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北海道大学 2010年 文系 第1問 解説

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北海道大学 2010年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) では、一方の放物線上の点における接線の方程式を文字を用いて表し、それがもう一方の放物線にも接するという条件(判別式 $D=0$)から、設定した文字の値を決定します。

(2) では、2つの放物線の交点と、直線 $l$ とそれぞれの放物線の接点の $x$ 座標を求めます。その後、積分区間を分けて定積分を計算し面積を求めます。被積分関数が $(x-\alpha)^2$ の形になることを利用して計算を簡略化します。

解法1

(1)

放物線 $C_1 : y = x^2$ について、$y' = 2x$ である。

$C_1$ 上の点 $(t, t^2)$ における接線の方程式は、

$$ y - t^2 = 2t(x - t) $$

整理して、

$$ y = 2tx - t^2 \cdots ① $$

これが直線 $l$ であり、放物線 $C_2 : y = x^2 - 4ax + 4a$ にも接する。

①の右辺を $C_2$ の方程式の $y$ に代入して、

$$ 2tx - t^2 = x^2 - 4ax + 4a $$

整理すると、

$$ x^2 - 2(t + 2a)x + t^2 + 4a = 0 \cdots ② $$

直線 $l$ は $C_2$ に接するので、この $x$ についての2次方程式②は重解をもつ。

②の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ であるから、

$$ \frac{D}{4} = (t + 2a)^2 - (t^2 + 4a) = 0 $$

展開して整理すると、

$$ t^2 + 4at + 4a^2 - t^2 - 4a = 0 $$

$$ 4a(t + a - 1) = 0 $$

条件より $a > 0$ であるから、$t + a - 1 = 0$ となり、

$$ t = 1 - a $$

これを①に代入して、直線 $l$ の方程式は、

$$ y = 2(1 - a)x - (1 - a)^2 $$

(2)

まず、$C_1$ と $C_2$ の交点の $x$ 座標を求める。

$$ x^2 = x^2 - 4ax + 4a $$

$$ 4a(x - 1) = 0 $$

$a > 0$ より、交点の $x$ 座標は $x = 1$ である。

次に、$C_1$ と $l$ の接点の $x$ 座標は $t = 1 - a$ である。

また、$C_2$ と $l$ の接点の $x$ 座標は、方程式②の重解であるから、

$$ x = t + 2a = (1 - a) + 2a = 1 + a $$

$a > 0$ であるため、これら3つの $x$ 座標の大小関係は以下のようになる。

$$ 1 - a < 1 < 1 + a $$

したがって、求める面積 $S$ は、$1 - a \leqq x \leqq 1$ の区間では $C_1$ と $l$ の差を、$1 \leqq x \leqq 1 + a$ の区間では $C_2$ と $l$ の差をそれぞれ積分して足し合わせたものになる。

$$ S = \int_{1-a}^{1} \{x^2 - (2(1 - a)x - (1 - a)^2)\} dx + \int_{1}^{1+a} \{(x^2 - 4ax + 4a) - (2(1 - a)x - (1 - a)^2)\} dx $$

放物線と接線の差は $(x - (\text{接点の } x \text{ 座標}))^2$ の形になるので、被積分関数はそれぞれ次のように変形できる。

$$ S = \int_{1-a}^{1} (x - (1 - a))^2 dx + \int_{1}^{1+a} (x - (1 + a))^2 dx $$

定積分を計算する。

$$ S = \left[ \frac{1}{3} (x - (1 - a))^3 \right]_{1-a}^{1} + \left[ \frac{1}{3} (x - (1 + a))^3 \right]_{1}^{1+a} $$

$$ S = \frac{1}{3} \{ (1 - (1 - a))^3 - 0 \} + \frac{1}{3} \{ 0 - (1 - (1 + a))^3 \} $$

$$ S = \frac{1}{3} a^3 - \frac{1}{3} (-a)^3 $$

$$ S = \frac{1}{3} a^3 + \frac{1}{3} a^3 = \frac{2}{3} a^3 $$

解法2

(2) の別解

$C_1$、$C_2$ の $x^2$ の係数はともに $1$ である。

$x^2$ の係数が等しい2つの放物線とその共通接線で囲まれた図形の面積において、2つの接点の $x$ 座標を $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ とすると、面積 $S$ は次のように求められることが知られている。(ここで $x^2$ の係数を $p$ とする)

$$ S = \frac{|p|}{12} (\beta - \alpha)^3 $$

(1) の結果より、2つの接点の $x$ 座標は $\alpha = 1 - a, \ \beta = 1 + a$ である。

また、2つの放物線の $x^2$ の係数は $p = 1$ である。

これらを公式に代入すると、

$$ S = \frac{1}{12} \{ (1 + a) - (1 - a) \}^3 $$

$$ S = \frac{1}{12} (2a)^3 $$

$$ S = \frac{8a^3}{12} = \frac{2}{3}a^3 $$

解説

2つの放物線の共通接線と、それらによって囲まれる面積を求める標準的な問題です。

(1) の共通接線の方程式は、一方の放物線の接線を設定し、それがもう一方の放物線と重解をもつ(判別式 $D=0$)というアプローチが最も計算の見通しが良いです。両方の放物線上の接点をそれぞれ設定して傾きと $y$ 切片を比較する方法もありますが、文字が多くなり計算が煩雑になる傾向があります。

(2) の面積計算では、接線と放物線で囲まれた部分の積分であるため、被積分関数が $(x - \alpha)^2$ の形にまとまることを利用して計算の負担を減らすのが定石です。展開してから積分すると計算ミスを誘発しやすくなります。

また、解法2で示したように「合同な2つの放物線とその共通接線で囲まれた面積」については $\frac{1}{12}$ 公式が存在します。穴埋め問題や検算ツールとして非常に有用なので、導出過程も含めて理解しておくと良いでしょう。

答え

(1)

$$ y = 2(1 - a)x - (1 - a)^2 $$

(2)

$$ \frac{2}{3}a^3 $$

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