大阪大学 1978年 理系 第2問 解説

方針・初手
どの袋が選ばれるかによって、赤球が出る確率が変わるため、選ばれる袋で場合分けを行う。 $N$ 個の袋の外観は区別がつかないため、各袋が選ばれる確率はすべて等しく $\frac{1}{N}$ である。 $k$ 番目の袋が選ばれる事象を $A_k$ ($k=1, 2, \cdots, N$) とすると、求める確率は全確率の定理(条件付き確率の和)を用いて計算できる。
解法1
$k$ 番目の袋が選ばれる事象を $A_k$ とする。袋の選び方は同様に確からしいので、
$$ P(A_k) = \frac{1}{N} $$
である。また、$k$ 番目の袋には赤球が $k$ 個、白球が $N-k$ 個の合計 $N$ 個が入っている。
(1)
取り出された球をもとの袋に戻す試行(復元抽出)において、2回目まで続けて赤球が出る事象を $X$ とする。 事象 $A_k$ が起こったという条件のもとで、事象 $X$ が起こる条件付き確率 $P(X \mid A_k)$ は、毎回 $N$ 個中 $k$ 個の赤球から選ぶ確率となるから、
$$ P(X \mid A_k) = \left( \frac{k}{N} \right)^2 = \frac{k^2}{N^2} $$
となる。 袋の選び方は排反であるから、求める確率 $P(X)$ は、
$$ \begin{aligned} P(X) &= \sum_{k=1}^{N} P(A_k) P(X \mid A_k) \\ &= \sum_{k=1}^{N} \frac{1}{N} \cdot \frac{k^2}{N^2} \\ &= \frac{1}{N^3} \sum_{k=1}^{N} k^2 \\ &= \frac{1}{N^3} \cdot \frac{1}{6} N(N+1)(2N+1) \\ &= \frac{(N+1)(2N+1)}{6N^2} \end{aligned} $$
(2)
取り出された球をもとの袋に戻さない試行(非復元抽出)において、3回目に赤球が出る事象を $Y$ とする。 事象 $A_k$ が起こったという条件のもとで、事象 $Y$ が起こる条件付き確率 $P(Y \mid A_k)$ を考える。 非復元抽出において、特定の回(ここでは3回目)に赤球が出る確率は、引く順番によらず1回目に赤球が出る確率と等しい(くじ引きの公平性)。したがって、
$$ P(Y \mid A_k) = \frac{k}{N} $$
となる。 求める確率 $P(Y)$ は、
$$ \begin{aligned} P(Y) &= \sum_{k=1}^{N} P(A_k) P(Y \mid A_k) \\ &= \sum_{k=1}^{N} \frac{1}{N} \cdot \frac{k}{N} \\ &= \frac{1}{N^2} \sum_{k=1}^{N} k \\ &= \frac{1}{N^2} \cdot \frac{1}{2} N(N+1) \\ &= \frac{N+1}{2N} \end{aligned} $$
解説
「原因の確率(どの袋が選ばれたか)」と「結果の確率(球の取り出し方)」を組み合わせて全確率の定理を用いる、典型的な確率の問題である。
(2) について、くじ引きの原理(非復元抽出における確率は引く順番に依存しない)を知っていれば、計算を大幅に省略できる。もしこの性質を使わずに直接計算しようとすると、1回目と2回目に出る球の色(赤赤、赤白、白赤、白白)で場合分けをする必要があり、計算が煩雑になる。 具体的には、以下のような計算を行うことになる。
$$ \begin{aligned} P(Y \mid A_k) &= \frac{k}{N} \cdot \frac{k-1}{N-1} \cdot \frac{k-2}{N-2} + \frac{k}{N} \cdot \frac{N-k}{N-1} \cdot \frac{k-1}{N-2} \\ &\quad + \frac{N-k}{N} \cdot \frac{k}{N-1} \cdot \frac{k-1}{N-2} + \frac{N-k}{N} \cdot \frac{N-k-1}{N-1} \cdot \frac{k}{N-2} \\ &= \frac{k}{N(N-1)(N-2)} \{ (k-1)(k-2) + 2(N-k)(k-1) + (N-k)(N-k-1) \} \\ &= \frac{k}{N(N-1)(N-2)} (N-1)(N-2) \\ &= \frac{k}{N} \end{aligned} $$
計算量が増え、ミスを誘発しやすいため、「どの順番で引いても当たる確率は同じ」という事実を積極的に活用したい。
答え
(1)
$$ \frac{(N+1)(2N+1)}{6N^2} $$
(2)
$$ \frac{N+1}{2N} $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











