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大阪大学 2023年 理系 第3問 解説

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大阪大学 2023年 理系 第3問 解説

方針・初手

曲線 $y = \cos x$ 上の点 $(t, \cos t)$ における接線の方程式を求め、それが点 $P(a, b)$ を通るという条件を $t$ の方程式として立式する。接線の本数 $N(P)$ は、定義域 $-\pi \leqq t \leqq \pi$ におけるこの方程式の異なる実数解の個数に一致するため、関数の増減を調べて解が4個となる条件を求める。

解法1

曲線 $y = \cos x$ について $y' = -\sin x$ であるから、曲線上の点 $(t, \cos t)$ における接線の方程式は

$$ y - \cos t = -\sin t \cdot (x - t) $$

$$ y = -x\sin t + t\sin t + \cos t $$

この接線が点 $P(a, b)$ を通るので

$$ b = -a\sin t + t\sin t + \cos t $$

$$ b = (t - a)\sin t + \cos t $$

$-\pi \leqq t \leqq \pi$ の範囲にある実数 $t$ のうち、この条件をみたすものが4個あるような $(a, b)$ の条件を求める。

$$ f(t) = (t - a)\sin t + \cos t $$

とおくと、$N(P) = 4$ となる条件は、$y = f(t)$ のグラフと直線 $y = b$ が $-\pi \leqq t \leqq \pi$ において異なる4つの共有点をもつことである。

$f(t)$ の導関数は

$$ f'(t) = \sin t + (t - a)\cos t - \sin t = (t - a)\cos t $$

$f'(t) = 0$ となるのは、$t = a$ または $\cos t = 0$ のときである。$-\pi \leqq t \leqq \pi$ において $\cos t = 0$ となるのは $t = \pm\frac{\pi}{2}$ である。 $a$ は $0 < a < \pi$ を満たす定数であるため、$a$ と $\pm\frac{\pi}{2}$ の大小関係によって増減表の形が変わる。以下、場合分けを行う。

(i) $0 < a < \frac{\pi}{2}$ のとき

$t = -\frac{\pi}{2}, a, \frac{\pi}{2}$ の順に極値をとる。区間ごとの $f'(t)$ の符号は以下のようになる。

したがって、$f(t)$ は $t = -\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}$ で極大、$t = a$ で極小となる。各極値および端点の値は次の通りである。

$$ f(-\pi) = -1 $$

$$ f\left(-\frac{\pi}{2}\right) = \left(-\frac{\pi}{2} - a\right)(-1) + 0 = a + \frac{\pi}{2} $$

$$ f(a) = \cos a $$

$$ f\left(\frac{\pi}{2}\right) = \left(\frac{\pi}{2} - a\right) \cdot 1 + 0 = \frac{\pi}{2} - a $$

$$ f(\pi) = -1 $$

ここで、極小値 $\cos a$ と極大値 $\frac{\pi}{2} - a$ の大小を比較する。 $g(a) = \cos a + a - \frac{\pi}{2}$ とおくと、$g'(a) = 1 - \sin a > 0$ より $g(a)$ は単調増加である。$g\left(\frac{\pi}{2}\right) = 0$ であるから、$0 < a < \frac{\pi}{2}$ において $g(a) < 0$ となり、$\cos a < \frac{\pi}{2} - a$ が成り立つ。 よって、極値の大小関係は $f(a) < f\left(\frac{\pi}{2}\right) < f\left(-\frac{\pi}{2}\right)$ となる。 $y=f(t)$ と $y=b$ が4点で交わるのは、$b$ が極小値と小さい方の極大値の間にあるときであるから、

$$ \cos a < b < \frac{\pi}{2} - a $$

(ii) $a = \frac{\pi}{2}$ のとき

$f'(t) = \left(t - \frac{\pi}{2}\right)\cos t$ となり、$t = \frac{\pi}{2}$ の前後で $f'(t)$ の符号は負のままで変化しない。極大値となるのは $t = -\frac{\pi}{2}$ のみであり、グラフは単峰性となるため、$y = b$ と最大でも2点でしか交わらない。よって、$N(P) = 4$ となる $b$ は存在しない。

(iii) $\frac{\pi}{2} < a < \pi$ のとき

$t = -\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}, a$ の順に極値をとる。区間ごとの $f'(t)$ の符号を調べると以下のようになる。

したがって、$f(t)$ は $t = -\frac{\pi}{2}, a$ で極大、$t = \frac{\pi}{2}$ で極小となる。各極値および端点の値は次の通りである。

$$ f(-\pi) = -1 $$

$$ f\left(-\frac{\pi}{2}\right) = a + \frac{\pi}{2} $$

$$ f\left(\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{2} - a $$

$$ f(a) = \cos a $$

$$ f(\pi) = -1 $$

ここでも極値の比較をする。(i) と同様に考えると、$a > \frac{\pi}{2}$ においては $g(a) > 0$ となるため、$\frac{\pi}{2} - a < \cos a$ が成り立つ。 $y=f(t)$ と $y=b$ が4点で交わるためには、極小値 $f\left(\frac{\pi}{2}\right)$ と端点 $f(\pm\pi)$ の大小関係によってさらに場合分けが必要になる。

(ア) $\frac{\pi}{2} < a < \frac{\pi}{2} + 1$ のとき $\frac{\pi}{2} - a > -1$ であり、端点の値 $-1$ の方が極小値よりも小さい。4点で交わるのは極小値と小さい方の極大値の間であるから、

$$ \frac{\pi}{2} - a < b < \cos a $$

(イ) $a = \frac{\pi}{2} + 1$ のとき $\frac{\pi}{2} - a = -1$ であり、極小値と端点の値が等しい。このとき、極小値の接線 $b = -1$ とは接点と端点で合計3点でしか交わらない。4点で交わる条件は、

$$ -1 < b < \cos a $$

(ウ) $\frac{\pi}{2} + 1 < a < \pi$ のとき $\frac{\pi}{2} - a < -1$ であり、極小値の方が端点の値よりも小さい。このとき、$b = -1$ とすると端点 $t=\pm\pi$ で2点交わり、さらに $t \in \left(-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right)$ と $t \in \left(\frac{\pi}{2}, a\right)$ の区間でも1度ずつ交わるため、合計4点で交わる。したがって、4点で交わる条件は、

$$ -1 \leqq b < \cos a $$

解説

接線の本数を数える問題では、「接線が通る点」から立式するのではなく、「接点」を変数に設定し、その接線が指定の点を通る条件を考えるのが定石である。 本問の最大の難所は $f(t)$ の増減を正しく捉え、$a$ の値によって極小値と端点の値の大小が逆転することに気づけるかどうかにある。特に、$\frac{\pi}{2}+1 < a < \pi$ のとき、端点の値である $b = -1$ のラインが境界線として「含まれる」という境界の厳密な判定が合否を分けるポイントである。

答え

点 $P(a, b)$ の存在範囲は、以下の不等式で表される領域である。

これを座標平面に図示すると、以下のようになる。(境界線については、$b = -1$ かつ $\frac{\pi}{2}+1 < a < \pi$ の線分のみを含み、それ以外のすべての境界線を含まない。)

曲線 $b = \cos a \ (0 < a < \pi)$ と直線 $b = \frac{\pi}{2} - a$ は $a = \frac{\pi}{2}$ で交わり、直線 $b = \frac{\pi}{2} - a$ と直線 $b = -1$ は $a = \frac{\pi}{2} + 1$ で交わる。領域はこれらのグラフに囲まれた内側の部分である。

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