大阪大学 1977年 理系 第1問 解説

方針・初手
与えられた式 $\{f(x)\}^3 - \{g(x)\}^3$ を因数分解し、目標である $f(x) - g(x)$ という因数を括り出すことが第一歩である。
そのうえで、「$(x-a)^2$ で割り切れ、$(x-a)^3$ では割り切れない」という条件をどう処理するかが鍵となる。因数定理を用いて互いに素であることを示すアプローチ(解法1)と、整式の重解条件を微分の性質に帰着させるアプローチ(解法2)の2通りの方法が考えられる。
解法1
与えられた式を因数分解すると、以下のようになる。
$$ \{f(x)\}^3 - \{g(x)\}^3 = \{f(x) - g(x)\} [ \{f(x)\}^2 + f(x)g(x) + \{g(x)\}^2 ] $$
ここで、$A(x) = f(x) - g(x)$、$B(x) = \{f(x)\}^2 + f(x)g(x) + \{g(x)\}^2$ とおく。 条件より、$A(x)B(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れ、$(x-a)^3$ では割り切れない。
いま、$B(a) = 0$ と仮定する。
$$ B(a) = \{f(a)\}^2 + f(a)g(a) + \{g(a)\}^2 = \left\{ f(a) + \frac{1}{2}g(a) \right\}^2 + \frac{3}{4}\{g(a)\}^2 = 0 $$
$f(x), g(x)$ は実数係数の整式であるから、$f(a), g(a)$ は実数である。 実数の平方の和が $0$ になるのはそれぞれの項が $0$ のときのみであるため、$f(a) = g(a) = 0$ が成り立つ。
このとき因数定理より、$f(x)$ と $g(x)$ はともに $x-a$ を因数に持つ。 したがって、$f(x) = (x-a)p(x)$、$g(x) = (x-a)q(x)$ ($p(x), q(x)$ は整式)と表すことができる。 これを元の式に代入すると、
$$ \{f(x)\}^3 - \{g(x)\}^3 = (x-a)^3 [ \{p(x)\}^3 - \{q(x)\}^3 ] $$
となり、$\{f(x)\}^3 - \{g(x)\}^3$ が $(x-a)^3$ で割り切れることになり、条件に矛盾する。 ゆえに、$B(a) \neq 0$ である。
次に、$A(x)B(x)$ が $(x-a)^2$ で割り切れるという条件を利用する。 $A(x)B(x) = (x-a)^2 R(x)$ ($R(x)$ は整式)と表せる。 両辺に $x=a$ を代入すると $A(a)B(a) = 0$ となるが、$B(a) \neq 0$ より $A(a) = 0$ である。
因数定理より、$A(x) = (x-a)A_1(x)$ ($A_1(x)$ は整式)とおける。 代入して両辺を $x-a$ で割ると、以下の式を得る。
$$ A_1(x)B(x) = (x-a)R(x) $$
再び両辺に $x=a$ を代入すると $A_1(a)B(a) = 0$ となる。 $B(a) \neq 0$ より、同様に $A_1(a) = 0$ である。 因数定理より、$A_1(x) = (x-a)A_2(x)$ ($A_2(x)$ は整式)とおける。
以上より、$A(x) = (x-a)^2 A_2(x)$ と表せるため、$f(x) - g(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れる。
解法2
整式 $P(x)$ が $(x-a)^2$ で割り切れるための必要十分条件は、$P(a) = 0$ かつ $P'(a) = 0$ であることを利用する。
$h(x) = \{f(x)\}^3 - \{g(x)\}^3$ とおく。 条件より、$h(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れるから、$h(a) = 0$ かつ $h'(a) = 0$ が成り立つ。
$$ h(a) = \{f(a)\}^3 - \{g(a)\}^3 = 0 $$
$f(a), g(a)$ は実数であるから、$f(a) = g(a)$ を得る。 次に、$h(x)$ の導関数を計算する。
$$ h'(x) = 3\{f(x)\}^2 f'(x) - 3\{g(x)\}^2 g'(x) $$
$x=a$ を代入し、$h'(a) = 0$ と $f(a) = g(a)$ を用いると以下のようになる。
$$ h'(a) = 3\{f(a)\}^2 \{f'(a) - g'(a)\} = 0 $$
ここで、$f(a) = 0$ と仮定する。 このとき $g(a) = 0$ でもあるため、因数定理より $f(x)$ と $g(x)$ はともに $x-a$ を因数に持つ。 すなわち、$f(x) = (x-a)p(x)$、$g(x) = (x-a)q(x)$ ($p(x), q(x)$ は整式)と表せる。 このとき元の式は、
$$ h(x) = (x-a)^3 [ \{p(x)\}^3 - \{q(x)\}^3 ] $$
となり、$h(x)$ が $(x-a)^3$ で割り切れてしまい、条件に矛盾する。 したがって、$f(a) \neq 0$ である。
$3\{f(a)\}^2 \neq 0$ であるから、先ほどの導関数の条件式から以下が導かれる。
$$ f'(a) - g'(a) = 0 $$
ここで、$P(x) = f(x) - g(x)$ とおくと、これまでに得られた結果から以下の2式が成り立つ。
$$ P(a) = f(a) - g(a) = 0 $$
$$ P'(a) = f'(a) - g'(a) = 0 $$
$P(x)$ は整式であり、$P(a) = P'(a) = 0$ が成り立つため、$P(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れる。 すなわち、$f(x) - g(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れる。
解説
「多項式が $(x-a)^2$ で割り切れる」という条件を式としてどう翻訳するかが問われる良問である。
解法1では、因数分解によって現れるもう一つの因数 $\{f(x)\}^2 + f(x)g(x) + \{g(x)\}^2$ が $x=a$ で $0$ にならないことを背理法で示している。多項式の割り算において「互いに素な因数はそれぞれを割り切る」という性質を、因数定理の反復適用によって厳密に示している点が重要である。
解法2では、「整式が重解を持つ条件」と「微分」の結びつきを利用している。整式 $P(x)$ が $(x-a)^n$ で割り切れることと、$P(a) = P'(a) = \cdots = P^{(n-1)}(a) = 0$ が成り立つことは同値であり、この性質を知っていると極めて見通しよく計算を進めることができる。難関大の数学では非常によく使う強力な手法である。
答え
(証明終)上の解法1、あるいは解法2に示した通り、$f(x) - g(x)$ は $(x-a)^2$ で割り切れることが示された。
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