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大阪大学 2023年 理系 第2問 解説

数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
大阪大学 2023年 理系 第2問 解説

注意 画像の一部が不鮮明で、条件式および(1)の式の符号の読取りに不確実性がある。以下は、条件式の内積を $(2\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB}) \cdot (\overrightarrow{OA} + 2\overrightarrow{OB}) = \frac{1}{3}$、(1)の式を $(2\overrightarrow{OA} - \overrightarrow{OB}) \cdot (\overrightarrow{OA} - 2\overrightarrow{OB})$ と解釈した場合の解答解説である。

方針・初手

問題で与えられた条件式の形から、$\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}$ を直接扱うのではなく、まとまりを新たなベクトルとして置き換えるのが定石である。 具体的には、$2\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} = \vec{x}$, $\overrightarrow{OA} + 2\overrightarrow{OB} = \vec{y}$ とおき、すべての条件と求める式を $\vec{x}, \vec{y}$ で表し直す。 (2) は、ベクトルで表された不等式の領域を図形的に処理する。条件を満たすように座標平面を設定することで、視覚的に最大・最小を求められる。

解法1

(1)

$\vec{x} = 2\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB}$, $\vec{y} = \overrightarrow{OA} + 2\overrightarrow{OB}$ とおく。

与えられた条件より、$|\vec{x}| = 1$, $|\vec{y}| = 1$, $\vec{x} \cdot \vec{y} = \frac{1}{3}$ である。 これらを $\overrightarrow{OA}, \overrightarrow{OB}$ の連立方程式とみて解くと、

$$ \begin{cases} \overrightarrow{OA} = \frac{2\vec{x} - \vec{y}}{3} \\ \overrightarrow{OB} = \frac{-\vec{x} + 2\vec{y}}{3} \end{cases} $$

となる。これを用いて、求める式の各因数を $\vec{x}, \vec{y}$ で表す。

$$ 2\overrightarrow{OA} - \overrightarrow{OB} = \frac{2(2\vec{x} - \vec{y}) - (-\vec{x} + 2\vec{y})}{3} = \frac{5\vec{x} - 4\vec{y}}{3} $$

$$ \overrightarrow{OA} - 2\overrightarrow{OB} = \frac{(2\vec{x} - \vec{y}) - 2(-\vec{x} + 2\vec{y})}{3} = \frac{4\vec{x} - 5\vec{y}}{3} $$

したがって、求める内積は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} (2\overrightarrow{OA} - \overrightarrow{OB}) \cdot (\overrightarrow{OA} - 2\overrightarrow{OB}) &= \frac{1}{9} (5\vec{x} - 4\vec{y}) \cdot (4\vec{x} - 5\vec{y}) \\ &= \frac{1}{9} \left( 20|\vec{x}|^2 - 41\vec{x} \cdot \vec{y} + 20|\vec{y}|^2 \right) \\ &= \frac{1}{9} \left( 20 \cdot 1^2 - 41 \cdot \frac{1}{3} + 20 \cdot 1^2 \right) \\ &= \frac{1}{9} \left( 40 - \frac{41}{3} \right) \\ &= \frac{79}{27} \end{aligned} $$

(2)

(1) と同様に $\vec{x}, \vec{y}$ を用いて $\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB}$ を表すと、

$$ \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OB} = \frac{1}{3} (\vec{x} + \vec{y}) $$

であるから、点 $P$ の位置ベクトルを $\vec{p}$ とすると、満たすべき条件は

$$ \left| \vec{p} - \frac{1}{3}(\vec{x} + \vec{y}) \right| \leqq \frac{1}{3} \quad \cdots \text{①} $$

$$ \vec{p} \cdot \vec{x} \leqq \frac{1}{3} \quad \cdots \text{②} $$

となる。ここで、$\vec{x}$ を $x$ 軸の正の方向にとるような座標平面を設定する。 $|\vec{x}| = 1$ より、$\vec{x} = (1, 0)$ と表せる。 $|\vec{y}| = 1$ かつ $\vec{x} \cdot \vec{y} = \frac{1}{3}$ であるから、$\vec{y}$ の $x$ 成分は $\frac{1}{3}$ となり、$y$ 成分を正とすると $\vec{y} = \left( \frac{1}{3}, \frac{2\sqrt{2}}{3} \right)$ とおける。 このとき、

$$ \frac{1}{3}(\vec{x} + \vec{y}) = \frac{1}{3} \left( 1 + \frac{1}{3}, \frac{2\sqrt{2}}{3} \right) = \left( \frac{4}{9}, \frac{2\sqrt{2}}{9} \right) $$

