大阪大学 2009年 理系 第2問 解説

方針・初手
行列による1次変換が、原点中心の回転と相似縮小の合成であることを利用して、点 $P_n$ の座標を極座標形式で一般化する。その後、領域 $D_k$ の条件のうち、まず $x < 0, \ y < 0$ を満たすことから $n$ の条件を絞り込み、最後に不等式 $\sqrt{3}x + y \leqq -2^{-k}$ に代入して条件を満たす点の個数を数え上げる。
解法1
行列 $A$ は次のように変形できる。
$$ A = \frac{1}{2} \begin{pmatrix} \cos\frac{\pi}{3} & -\sin\frac{\pi}{3} \\ \sin\frac{\pi}{3} & \cos\frac{\pi}{3} \end{pmatrix} $$
これは、原点を中心として $\frac{\pi}{3}$ だけ回転させ、原点からの距離を $\frac{1}{2}$ 倍する1次変換を表す。 問題文では $P_1 = P(16\sqrt{3}, 16)$ である。 $P_1$ の極座標 $(r_1, \theta_1)$ を求めると、原点からの距離 $r_1$ は
$$ r_1 = \sqrt{(16\sqrt{3})^2 + 16^2} = \sqrt{768 + 256} = \sqrt{1024} = 32 = 2^5 $$
であり、偏角 $\theta_1$ は
$$ \cos\theta_1 = \frac{16\sqrt{3}}{32} = \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad \sin\theta_1 = \frac{16}{32} = \frac{1}{2} $$
より、$\theta_1 = \frac{\pi}{6}$ と表せる。 $P_n$ は $P_1$ に $A$ による変換を $n-1$ 回行った点であるため、その極座標 $(r_n, \theta_n)$ は、
$$ r_n = 32 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1} = 2^{6-n} $$
$$ \theta_n = \frac{\pi}{6} + (n-1) \cdot \frac{\pi}{3} = \frac{2n-1}{6}\pi $$
となる。よって、$P_n$ の座標 $(x_n, y_n)$ は、
$$ x_n = 2^{6-n} \cos\frac{2n-1}{6}\pi, \quad y_n = 2^{6-n} \sin\frac{2n-1}{6}\pi $$
と表される。 次に、$P_n$ が領域 $D_k$ に含まれるための条件を考える。 $D_k$ の条件は $x < 0, \ y < 0, \ \sqrt{3}x + y \leqq -2^{-k}$ である。
まず、$x_n < 0$ かつ $y_n < 0$ を満たす $n$ について考える。 これは $\theta_n$ が第3象限の角であること、すなわち整数 $m$ を用いて
$$ \pi + 2m\pi < \frac{2n-1}{6}\pi < \frac{3}{2}\pi + 2m\pi $$
$$ 6 + 12m < 2n-1 < 9 + 12m $$
$$ 7 + 12m < 2n < 10 + 12m $$
を満たすことと同値である。 $2n$ は偶数であるため、これを満たすのは $2n = 8 + 12m$ のみである。 すなわち、$n = 6m+4$ ($m \geqq 0$ の整数) のときに限られる。 このとき、$\theta_{6m+4} = \frac{12m+7}{6}\pi = 2m\pi + \frac{7}{6}\pi$ であるから、
$$ \cos\theta_{6m+4} = -\frac{\sqrt{3}}{2}, \quad \sin\theta_{6m+4} = -\frac{1}{2} $$
となる。したがって $P_{6m+4}$ の座標は、
$$ x_{6m+4} = 2^{6-(6m+4)} \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right) = -\sqrt{3} \cdot 2^{1-6m} $$
$$ y_{6m+4} = 2^{6-(6m+4)} \left(-\frac{1}{2}\right) = -2^{1-6m} $$
となる。 さらに、これらが残りの不等式 $\sqrt{3}x + y \leqq -2^{-k}$ を満たす条件を求める。
$$ \sqrt{3} \left( -\sqrt{3} \cdot 2^{1-6m} \right) + \left( -2^{1-6m} \right) \leqq -2^{-k} $$
$$ -3 \cdot 2^{1-6m} - 2^{1-6m} \leqq -2^{-k} $$
$$ -4 \cdot 2^{1-6m} \leqq -2^{-k} $$
$$ -2^2 \cdot 2^{1-6m} \leqq -2^{-k} $$
$$ -2^{3-6m} \leqq -2^{-k} $$
両辺に $-1$ を掛け、大小関係を逆転させると、
$$ 2^{3-6m} \geqq 2^{-k} $$
底 $2$ は $1$ より大きいため、指数の大小関係はそのまま保たれ、
$$ 3 - 6m \geqq -k $$
$$ 6m \leqq k+3 $$
$$ m \leqq \frac{k+3}{6} $$
となる。 $m$ は $0$ 以上の整数であるから、求める $P_n$ の個数は、不等式 $0 \leqq m \leqq \frac{k+3}{6}$ を満たす整数 $m$ の個数に等しい。
実数 $x$ を超えない最大の整数を $[x]$ で表すと、条件を満たす最大の整数 $m$ は $\left[ \frac{k+3}{6} \right]$ である。 $m$ は $0$ から始まるため、個数は $\left[ \frac{k+3}{6} \right] + 1$ 個となる。
解説
1次変換の表す図形的意味(回転と拡大・縮小)を読み取り、点を極座標で追跡する典型的な問題である。条件 $x<0, \ y<0$ により、$n$ の値が6ごとの周期で等差数列状に絞られることに気づくのが最大のポイントである。最後に条件を満たす整数の個数を数える際、ガウス記号(床関数)を用いると答えが簡潔に表現できるが、ガウス記号を用いずに $k$ を $6$ で割った余りで場合分けして解答しても正解となる。
答え
実数 $x$ を超えない最大の整数を $[x]$ で表すとき、 $\left[ \frac{k+3}{6} \right] + 1$ (個)
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