大阪大学 1969年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1) は、条件式 $a^2+b^2=p^2$ および $c^2+d^2=q^2$ を用いて与式を整理し、残った $ac+bd$ の部分をベクトルの内積と見なして図形的に最大値を評価する。
(2) は、(1) の結果を活かし、$a^2+b^2=p^2$、$c^2+d^2=q^2$ とおいて変数を減らす。$p^2+q^2=1$ のもとで関数を最大化することになるが、2乗の和が一定という条件から、三角関数を用いたパラメータ表示が有効である。
解法1
(1)
点 $P(a, b)$ は円 $x^2 + y^2 = p^2$ 上の点であるから、
$$ a^2 + b^2 = p^2 $$
が成り立つ。同様に、点 $Q(c, d)$ は円 $x^2 + y^2 = q^2$ 上の点であるから、
$$ c^2 + d^2 = q^2 $$
が成り立つ。これらを用いて、与えられた式を次のように変形する。
$$ 2a^2 + 2b^2 + c^2 + d^2 + ac + bd = 2p^2 + q^2 + ac + bd $$
ここで、$ac + bd$ は原点 $O$ を始点とする2つのベクトル $\vec{OP} = (a, b)$ と $\vec{OQ} = (c, d)$ の内積 $\vec{OP} \cdot \vec{OQ}$ である。
$|\vec{OP}| = \sqrt{a^2+b^2} = p$、$|\vec{OQ}| = \sqrt{c^2+d^2} = q$ であり、$\vec{OP}$ と $\vec{OQ}$ のなす角を $\theta$ $(0 \leqq \theta \leqq \pi)$ とすると、
$$ ac + bd = \vec{OP} \cdot \vec{OQ} = |\vec{OP}| |\vec{OQ}| \cos\theta = pq\cos\theta $$
と表せる。したがって、与式は
$$ 2p^2 + q^2 + pq\cos\theta $$
となる。$p > 0, q > 0$ より $pq > 0$ であるから、この値が最大となるのは $\cos\theta$ が最大のとき、すなわち $\cos\theta = 1$ のときである。
$\cos\theta = 1$ となるのは $\theta = 0$ のときであり、これは2つのベクトル $\vec{OP}$ と $\vec{OQ}$ が同じ向きを持つこと、すなわち点 $P$ と $Q$ が原点から引いた同一半直線上にあることを意味する。
よって、題意は証明された。
(2)
$a^2 + b^2 = p^2$、$c^2 + d^2 = q^2$ とおく。 $a, b, c, d$ は実数であるから $p \geqq 0, q \geqq 0$ である。
与えられた条件 $a^2 + b^2 + c^2 + d^2 = 1$ より、
$$ p^2 + q^2 = 1 $$
が成り立つ。
(1) の議論より、$p, q$ を固定したとき、$2a^2 + 2b^2 + c^2 + d^2 + ac + bd$ の最大値は $2p^2 + q^2 + pq$ である。 ($p=0$ または $q=0$ のときも、コーシー・シュワルツの不等式から $ac+bd \leqq pq=0$ であり、式は成り立つ。)
この最大値を $M$ とおく。$p^2 + q^2 = 1$ $(p \geqq 0, q \geqq 0)$ であるから、$\alpha$ を $0 \leqq \alpha \leqq \frac{\pi}{2}$ を満たす実数として、
$$ p = \cos\alpha, \quad q = \sin\alpha $$
とおくことができる。これを $M$ の式に代入して変形する。
$$ \begin{aligned} M &= 2\cos^2\alpha + \sin^2\alpha + \cos\alpha\sin\alpha \\ &= 2\cos^2\alpha + (1 - \cos^2\alpha) + \frac{1}{2}\sin2\alpha \\ &= \cos^2\alpha + 1 + \frac{1}{2}\sin2\alpha \\ &= \frac{1 + \cos2\alpha}{2} + 1 + \frac{1}{2}\sin2\alpha \\ &= \frac{1}{2}\sin2\alpha + \frac{1}{2}\cos2\alpha + \frac{3}{2} \\ &= \frac{\sqrt{2}}{2}\sin\left(2\alpha + \frac{\pi}{4}\right) + \frac{3}{2} \end{aligned} $$
$0 \leqq \alpha \leqq \frac{\pi}{2}$ より、
$$ \frac{\pi}{4} \leqq 2\alpha + \frac{\pi}{4} \leqq \frac{5}{4}\pi $$
である。したがって、$\sin\left(2\alpha + \frac{\pi}{4}\right)$ は $2\alpha + \frac{\pi}{4} = \frac{\pi}{2}$、すなわち $\alpha = \frac{\pi}{8}$ のときに最大値 $1$ をとる。
$\alpha = \frac{\pi}{8}$ は $0 \leqq \alpha \leqq \frac{\pi}{2}$ を満たす。
よって、求める最大値は、
$$ \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot 1 + \frac{3}{2} = \frac{3 + \sqrt{2}}{2} $$
となる。
解説
ベクトルの内積と三角関数の合成を組み合わせた最大値問題である。
(1) は平面上のベクトルと内積の幾何学的意味を理解していれば、比較的容易に証明できる。
(2) は、条件式 $a^2 + b^2 + c^2 + d^2 = 1$ を持つ4変数の関数についての最大値問題である。(1) の誘導に従って $a,b$ の組と $c,d$ の組に分け、それぞれの2乗和を $p^2, q^2$ と置くことで、まずは同一直線上にあるときに最大となることを利用して変数の数を減らす。
最終的には $p^2+q^2=1$ の条件の下で $2p^2+q^2+pq$ を最大化する2変数の問題に帰着される。平方の和が一定であることから、三角関数を用いたパラメータ設定(極座標表示)を行うのが定石であり、半角の公式や2倍角の公式、三角関数の合成公式を順に用いることで最大値をスムーズに求めることができる。
答え
(1) 点 $P, Q$ を位置ベクトルと見なし、内積の定義式からなす角が $0$ となるときに最大値をとることが示された。(証明の詳細は解法1を参照)
(2) $$ \frac{3 + \sqrt{2}}{2} $$
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