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大阪大学 1966年 理系 第2問 解説

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大阪大学 1966年 理系 第2問 解説

方針・初手

直線 $n$ 上に正三角形の1つの頂点を固定し、そこを原点とする座標系を設定する。他の2頂点がそれぞれ直線 $l, m$ 上にある条件を立式する。角度や回転を扱うため、三角関数や複素数平面を利用すると計算がスムーズである。

解法1

直線 $n$ を $x$ 軸とし、正三角形 $ABC$ の頂点 $C$ を原点 $(0,0)$ にとる。 直線 $l, m, n$ は互いに平行であり、$n$ は $l$ と $m$ の間にあるため、直線 $l$ の方程式を $y = a$、直線 $m$ の方程式を $y = -b$ と設定できる。($a > 0, b > 0$)

頂点 $A$ は直線 $l$ 上にあるので、極座標表示を用いて $A(x \cos \theta, x \sin \theta)$ と表せる。ここで $x$ は正三角形の1辺の長さである。 $A$ の $y$ 座標は $a$ であるから、

$$x \sin \theta = a \quad \cdots \text{①}$$

三角形 $ABC$ は正三角形であるため、頂点 $B$ は原点 $C$ を中心として頂点 $A$ を $\pm 60^\circ$ 回転させた点である。 したがって、$B$ の座標は $(x \cos(\theta \pm 60^\circ), x \sin(\theta \pm 60^\circ))$ となる。 頂点 $B$ は直線 $m$ 上にあり、$y$ 座標は $-b$ であるため、

$$x \sin(\theta \pm 60^\circ) = -b \quad \cdots \text{②}$$

となる。②に正弦の加法定理を用いると、

$$x (\sin \theta \cos 60^\circ \pm \cos \theta \sin 60^\circ) = -b$$

$$x \left( \frac{1}{2} \sin \theta \pm \frac{\sqrt{3}}{2} \cos \theta \right) = -b$$

$$\frac{1}{2} x \sin \theta \pm \frac{\sqrt{3}}{2} x \cos \theta = -b$$

①より $x \sin \theta = a$ を代入すると、

$$\frac{1}{2} a \pm \frac{\sqrt{3}}{2} x \cos \theta = -b$$

$$\pm \frac{\sqrt{3}}{2} x \cos \theta = - \left( b + \frac{a}{2} \right)$$

両辺を2乗して整理する。

$$\frac{3}{4} x^2 \cos^2 \theta = \left( \frac{a + 2b}{2} \right)^2$$

$$3 x^2 \cos^2 \theta = a^2 + 4ab + 4b^2 \quad \cdots \text{③}$$

ここで、$\cos^2 \theta = 1 - \sin^2 \theta$ であり、①より $\sin^2 \theta = \frac{a^2}{x^2}$ であるため、

$$\cos^2 \theta = 1 - \frac{a^2}{x^2} = \frac{x^2 - a^2}{x^2}$$

これを③に代入する。

$$3 x^2 \cdot \frac{x^2 - a^2}{x^2} = a^2 + 4ab + 4b^2$$

$$3(x^2 - a^2) = a^2 + 4ab + 4b^2$$

$$3x^2 - 3a^2 = a^2 + 4ab + 4b^2$$

$$3x^2 = 4a^2 + 4ab + 4b^2$$

$$x^2 = \frac{4}{3} (a^2 + ab + b^2)$$

$x > 0$ より、正三角形の1辺の長さ $x$ は、

$$x = 2 \sqrt{\frac{a^2 + ab + b^2}{3}}$$

となる。

$l$ と $m$ を固定したときの $x$ の最小値

$l$ と $m$ を固定したとき、$l$ と $m$ の距離は一定である。これを $d$ $(d > 0)$ とおく。 直線 $n$ は $l$ と $m$ の間にあるため、$a + b = d$ かつ $a > 0, b > 0$ を満たす。 先ほど求めた $x^2$ の式を変形する。

$$x^2 = \frac{4}{3} (a^2 + ab + b^2) = \frac{4}{3} \{(a + b)^2 - ab\} = \frac{4}{3} (d^2 - ab)$$

$d$ は一定であるため、$x^2$(および正の数 $x$)が最小となるのは、$ab$ が最大となるときである。 $a > 0, b > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$\frac{a + b}{2} \geqq \sqrt{ab}$$

$$ab \leqq \left( \frac{a + b}{2} \right)^2 = \frac{d^2}{4}$$

等号が成立するのは、$a = b$ のときである。 したがって、$x$ が最小となるのは $a = b$ のときであり、これは直線 $n$ が直線 $l$ と $m$ から等距離にある位置、すなわち $l$ と $m$ の真ん中の位置にあるときである。

解法2

前半の正三角形の1辺の長さ $x$ を求める部分について、複素数平面を利用する別解を示す。

直線 $n$ を実軸とし、正三角形の頂点 $C$ を原点とする複素数平面を考える。 $n$ は $l, m$ の間にあるため、直線 $l$ 上の点を表す複素数の虚部を $a$、直線 $m$ 上の点を表す複素数の虚部を $-b$ と設定できる。 頂点 $A$ は直線 $l$ 上、 頂点 $B$ は直線 $m$ 上にあるとし、それぞれを表す複素数を $\alpha, \beta$ とする。実数 $s, t$ を用いて、

$$\alpha = s + ai$$

$$\beta = t - bi$$

と表せる。正三角形の1辺の長さを $x$ とすると、$|\alpha| = x$ より、

$$s^2 + a^2 = x^2$$

となる。 三角形 $ABC$ は正三角形なので、点 $B$ は点 $A$ を原点 $C$ の周りに $\pm 60^\circ$ 回転させた点である。

$$\beta = \alpha \left( \cos(\pm 60^\circ) + i \sin(\pm 60^\circ) \right) \quad \text{(複号同順)}$$

$$t - bi = (s + ai) \left( \frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2} i \right)$$

右辺を展開して整理する。

$$t - bi = \left( \frac{s}{2} \mp \frac{\sqrt{3}}{2} a \right) + \left( \pm \frac{\sqrt{3}}{2} s + \frac{a}{2} \right) i$$

両辺の虚部を比較する。

$$-b = \pm \frac{\sqrt{3}}{2} s + \frac{a}{2}$$

$$\pm \frac{\sqrt{3}}{2} s = - b - \frac{a}{2} = - \frac{a + 2b}{2}$$

両辺を2乗すると、

$$\frac{3}{4} s^2 = \frac{(a + 2b)^2}{4}$$

$$3 s^2 = a^2 + 4ab + 4b^2$$

$$s^2 = \frac{1}{3} (a^2 + 4ab + 4b^2)$$

これを $x^2 = s^2 + a^2$ に代入する。

$$x^2 = \frac{1}{3} (a^2 + 4ab + 4b^2) + a^2$$

$$x^2 = \frac{a^2 + 4ab + 4b^2 + 3a^2}{3} = \frac{4}{3} (a^2 + ab + b^2)$$

$x > 0$ より、

$$x = 2 \sqrt{\frac{a^2 + ab + b^2}{3}}$$

が得られる。(最小値についての議論は解法1と同様である)

解説

座標や複素数平面を設定し、正三角形であることを「長さが等しく、なす角が $60^\circ$」あるいは「$60^\circ$ の回転」と捉えて立式する典型的な問題である。

答え

$x = 2 \sqrt{\frac{a^2 + ab + b^2}{3}}$ $x$ が最小となるのは、$n$ が $l$ と $m$ から等距離にある位置のとき。

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