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大阪大学 2014年 理系 第1問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトル数学2/図形と式テーマ/場合分けテーマ/存在証明
大阪大学 2014年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられたベクトル方程式を成分表示に書き換え、$s, t$ についての連立1次方程式に帰着させる。この方程式が実数解 $s, t$ を持つための条件を、係数行列の行列式にあたる $ad - bc$ の値で場合分けして調べる。 または、ベクトルの1次独立・1次従属の考え方を用いて、幾何学的な位置関係から条件を導くこともできる。

解法1

$\overrightarrow{OA} = (a, b)$, $\overrightarrow{OB} = (c, d)$, $\overrightarrow{OC} = (e, 0)$ より、ベクトル方程式 $s\overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{OB} = \overrightarrow{OC}$ は成分を用いて次のように表される。

$$ s \begin{pmatrix} a \\ b \end{pmatrix} + t \begin{pmatrix} c \\ d \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} e \\ 0 \end{pmatrix} $$

これを成分ごとに比較すると、以下の $s, t$ についての連立方程式を得る。

$$ \begin{cases} sa + tc = e & \cdots (1) \\ sb + td = 0 & \cdots (2) \end{cases} $$

この連立方程式が実数解 $(s, t)$ を持つ条件を考える。

(i)

$ad - bc \neq 0$ のとき

(1)

$\times d -$ (2) $\times c$ より

$$ (ad - bc)s = ed $$

(2)

$\times a -$ (1) $\times b$ より

$$ (ad - bc)t = -eb $$

$ad - bc \neq 0$ であるから、

$$ s = \frac{ed}{ad - bc}, \quad t = \frac{-eb}{ad - bc} $$

と一意に解が定まる。したがって、任意の $e$ に対して条件を満たす実数 $s, t$ が存在する。

(ii)

$ad - bc = 0$ のとき

点 $A, B$ は原点とは異なる点であるから、$(a, b) \neq (0, 0)$ かつ $(c, d) \neq (0, 0)$ である。 $ad - bc = 0$ より、ベクトル $(a, b)$ と $(c, d)$ は平行であるため、ある実数 $k \neq 0$ が存在して

$$ (c, d) = (ka, kb) $$

と表すことができる。これを (1), (2) に代入すると、

$$ \begin{cases} a(s + tk) = e \\ b(s + tk) = 0 \end{cases} $$

となる。ここで $u = s + tk$ とおくと、実数 $s, t$ が存在することは、実数 $u$ が存在して以下の式を満たすことと同値である。

$$ \begin{cases} au = e \\ bu = 0 \end{cases} $$

これを $b$ の値によってさらに場合分けする。

(ア)

$b \neq 0$ のとき

$bu = 0$ より $u = 0$ である。これを $au = e$ に代入すると $e = 0$ となる。 逆に $e = 0$ のとき、$u = 0$ とすれば両方の式を満たす。

(イ)

$b = 0$ のとき

$(a, b) \neq (0, 0)$ であるから、$b = 0$ より $a \neq 0$ である。 このとき $bu = 0$ は任意の $u$ で成り立ち、$au = e$ から $u = \frac{e}{a}$ と定まる。したがって、$e$ は任意の実数でよい。

以上より、(ii) において解が存在する条件は「$b \neq 0$ かつ $e = 0$」または「$b = 0$」となる。これをまとめると「$b = 0$ または $e = 0$」である。 ここで、$ad - bc = 0$ かつ $b = 0$ のとき、$a \neq 0$ であるから $d = 0$ が導かれる。対称に、$d = 0$ のときも $b = 0$ となるため、「$b = 0$」という条件は $A, B$ の対称性を考慮して「$b = d = 0$」と表すことができる。

(i), (ii) を合わせると、求める必要十分条件は「$ad - bc \neq 0$」または「$b = d = 0$」または「$e = 0$」となる。

解法2

$s \overrightarrow{OA} + t \overrightarrow{OB} = \overrightarrow{OC}$ を満たす $s, t$ が存在する条件は、ベクトル $\overrightarrow{OC}$ が $\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ の張る空間に含まれることである。

(i)

$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ が1次独立のとき

$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ が平行でないための条件は $ad - bc \neq 0$ である。 このとき、これら2つのベクトルは座標平面全体を張るため、任意の $\overrightarrow{OC}$ に対して条件を満たす実数 $s, t$ が一意に存在する。

(ii)

$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ が1次従属のとき

$\overrightarrow{OA} \parallel \overrightarrow{OB}$ となるための条件は $ad - bc = 0$ である。 点 $A, B$ は原点ではないため、$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ の張る空間は原点を通る直線 $OA$ となる。したがって、点 $C(e, 0)$ が直線 $OA$ 上にあることが条件となる。

(ア) 直線 $OA$ が $x$ 軸と一致しないとき

直線 $OA$ と $x$ 軸との交点は原点 $(0,0)$ のみである。点 $C$ は $x$ 軸上の点であるから、点 $C$ が直線 $OA$ 上にあるためには、点 $C$ が原点に一致しなければならない。すなわち $e = 0$ である。

(イ) 直線 $OA$ が $x$ 軸と一致するとき

点 $A, B$ は $x$ 軸上にあるので、$b = 0$ かつ $d = 0$ である。(すなわち $b = d = 0$) このとき直線 $OA$ は $x$ 軸全体を表すため、$x$ 軸上の任意の点 $C(e, 0)$ はこの直線上に存在する。よって $e$ は任意でよい。

以上より、求める条件は「$ad - bc \neq 0$」または「$b = d = 0$」または「$e = 0$」となる。

解説

2つのベクトルの1次結合 $s\vec{a} + t\vec{b}$ が表す点の集合(張る空間)を考える問題である。 基本的には連立方程式を立てて解が存在する条件を調べる代数的なアプローチか、ベクトルの1次独立・1次従属による幾何学的なアプローチのいずれかで解くことができる。 いずれの方針をとるにしても、$ad - bc = 0$(すなわち $\vec{a} \parallel \vec{b}$)となる例外的なケースにおいて、さらに直線が $x$ 軸と一致するかどうかで場合分けが必要になる点がポイントである。

答え

$ad - bc \neq 0$ または $b = d = 0$ または $e = 0$

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