大阪大学 1973年 理系 第6問 解説

方針・初手
非復元抽出の確率問題である。取り出す順番に依存しない事象については「同時に取り出す組合せ」に帰着させて全事象と対象事象を数え上げると計算が簡潔になる。 「ちょうど $k$ 回目に条件を満たす」事象は、「$k-1$ 回目までの事象」と「$k$ 回目の事象」に分割して、それぞれの確率の積として求めるのが定石である。勝率については、勝負が決まる回数の偶奇に着目して和を計算する。
解法1
(1)
袋の中には、白球 $(2n-3)$ 個と赤球 $3$ 個の合計 $2n$ 個の球が入っている。
$2n$ 個の球から $k$ 個の球を非復元抽出で取り出すとき、順番を無視して手元にある $k$ 個の組合せを全事象と考えると、その総数は ${}_{2n}\mathrm{C}_{k}$ 通りであり、これらは同様に確からしい。
選ばれた $k$ 個の中に赤球が3個とも含まれるのは、赤球3個すべてと、白球 $(2n-3)$ 個の中から $(k-3)$ 個を選ぶ場合である。 その組合せの数は ${}_3\mathrm{C}_{3} \times {}_{2n-3}\mathrm{C}_{k-3}$ 通りである。
したがって、求める確率 $p_k$ は以下の通り計算できる。
$$ \begin{aligned} p_k &= \frac{{}_3\mathrm{C}_{3} \times {}_{2n-3}\mathrm{C}_{k-3}}{{}_{2n}\mathrm{C}_{k}} \\ &= \frac{1 \cdot \frac{(2n-3)!}{(k-3)!(2n-k)!}}{\frac{(2n)!}{k!(2n-k)!}} \\ &= \frac{k!(2n-3)!}{(k-3)!(2n)!} \\ &= \frac{k(k-1)(k-2)}{2n(2n-1)(2n-2)} \\ &= \frac{k(k-1)(k-2)}{4n(n-1)(2n-1)} \end{aligned} $$
(2)
(イ)
ちょうど $k$ 回目に勝負が決まるための条件は、以下の2つが順に起こることである。 ・$k-1$ 回目までに、赤球2個と白球 $k-3$ 個が取り出される。 ・$k$ 回目に、残る1個の赤球が取り出される。
$k-1$ 回目までに赤球2個と白球 $k-3$ 個が取り出される確率は、(1)と同様に組合せで考えて以下となる。
$$ \frac{{}_3\mathrm{C}_{2} \times {}_{2n-3}\mathrm{C}_{k-3}}{{}_{2n}\mathrm{C}_{k-1}} $$
このとき、袋の中には $2n - (k-1) = 2n-k+1$ 個の球が残っており、そのうち赤球は1個である。 したがって、$k$ 回目にその赤球を取り出す確率は $\frac{1}{2n-k+1}$ である。
よって、求める確率 $q_k$ はこれらを掛け合わせて次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} q_k &= \frac{{}_3\mathrm{C}_{2} \times {}_{2n-3}\mathrm{C}_{k-3}}{{}_{2n}\mathrm{C}_{k-1}} \times \frac{1}{2n-k+1} \\ &= \frac{3 \cdot \frac{(2n-3)!}{(k-3)!(2n-k)!}}{\frac{(2n)!}{(k-1)!(2n-k+1)!}} \times \frac{1}{2n-k+1} \\ &= \frac{3(k-1)!(2n-3)!(2n-k+1)!}{(k-3)!(2n-k)!(2n)!} \times \frac{1}{2n-k+1} \end{aligned} $$
ここで、$\frac{(2n-k+1)!}{2n-k+1} = (2n-k)!$ であるから、
$$ \begin{aligned} q_k &= \frac{3(k-1)!(2n-3)!(2n-k)!}{(k-3)!(2n-k)!(2n)!} \\ &= \frac{3(k-1)(k-2)}{2n(2n-1)(2n-2)} \\ &= \frac{3(k-1)(k-2)}{4n(n-1)(2n-1)} \end{aligned} $$
(ロ)
Aから始めて交互に球を取り出すため、Aが取り出すのは奇数回目、Bが取り出すのは偶数回目である。 勝負がAの勝ちで決まるのは、勝負が決まる回数 $k$ が奇数のときである。 $k = 2m+1$ ($m$ は $1 \leqq m \leqq n-1$ を満たす整数) とおく。
Aが勝つ確率 $P(A)$ は、$q_{2m+1}$ の総和として求められる。
$$ \begin{aligned} P(A) &= \sum_{m=1}^{n-1} q_{2m+1} \\ &= \sum_{m=1}^{n-1} \frac{3(2m)(2m-1)}{4n(n-1)(2n-1)} \\ &= \frac{3}{2n(n-1)(2n-1)} \sum_{m=1}^{n-1} (2m^2 - m) \end{aligned} $$
ここで、シグマ部分の計算を行う。
$$ \begin{aligned} \sum_{m=1}^{n-1} (2m^2 - m) &= 2 \cdot \frac{1}{6}(n-1)n(2n-1) - \frac{1}{2}(n-1)n \\ &= (n-1)n \left( \frac{2n-1}{3} - \frac{1}{2} \right) \\ &= (n-1)n \left( \frac{4n-2-3}{6} \right) \\ &= \frac{n(n-1)(4n-5)}{6} \end{aligned} $$
したがって、
$$ \begin{aligned} P(A) &= \frac{3}{2n(n-1)(2n-1)} \cdot \frac{n(n-1)(4n-5)}{6} \\ &= \frac{4n-5}{4(2n-1)} \end{aligned} $$
球をすべて取り出せば必ず赤球は3個出るため、勝負は $2n$ 回目までに必ず決着する。 よって、Bが勝つ確率 $P(B)$ は余事象の確率として求められる。
$$ \begin{aligned} P(B) &= 1 - P(A) \\ &= 1 - \frac{4n-5}{4(2n-1)} \\ &= \frac{8n-4 - (4n-5)}{4(2n-1)} \\ &= \frac{4n+1}{4(2n-1)} \end{aligned} $$
解説
非復元抽出における確率の標準的な問題である。 (1)のように、順番を問わない確率については「同時に取り出す組合せ」に読み替えて全事象を設定することで、順列で処理するよりも計算の手間を省くことができる。 (2)(イ)の「ちょうど $k$ 回目に事象が起きる確率」は、直前までの事象と最後の事象を分けて考えるのが典型処理である。 また、別の視点として、$q_k$ は「$k$ 回目に初めて赤球が3個そろう確率」であるから、(1)の $p_k$ ($k$ 回目までに赤球が3個そろう確率)を用いて $q_k = p_k - p_{k-1}$ として差分から求めることも可能であり、この発想を持てると検算にも役立つ。 (2)(ロ)は勝者が決まる回数の偶奇に着目し、数列の和の公式を用いて正確に計算を進める処理能力が問われている。
答え
(1)
$p_k = \frac{k(k-1)(k-2)}{4n(n-1)(2n-1)}$
(2)(イ) $q_k = \frac{3(k-1)(k-2)}{4n(n-1)(2n-1)}$
(2)(ロ) Aの勝つ確率: $\frac{4n-5}{4(2n-1)}$ Bの勝つ確率: $\frac{4n+1}{4(2n-1)}$
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