トップ 大阪大学 2009年 理系 第1問

大阪大学 2009年 理系 第1問 解説

数学2/図形と式数学B/数列数学2/微分法テーマ/漸化式テーマ/面積・体積
大阪大学 2009年 理系 第1問 解説

方針・初手

直線 $A_k A_{k+1}$ の傾きと、点 $A_{k+2}$ における接線の傾きをそれぞれ立式し、等置することで $a_k, a_{k+1}, a_{k+2}$ の関係式(漸化式)を導く。放物線上の3点からなる三角形の面積 $T_k$ は、座標を用いた三角形の面積公式やベクトルを用いて計算し、$x$ 座標の差のみで表現できることを利用する。最後に $S$ を $\frac{1}{6}$ 公式によって求め、$T_1$ との関係を明らかにして無限等比級数を計算する。

解法1

(1)

$y = x^2$ より、微分して $y' = 2x$ となる。 点 $A_{k+2}(a_{k+2}, a_{k+2}^2)$ における接線の傾きは $2a_{k+2}$ である。

一方、直線 $A_k A_{k+1}$ の傾きは、$a_{k+1} \neq a_k$ を前提とすると(後述のようにこれは常に満たされる)、

$$ \frac{a_{k+1}^2 - a_k^2}{a_{k+1} - a_k} = a_{k+1} + a_k $$

となる。これらが平行であるから、

$$ 2a_{k+2} = a_{k+1} + a_k $$

すなわち

$$ a_{k+2} = \frac{a_k + a_{k+1}}{2} $$

が成り立つ。これより、$a_{k+2}$ は $a_k$ と $a_{k+1}$ の中点であることがわかる。

この漸化式を変形すると、

$$ a_{k+2} - a_{k+1} = -\frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) $$

となる。条件 $a_1 < a_2$ より $a_2 - a_1 > 0$ であるから、すべての自然数 $k$ について $a_{k+1} - a_k \neq 0$ となり、直線の傾きは常に定義される。

次に、三角形 $A_k A_{k+1} A_{k+2}$ の面積 $T_k$ を求める。 $\vec{A_k A_{k+1}} = (a_{k+1} - a_k, a_{k+1}^2 - a_k^2)$、$\vec{A_k A_{k+2}} = (a_{k+2} - a_k, a_{k+2}^2 - a_k^2)$ より、

$$ T_k = \frac{1}{2} | (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2}^2 - a_k^2) - (a_{k+2} - a_k)(a_{k+1}^2 - a_k^2) | $$

絶対値の中を因数分解する。

$$ (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2}^2 - a_k^2) - (a_{k+2} - a_k)(a_{k+1}^2 - a_k^2) $$

$$ = (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2} - a_k)(a_{k+2} + a_k) - (a_{k+2} - a_k)(a_{k+1} - a_k)(a_{k+1} + a_k) $$

$$ = (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2} - a_k) \{ (a_{k+2} + a_k) - (a_{k+1} + a_k) \} $$

$$ = (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2} - a_k)(a_{k+2} - a_{k+1}) $$

したがって、面積 $T_k$ は

$$ T_k = \frac{1}{2} | (a_{k+1} - a_k)(a_{k+2} - a_{k+1})(a_{k+2} - a_k) | $$

と表せる。

ここで、$a_{k+2} = \frac{a_k + a_{k+1}}{2}$ より

$$ a_{k+2} - a_{k+1} = -\frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) $$

$$ a_{k+2} - a_k = \frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) $$

であるから、これらを代入して

$$ T_k = \frac{1}{2} \left| (a_{k+1} - a_k) \cdot \left( -\frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) \right) \cdot \frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) \right| $$

$$ T_k = \frac{1}{8} |a_{k+1} - a_k|^3 $$

を得る。

番号を1つ進めると、$T_{k+1}$ は

$$ T_{k+1} = \frac{1}{8} |a_{k+2} - a_{k+1}|^3 $$

となる。$a_{k+2} - a_{k+1} = -\frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k)$ を用いると、

$$ T_{k+1} = \frac{1}{8} \left| -\frac{1}{2}(a_{k+1} - a_k) \right|^3 = \frac{1}{8} \cdot \frac{1}{8} |a_{k+1} - a_k|^3 = \frac{1}{8} T_k $$

となる。 よって、

$$ \frac{T_{k+1}}{T_k} = \frac{1}{8} $$

である。

(2)

直線 $A_1 A_2$ の方程式は、傾きが $a_1 + a_2$、点 $(a_1, a_1^2)$ を通ることから

$$ y - a_1^2 = (a_1 + a_2)(x - a_1) $$

$$ y = (a_1 + a_2)x - a_1 a_2 $$

となる。

放物線 $C$ とこの直線で囲まれた部分の面積 $S$ は、$a_1 < a_2$ であることに注意して定積分を行うと

$$ S = \int_{a_1}^{a_2} \{ (a_1 + a_2)x - a_1 a_2 - x^2 \} dx $$

$$ S = -\int_{a_1}^{a_2} (x - a_1)(x - a_2) dx $$

$$ S = \frac{1}{6} (a_2 - a_1)^3 $$

と計算できる。

一方、(1) で求めた $T_k$ の式より、$T_1$ は $a_1 < a_2$ を考慮して

$$ T_1 = \frac{1}{8} |a_2 - a_1|^3 = \frac{1}{8} (a_2 - a_1)^3 $$

となる。 これと $S$ の式を比較すると、$(a_2 - a_1)^3 = 6S$ であるから

$$ T_1 = \frac{1}{8} \cdot 6S = \frac{3}{4} S $$

であることがわかる。

数列 $\{T_k\}$ は、初項 $T_1 = \frac{3}{4} S$、公比 $\frac{1}{8}$ の等比数列である。 したがって、初項から第 $n$ 項までの和は

$$ \sum_{k=1}^n T_k = \frac{\frac{3}{4}S \left( 1 - \left(\frac{1}{8}\right)^n \right)}{1 - \frac{1}{8}} = \frac{6}{7} S \left( 1 - \frac{1}{8^n} \right) $$

となる。 $n \to \infty$ のとき $\frac{1}{8^n} \to 0$ であるから、

$$ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n T_k = \frac{6}{7} S $$

となる。

解説

放物線における「割線と接線が平行になる点は、割線の両端の $x$ 座標の中点になる」という有名な性質を背景にした問題である。この事実を知っていれば、漸化式 $a_{k+2} = \frac{a_k + a_{k+1}}{2}$ は計算前から予想がつく。

また、放物線上の3点で作られる三角形の面積が $x$ 座標の差の積を用いて $\frac{1}{2}|(\alpha-\beta)(\beta-\gamma)(\gamma-\alpha)|$ の形で表せることを活用すると、無用な展開計算を避けて簡潔に $T_k$ を導出できる。

この問題の図形的な背景は「アルキメデスの取り尽くし法」に関連している。放物線の弓形の面積 $S$ は、それに内接する最大の三角形 $T_1$ に対して $S = \frac{4}{3} T_1$ を満たす。しかし、本問の無限級数は弓形全体を埋め尽くすような三角形のとり方($T_1 + 2T_2 + 4T_3 + \cdots$ のように分割していく方法)ではないため、和の極限は $S$ そのものには一致せず $\frac{6}{7}S$ になる点には注意したい。

答え

(1)

$$ \frac{T_{k+1}}{T_k} = \frac{1}{8} $$

(2)

$$ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n T_k = \frac{6}{7} S $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。