に設定して直線の方程式から交点を求める代数的な方針の2つが考えられます。どちらの方針でも、最終的に得られる面積の式は同じになります。
後半は、$AC = 1$ という条件から $x^2 + y^2 = 1$ が導かれるので、これを前半で求めた面積の式に代入し、$x$ の1変数関数として最大値を求める微分法の問題に帰着させます。
解法1
長方形の各辺の長さは $AB = x$, $AD = y$ である。 $\angle BAC = \theta$ とおくと、$x > y > 0$ より $0 < \theta < \frac{\pi}{4}$ である。 直角三角形 $ABC$ において、三平方の定理より $AC = \sqrt{x^2 + y^2}$ であるから、以下の三角比が成り立つ。
$$ \cos\theta = \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}}, \quad \sin\theta = \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}}, \quad \tan\theta = \frac{y}{x} $$
点 $E$ は直線 $AC$ に関して点 $B$ と対称であるため、$\angle EAC = \angle BAC = \theta$ であり、$\angle EAB = 2\theta$ となる。 また、$AB \parallel CD$ より錯角が等しいので、$\angle DPA = \angle PAB = 2\theta$ である。
直角三角形 $ADP$ に着目すると、$\angle D = 90^\circ$ より $DP = \frac{AD}{\tan(\angle DPA)} = \frac{y}{\tan 2\theta}$ と表せる。 ここで、2倍角の公式より $\tan 2\theta$ を計算する。
$$ \tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta} = \frac{2 \cdot \frac{y}{x}}{1 - \left(\frac{y}{x}\right)^2} = \frac{2xy}{x^2 - y^2} $$
したがって、$DP$ の長さは次のように求まる。
$$ DP = y \div \frac{2xy}{x^2 - y^2} = \frac{x^2 - y^2}{2x} $$
次に、$AP$ の長さを求める。 直角三角形 $ADP$ において、$AP = \frac{AD}{\sin 2\theta}$ である。 2倍角の公式より、$\sin 2\theta = 2\sin\theta\cos\theta = 2 \cdot \frac{y}{\sqrt{x^2 + y^2}} \cdot \frac{x}{\sqrt{x^2 + y^2}} = \frac{2xy}{x^2 + y^2}$ となるので、
$$ AP = y \div \frac{2xy}{x^2 + y^2} = \frac{x^2 + y^2}{2x} $$
対称性より $AE = AB = x$ であり、$x - AP = x - \frac{x^2 + y^2}{2x} = \frac{x^2 - y^2}{2x}$ である。 $x > y > 0$ よりこれは正の値となるため、$AP < AE$ が成り立ち、点 $P$ は線分 $AE$ 上に存在する。 よって、線分 $PE$ の長さは次のように求まる。
$$ PE = AE - AP = x - \frac{x^2 + y^2}{2x} = \frac{x^2 - y^2}{2x} $$
三角形 $PED$ の面積を $S$ とする。 点 $A, P, E$ はこの順に一直線上にあるため、$\angle EPD = 180^\circ - \angle DPA = 180^\circ - 2\theta$ である。 三角形の面積公式より、$S$ は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \cdot PE \cdot DP \sin(180^\circ - 2\theta) \\ &= \frac{1}{2} \left( \frac{x^2 - y^2}{2x} \right)^2 \sin 2\theta \\ &= \frac{1}{2} \cdot \frac{(x^2 - y^2)^2}{4x^2} \cdot \frac{2xy}{x^2 + y^2} \\ &= \frac{y(x^2 - y^2)^2}{4x(x^2 + y^2)} \end{aligned} $$
続いて、$AC = 1$ のときの面積 $S$ の最大値を考える。 $AC^2 = x^2 + y^2 = 1$ であり、これより $y^2 = 1 - x^2$($y = \sqrt{1 - x^2}$)となる。 $x > y > 0$ を二乗して $x^2 > 1 - x^2$ より $2x^2 > 1$ すなわち $\frac{1}{2} < x^2 < 1$ を満たす。 $x^2 + y^2 = 1$ を面積 $S$ の式に代入する。
$$ S = \frac{y(x^2 - y^2)^2}{4x \cdot 1} = \frac{\sqrt{1 - x^2} \{ x^2 - (1 - x^2) \}^2}{4x} = \frac{\sqrt{1 - x^2} (2x^2 - 1)^2}{4x} $$
$S > 0$ であるから、$S$ が最大となるのは $S^2$ が最大となるときである。 計算を簡略化するため、$t = x^2$ とおくと、定義域は $\frac{1}{2} < t < 1$ となる。
$$ S^2 = \frac{(1 - x^2)(2x^2 - 1)^4}{16x^2} = \frac{(1 - t)(2t - 1)^4}{16t} $$
この関数を $f(t) = \frac{(1 - t)(2t - 1)^4}{16t}$ とおき、$t$ で微分する。
$$ \begin{aligned} f'(t) &= \frac{1}{16} \cdot \frac{ \left\{ -(2t - 1)^4 + (1 - t) \cdot 4(2t - 1)^3 \cdot 2 \right\} t - (1 - t)(2t - 1)^4 \cdot 1 }{ t^2 } \\ &= \frac{(2t - 1)^3}{16t^2} \left[ \{ -(2t - 1) + 8(1 - t) \} t - (1 - t)(2t - 1) \right] \\ &= \frac{(2t - 1)^3}{16t^2} \left[ (-10t + 9)t - (-2t^2 + 3t - 1) \right] \\ &= \frac{(2t - 1)^3}{16t^2} (-8t^2 + 6t + 1) \end{aligned} $$
