大阪大学 1973年 理系 第5問 解説

方針・初手
(1) は、与えられた接線の $x$ 切片の条件から、関数 $f(x)$ とその導関数 $f'(x)$ が満たす関係式(微分方程式)を立式する。変数分離形の微分方程式として解き、通る点の条件から積分定数を定める。
(2) は、曲線外の点から引く接線の本数を求める問題である。「接点を $(t, f(t))$ とおいて接線の方程式を立て、それが点 $(k, 0)$ を通る」という定石に従う。得られた $t$ の方程式が、$t > 0$ の範囲に持つ実数解の個数を調べればよい。
解法1
(1)
曲線 $C: y = f(x)$ 上の点 $(x, f(x))$ における接線の方程式は、接点と変数となる点を区別するために接線の上の点を $(X, Y)$ とおくと、次のように表される。
$$ Y - f(x) = f'(x)(X - x) $$
この接線が $x$ 軸と交わる点の $x$ 座標は、上の式において $Y = 0$ としたときの $X$ の値であるから、
$$ -f(x) = f'(x)(X - x) $$
条件より、このときの $X$ の値が $x + \frac{1}{x}$ であるから、これを代入して、
$$ -f(x) = f'(x)\left( x + \frac{1}{x} - x \right) $$
$$ -f(x) = \frac{1}{x} f'(x) $$
問題の条件から常に $f(x) > 0$ であるため、両辺を $f(x)$ で割り、さらに両辺に $-x$ を掛けると、
$$ \frac{f'(x)}{f(x)} = -x $$
両辺を $x$ について積分すると、
$$ \int \frac{f'(x)}{f(x)} dx = \int -x dx $$
$$ \log f(x) = -\frac{1}{2}x^2 + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
真数条件 $f(x) > 0$ は満たされている。これを $f(x)$ について解くと、
$$ f(x) = e^{-\frac{1}{2}x^2 + C} $$
曲線 $C$ は点 $\left(1, \frac{1}{\sqrt{e}}\right)$ を通るので、$f(1) = \frac{1}{\sqrt{e}} = e^{-\frac{1}{2}}$ である。代入すると、
$$ e^{-\frac{1}{2} + C} = e^{-\frac{1}{2}} $$
よって $C = 0$ となる。したがって、求める関数 $f(x)$ は次のようになる。
$$ f(x) = e^{-\frac{1}{2}x^2} $$
(2)
曲線 $C: y = e^{-\frac{1}{2}x^2}$ ($x > 0$) 上の接点を $\left(t, e^{-\frac{1}{2}t^2}\right)$ ($t > 0$) とおく。
(1) より $f'(x) = -x e^{-\frac{1}{2}x^2}$ であるから、この接点における接線の方程式は、
$$ y - e^{-\frac{1}{2}t^2} = -t e^{-\frac{1}{2}t^2}(x - t) $$
この接線が点 $(k, 0)$ を通るため、$x = k, y = 0$ を代入して、
$$ -e^{-\frac{1}{2}t^2} = -t e^{-\frac{1}{2}t^2}(k - t) $$
$e^{-\frac{1}{2}t^2} > 0$ であるから、両辺を $-e^{-\frac{1}{2}t^2}$ で割ると、
$$ 1 = t(k - t) $$
$$ t^2 - kt + 1 = 0 $$
点 $(k, 0)$ から引ける接線の本数は、この $t$ についての2次方程式が $t > 0$ の範囲に持つ実数解の個数に一致する。
$g(t) = t^2 - kt + 1$ とおく。すると
$$ \Delta = k^2 - 4 $$
である。
また、解と係数の関係より
$$ t_1 + t_2 = k,\qquad t_1 t_2 = 1 $$
が成り立つ。
ここで場合分けする。
$k < 2$ のとき
$k < 2$ なら $\Delta < 0$ または $k \le -2$ である。$\Delta < 0$ なら実数解を持たない。$k \le -2$ なら実数解を持っても和 $t_1+t_2=k<0$、積 $t_1t_2=1>0$ より 2 解はともに負である。したがって $t>0$ の解は存在しない。$k = 2$ のとき
$\Delta = 0$ であり、重解 $t=1$ をもつ。したがって接線は $1$ 本である。$k > 2$ のとき
$\Delta > 0$ であり、2つの異なる実数解をもつ。さらに $t_1+t_2=k>0$、$t_1t_2=1>0$ より 2 解はともに正である。したがって接線は $2$ 本である。
以上より、点 $(k,0)$ から曲線 $C$ に引ける接線の本数は
$$ \begin{cases} 0 & (k<2),\\ 1 & (k=2),\\ 2 & (k>2) \end{cases} $$
となる。
解説
(1) は、与えられた図形的条件を数式に翻訳することで微分方程式を導く典型問題である。接点 $(x, f(x))$ における接線という表現が出た場合、変数としての $x, y$ と接点の座標としての $x$ が混同しやすいため、解法1のように接線上の点を $(X, Y)$ などと別の文字で置くか、接点を $(t, f(t))$ とおいて方程式を立てた後で $t$ を $x$ に戻すといった工夫をするとミスが防げる。
(2) は、曲線外の点から引く接線の本数を問う定石問題である。「接点をおいて接線を立式し、通る点を代入する」という手順を確実に実行したい。得られる方程式は
$$ t^2-kt+1=0 $$
であり、これは
$$ k=t+\frac{1}{t}\qquad (t>0) $$
と同値である。したがって $t+\frac{1}{t}\ge 2$ を用いても、接線の本数が $k<2$ で $0$ 本、$k=2$ で $1$ 本、$k>2$ で $2$ 本と判定できる。
答え
(1)
$$ f(x) = e^{-\frac{1}{2}x^2} $$
(2)
$$ \begin{cases} 0 & (k<2),\\ 1 & (k=2),\\ 2 & (k>2) \end{cases} $$
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