大阪大学 2006年 理系 第2問 解説

方針・初手
直線 $l, l'$ と直線 $m$ の交点 $P, P'$ の座標を媒介変数を用いて設定し、点 $A$ を通る条件から媒介変数間の関係式を導く。その後、与えられたベクトル方程式から点 $Q$ の座標を媒介変数で表し、媒介変数を消去して軌跡の方程式を求める。 また、点 $A$ を通る直線 $m$ の方程式を文字を用いて設定し、$l, l'$ との交点 $P, P'$ を求めてから $Q$ の座標を計算する方針も有効である。
解法1
直線 $l: y = x$ 上の点 $P$ の座標を $(p, p)$、直線 $l': y = -x$ 上の点 $P'$ の座標を $(q, -q)$ とおく。 点 $A(a, b)$ は $l, l'$ のどちらの上にもないので、$b \neq a$ かつ $b \neq -a$、すなわち $a^2 \neq b^2$ である。
点 $A, P, P'$ は同一直線 $m$ 上にある。ここで、点 $A$ は $l, l'$ 上にないため、$P \neq A$ かつ $P' \neq A$ である。 したがって、$\overrightarrow{AP}$ と $\overrightarrow{AP'}$ は平行であり、$\overrightarrow{AP} = (p-a, p-b)$、$\overrightarrow{AP'} = (q-a, -q-b)$ より、
$$ (p-a)(-q-b) - (p-b)(q-a) = 0 $$
が成り立つ。これを展開して整理する。
$$ -(pq + pb - aq - ab) - (pq - pa - bq + ab) = 0 $$
$$ -2pq + (a-b)p + (a+b)q = 0 \quad \cdots \text{(1)} $$
次に、点 $Q$ の座標を $(X, Y)$ とおく。 与えられた条件 $\overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OP'} = \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{OQ}$ より、
$$ \overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OP'} - \overrightarrow{OA} $$
成分で表すと、
$$ (X, Y) = (p, p) + (q, -q) - (a, b) = (p+q-a, p-q-b) $$
これより、以下の連立方程式を得る。
$$ \begin{cases} X + a = p + q \\ Y + b = p - q \end{cases} $$
これを $p, q$ について解くと、
$$ p = \frac{X+Y+a+b}{2}, \quad q = \frac{X-Y+a-b}{2} $$
これらを (1) 式に代入する。
$$ -2 \left( \frac{X+Y+a+b}{2} \right) \left( \frac{X-Y+a-b}{2} \right) + (a-b) \frac{X+Y+a+b}{2} + (a+b) \frac{X-Y+a-b}{2} = 0 $$
両辺を 2 倍して展開する。
$$ -(X+Y+a+b)(X-Y+a-b) + (a-b)(X+Y+a+b) + (a+b)(X-Y+a-b) = 0 $$
第1項は次のように計算できる。
$$ - \{ (X+a) + (Y+b) \} \{ (X+a) - (Y+b) \} = - \{ (X+a)^2 - (Y+b)^2 \} = - X^2 + Y^2 - 2aX + 2bY - a^2 + b^2 $$
第2項と第3項の和は次のように計算できる。
$$ \{ (a-b) + (a+b) \} X + \{ (a-b) - (a+b) \} Y + (a-b)(a+b) + (a+b)(a-b) = 2aX - 2bY + 2(a^2 - b^2) $$
これらを足し合わせて $0$ となるため、
$$ (- X^2 + Y^2 - 2aX + 2bY - a^2 + b^2) + (2aX - 2bY + 2a^2 - 2b^2) = 0 $$
$$ -X^2 + Y^2 + a^2 - b^2 = 0 $$
$$ X^2 - Y^2 = a^2 - b^2 $$
ここで、$a^2 \neq b^2$ より $a^2 - b^2 \neq 0$ である。 したがって、点 $Q(X, Y)$ の軌跡は、直線 $y = x$ および $y = -x$、すなわち $l, l'$ を漸近線とする双曲線となる。
解法2
直線 $m$ は点 $A(a, b)$ を通るので、その方程式を
$$ u(x-a) + v(y-b) = 0 $$