点 $C \left( \frac{4}{9}, \frac{2\sqrt{2}}{9} \right)$ をとると、条件①は中心 $C$、半径 $\frac{1}{3} = \frac{3}{9}$ の円の周および内部を表す。 $\vec{p} = (X, Y)$ とおくと、①は

$$ \left( X - \frac{4}{9} \right)^2 + \left( Y - \frac{2\sqrt{2}}{9} \right)^2 \leqq \frac{9}{81} \quad \cdots \text{①'} $$

条件②は $X \leqq \frac{1}{3} = \frac{3}{9}$ と表せる。 これらの共通領域を $D$ とすると、求める $|\overrightarrow{OP}|$ の最大値・最小値は、原点 $O(0, 0)$ と領域 $D$ 内の点との距離の最大値・最小値に等しい。

原点 $O$ と中心 $C$ の距離は、

$$ OC = \sqrt{ \left(\frac{4}{9}\right)^2 + \left(\frac{2\sqrt{2}}{9}\right)^2 } = \sqrt{\frac{16 + 8}{81}} = \frac{2\sqrt{6}}{9} $$

である。直線 $OC$ 上にあり、原点に最も近い円①'の周上の点を $M_1$ とすると、

$$ OM_1 = OC - \frac{3}{9} = \frac{2\sqrt{6} - 3}{9} $$

点 $M_1$ の $X$ 座標は、点 $C$ の $X$ 座標を $\frac{OM_1}{OC}$ 倍したものであるから、

$$ X_{M_1} = \frac{4}{9} \times \frac{\frac{2\sqrt{6}-3}{9}}{\frac{2\sqrt{6}}{9}} = \frac{4}{9} \left( 1 - \frac{3}{2\sqrt{6}} \right) = \frac{4}{9} \left( 1 - \frac{\sqrt{6}}{4} \right) = \frac{4 - \sqrt{6}}{9} $$

$2 < \sqrt{6} < 2.5$ より $1.5 < 4 - \sqrt{6} < 2$ であるため、$X_{M_1} < \frac{2}{9} < \frac{3}{9}$ となり、点 $M_1$ は領域 $D$ に含まれる。 したがって、$|\overrightarrow{OP}|$ の最小値は $\frac{2\sqrt{6} - 3}{9}$ である。

一方、原点から最も遠い点は領域 $D$ の境界上にある。 円①'上で原点から最も遠い点は直線 $OC$ の延長上にあるが、その $X$ 座標は $\frac{4}{9} \left( 1 + \frac{\sqrt{6}}{4} \right) > \frac{4}{9} > \frac{3}{9}$ となり領域外である。 円①'の周のうち $X \leqq \frac{3}{9}$ の部分においては、直線 $OC$ に沿って原点から遠ざかるほど距離は大きくなるため、領域 $D$ 内での最大値は境界線 $X = \frac{3}{9}$ 上でとることがわかる。 $X = \frac{3}{9}$ のとき、①'より

$$ \left( \frac{3}{9} - \frac{4}{9} \right)^2 + \left( Y - \frac{2\sqrt{2}}{9} \right)^2 \leqq \frac{9}{81} $$

$$ \left( Y - \frac{2\sqrt{2}}{9} \right)^2 \leqq \frac{8}{81} $$

これを解いて、

$$ 0 \leqq Y \leqq \frac{4\sqrt{2}}{9} $$

この線分上で原点からの距離の2乗 $X^2 + Y^2 = \left(\frac{3}{9}\right)^2 + Y^2$ が最大となるのは $Y = \frac{4\sqrt{2}}{9}$ のときであり、その値は

$$ \left( \frac{3}{9} \right)^2 + \left( \frac{4\sqrt{2}}{9} \right)^2 = \frac{9}{81} + \frac{32}{81} = \frac{41}{81} $$

したがって、$|\overrightarrow{OP}|$ の最大値は $\sqrt{\frac{41}{81}} = \frac{\sqrt{41}}{9}$ である。

解説

ベクトルの置き換えによって見通しを良くする典型的な問題である。1つの基本ベクトルの組に固執せず、問題文で与えられたまとまりを素直に新しいベクトルとみなすことで計算量が大幅に減る。 (2) では、ベクトル不等式が表す領域を座標平面上で図示する手法が有効である。数式だけで処理しようとすると場合分けが煩雑になるが、図形的に捉えることで「円と直線の共通部分」と「原点からの距離」という視覚的に分かりやすい問題に帰着できる。

答え

(1)

$\frac{79}{27}$

(2)

最大値: $\frac{\sqrt{41}}{9}$, 最小値: $\frac{2\sqrt{6}-3}{9}$

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