$f'(t) = 0$ となる $t$ は、$-8t^2 + 6t + 1 = 0 \iff 8t^2 - 6t - 1 = 0$ の解である。 解の公式より、$t = \frac{3 \pm \sqrt{(-3)^2 - 8 \cdot (-1)}}{8} = \frac{3 \pm \sqrt{17}}{8}$ を得る。 $\sqrt{16} < \sqrt{17} < \sqrt{25}$ より $4 < \sqrt{17} < 5$ であるから、$7 < 3 + \sqrt{17} < 8$ となり、$\frac{1}{2} < \frac{3 + \sqrt{17}}{8} < 1$ を満たす。 ($3 - \sqrt{17} < 0$ より、もう一方の解は不適)
増減表を考えると、$\frac{1}{2} < t < \frac{3 + \sqrt{17}}{8}$ において $f'(t) > 0$、$\frac{3 + \sqrt{17}}{8} < t < 1$ において $f'(t) < 0$ となるため、$t = \frac{3 + \sqrt{17}}{8}$ のとき $f(t)$ は極大かつ最大となる。
したがって、$S$ が最大となる $x$ の値は次のようになる。
$$ x = \sqrt{t} = \sqrt{\frac{3 + \sqrt{17}}{8}} $$
解法2
(前半の面積を求める部分の別解) 点 $A$ を原点 $(0, 0)$ とし、点 $B(x, 0)$、点 $C(x, y)$、点 $D(0, y)$ と座標平面上に設定する。 対角線 $AC$ を通る直線の方程式は $Y = \frac{y}{x}X$ である。
点 $E$ は直線 $AC$ に関する点 $B$ の対称点である。 直線 $BE$ は $AC$ と垂直に交わるため、その傾きは $-\frac{x}{y}$ となる。 点 $B(x, 0)$ を通るので、直線 $BE$ の方程式は $Y = -\frac{x}{y}(X - x)$ すなわち $xX + yY = x^2$ である。
直線 $AC$ と直線 $BE$ の交点 $H$ の座標を求める。 $Y = \frac{y}{x}X$ を直線 $BE$ の式に代入すると、
$$ xX + y \left( \frac{y}{x}X \right) = x^2 \iff \frac{x^2 + y^2}{x}X = x^2 \iff X = \frac{x^3}{x^2 + y^2} $$
これより、$Y = \frac{y}{x} \cdot \frac{x^3}{x^2 + y^2} = \frac{x^2 y}{x^2 + y^2}$ となり、$H \left( \frac{x^3}{x^2 + y^2}, \frac{x^2 y}{x^2 + y^2} \right)$ を得る。 点 $H$ は線分 $BE$ の中点であるから、点 $E$ の座標 $(X_E, Y_E)$ は次のように求まる。
$$ \begin{aligned} X_E &= 2 \cdot \frac{x^3}{x^2 + y^2} - x = \frac{2x^3 - x(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2} = \frac{x(x^2 - y^2)}{x^2 + y^2} \\ Y_E &= 2 \cdot \frac{x^2 y}{x^2 + y^2} - 0 = \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} \end{aligned} $$
直線 $AE$ は原点を通るため、その傾きは $\frac{Y_E}{X_E} = \frac{2x^2 y}{x(x^2 - y^2)} = \frac{2xy}{x^2 - y^2}$ である。 したがって、直線 $AE$ の方程式は $Y = \frac{2xy}{x^2 - y^2}X$ となる。
点 $P$ は直線 $AE$ と直線 $CD$ ($Y = y$) の交点である。 $Y = y$ を代入して $X$ 座標を求める。
$$ y = \frac{2xy}{x^2 - y^2}X \iff X = \frac{x^2 - y^2}{2x} $$
よって、$P \left( \frac{x^2 - y^2}{2x}, y \right)$ となり、点 $D(0, y)$ からの距離(底辺の長さ)は $DP = \frac{x^2 - y^2}{2x}$ である。 三角形 $PED$ の高さ $h$ は、点 $E$ の $Y$ 座標から直線 $CD$ までの距離である。
$$ h = Y_E - y = \frac{2x^2 y}{x^2 + y^2} - y = \frac{2x^2 y - y(x^2 + y^2)}{x^2 + y^2} = \frac{y(x^2 - y^2)}{x^2 + y^2} $$
以上より、三角形 $PED$ の面積 $S$ は次のように求まる。
$$ S = \frac{1}{2} \cdot DP \cdot h = \frac{1}{2} \cdot \frac{x^2 - y^2}{2x} \cdot \frac{y(x^2 - y^2)}{x^2 + y^2} = \frac{y(x^2 - y^2)^2}{4x(x^2 + y^2)} $$
(これ以降の最大値を求める手順は解法1と同様である)
解説
図形的な対称性を利用して角の情報を長さの計算に結びつける方針(解法1)と、座標平面に落とし込んで機械的に交点を計算する方針(解法2)のいずれかを選択できるかが最初のポイントです。解法1は計算量が少なく済みますが、点 $A, P, E$ の位置関係(点 $P$ が線分 $AE$ 上にあること)を論理的に確認する必要があります。解法2は計算がやや煩雑になりますが、位置関係を視覚的に把握しやすいメリットがあります。
後半は、面積の式に条件式 $x^2 + y^2 = 1$ を代入し、1変数関数に帰着させて最大値を求める標準的な微分法の問題です。平方根を含む式の微分を避けるため、$S$ の代わりに $S^2$ の最大値を考え、さらに $t = x^2$ と置換することで計算ミスを減らす工夫が有効です。
答え
三角形 $PED$ の面積: $\frac{y(x^2 - y^2)^2}{4x(x^2 + y^2)}$
面積を最大にする $\overline{AB}$ の長さ: $\sqrt{\frac{3 + \sqrt{17}}{8}} \text{ cm}$
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