とおく(ただし、$u, v$ は同時に $0$ にならない実数)。 直線 $m$ は $l, l'$ と交点を持つため、$m$ は $l, l'$ のどちらとも平行ではない。よって $u+v \neq 0$ かつ $u-v \neq 0$ である。
直線 $m$ と $l: y=x$ の交点 $P$ の $x$ 座標は、$y=x$ を代入して
$$ u(x-a) + v(x-b) = 0 \iff (u+v)x = ua+vb \iff x = \frac{ua+vb}{u+v} $$
よって、$P \left( \frac{ua+vb}{u+v}, \frac{ua+vb}{u+v} \right)$ となる。
同様に、直線 $m$ と $l': y=-x$ の交点 $P'$ の $x$ 座標は、$y=-x$ を代入して
$$ u(x-a) + v(-x-b) = 0 \iff (u-v)x = ua+vb \iff x = \frac{ua+vb}{u-v} $$
よって、$P' \left( \frac{ua+vb}{u-v}, -\frac{ua+vb}{u-v} \right)$ となる。
点 $Q(X, Y)$ は $\overrightarrow{OQ} = \overrightarrow{OP} + \overrightarrow{OP'} - \overrightarrow{OA}$ を満たすので、
$$ X = x_P + x_{P'} - a = \frac{ua+vb}{u+v} + \frac{ua+vb}{u-v} - a $$
$$ Y = y_P + y_{P'} - b = \frac{ua+vb}{u+v} - \frac{ua+vb}{u-v} - b $$
これを計算すると、
$$ \begin{aligned} X &= \frac{(ua+vb)(u-v + u+v)}{u^2-v^2} - a = \frac{2u(ua+vb) - a(u^2-v^2)}{u^2-v^2} = \frac{au^2 + 2buv + av^2}{u^2-v^2} \\ Y &= \frac{(ua+vb)(u-v - (u+v))}{u^2-v^2} - b = \frac{-2v(ua+vb) - b(u^2-v^2)}{u^2-v^2} = \frac{-bu^2 - 2auv - bv^2}{u^2-v^2} \end{aligned} $$
軌跡の方程式を求めるため、$X+Y$ と $X-Y$ を計算する。
$$ X+Y = \frac{(a-b)u^2 + 2(b-a)uv + (a-b)v^2}{u^2-v^2} = \frac{(a-b)(u^2-2uv+v^2)}{u^2-v^2} = \frac{(a-b)(u-v)^2}{(u+v)(u-v)} = \frac{(a-b)(u-v)}{u+v} $$
$$ X-Y = \frac{(a+b)u^2 + 2(a+b)uv + (a+b)v^2}{u^2-v^2} = \frac{(a+b)(u^2+2uv+v^2)}{u^2-v^2} = \frac{(a+b)(u+v)^2}{(u+v)(u-v)} = \frac{(a+b)(u+v)}{u-v} $$
辺々を掛け合わせると、媒介変数 $u, v$ が消去される。
$$ (X+Y)(X-Y) = (a-b)(a+b) $$
$$ X^2 - Y^2 = a^2 - b^2 $$
点 $A$ は $l, l'$ 上にないため $a^2 \neq b^2$ であり、これは $l, l'$ を漸近線とする双曲線を表す。
解説
ベクトル方程式で与えられた点 $Q$ の軌跡を求める問題である。 直線を固定せず動かす問題では、適切な媒介変数を設定し、それを消去して $X, Y$ の関係式を導くのが定石である。 解法1のように交点の座標を文字で置く方法と、解法2のように直線を文字で置く方法があるが、いずれも計算を工夫することで簡潔に結論を導くことができる。 特に解法2において $X+Y$ と $X-Y$ を計算するアプローチは、双曲線の漸近線が $y=x$ と $y=-x$ であること(すなわち、座標軸を $45^\circ$ 回転させた座標系を考えること)と本質的に同じであり、見通しが良い。 なお、直線 $m$ が存在可能な条件から軌跡の除外点が生まれるか検討する必要があるが、本問で得られた双曲線上の点のうち $X+Y=0$ または $X-Y=0$ を満たす点は存在しないため、結果として除外点は生じず、双曲線全体を描く。
答え
点 $Q(X, Y)$ の満たす方程式は $X^2 - Y^2 = a^2 - b^2$ であり、$A(a,b)$ が $l, l'$ 上にないことから $a^2 - b^2 \neq 0$ となるため、その軌跡は直線 $l, l'$ を漸近線とする双曲線となる。(証明終)
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