東北大学 1963年 文系 第6問 解説

方針・初手
与えられた方程式は実数係数であるため、虚数解をもつということは「実数解をただ1つだけもち、それが重解ではない」ことと同値である。 まずは最高次の係数に文字が含まれているため $a=0$ と $a \neq 0$ の場合分けを行い、$a \neq 0$ の場合は3次関数のグラフと $x$ 軸の共有点の個数、あるいは定数分離を用いて条件を求める。
解法1
関数 $f(x) = a^3 x^3 - 3bx + 1$ とおく。方程式 $f(x) = 0$ が虚数解をもつための条件は、この方程式が実数解をただ1つだけもつことである。
(i) $a = 0$ のとき
方程式は $-3bx + 1 = 0$ となる。 これは1次以下の方程式であり、虚数解をもつことはない($b=0$ のとき解なし、$b \neq 0$ のとき実数解を1つもつ)。 よって、$a=0$ は条件を満たさない。
(ii) $a \neq 0$ のとき
$f(x)$ は3次関数であり、微分すると以下のようになる。
$$f'(x) = 3a^3 x^2 - 3b = 3(a^3 x^2 - b)$$
$f'(x) = 0$ とすると、$a^3 x^2 = b$ すなわち $x^2 = \frac{b}{a^3}$ となる。
(ア) $\frac{b}{a^3} \le 0$ のとき
すなわち $ab \le 0$ のとき、$f'(x)$ の符号は常に $0$ 以上または常に $0$ 以下となり、$f(x)$ は単調に増加または減少する。 このとき、方程式 $f(x) = 0$ は実数解を1つだけもつため、条件を満たす。
(イ) $\frac{b}{a^3} > 0$ のとき
すなわち $ab > 0$ のとき、$f'(x) = 0$ は $x = \pm \sqrt{\frac{b}{a^3}}$ という2つの異なる実数解をもつ。 $f(x)$ はこれらの $x$ の値で極大値と極小値をもつ。 方程式 $f(x) = 0$ が実数解を1つだけもつ条件は、(極大値) $\times$ (極小値) $> 0$ となることである。 極値をとる $x$ に対しては $a^3 x^2 = b$ が成り立つため、$f(x)$ を以下のように変形できる。
$$f(x) = x(a^3 x^2 - 3b) + 1 = x(b - 3b) + 1 = -2bx + 1$$
よって、2つの極値の積は次のように計算できる。
$$\left( -2b \sqrt{\frac{b}{a^3}} + 1 \right) \left( 2b \sqrt{\frac{b}{a^3}} + 1 \right) = 1 - 4b^2 \cdot \frac{b}{a^3} = 1 - \frac{4b^3}{a^3}$$
これが正であればよいので、
$$1 - \frac{4b^3}{a^3} > 0$$
$$\frac{a^3 - 4b^3}{a^3} > 0$$
$a^3$ の符号によって場合分けをする。
$a > 0$ のとき($ab>0$ より $b > 0$ でもある)、$a^3 - 4b^3 > 0$ となり $b^3 < \frac{a^3}{4}$ を得る。よって $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
$a < 0$ のとき($ab>0$ より $b < 0$ でもある)、$a^3 - 4b^3 < 0$ となり $b^3 > \frac{a^3}{4}$ を得る。よって $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
(ア), (イ) の結果をまとめる。
$a > 0$ のとき、(ア) の範囲である $b \le 0$ も条件を満たすため、合わせると $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
$a < 0$ のとき、(ア) の範囲である $b \ge 0$ も条件を満たすため、合わせると $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
以上より、求める条件は $a > 0$ のとき $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$、$a < 0$ のとき $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$ となる。
解法2
方程式を変形して定数 $b$ を分離する方法で解く。
方程式 $a^3 x^3 - 3bx + 1 = 0$ において、$a=0$ のときは $-3bx + 1 = 0$ となり虚数解をもたない。よって $a \neq 0$ となる。 また $x=0$ のときは $1 = 0$ となり成り立たないため、$x \neq 0$ としてよい。 両辺を $3x$ で割ると、以下の式を得る。
$$b = \frac{a^3 x^3 + 1}{3x}$$
方程式が虚数解をもつ条件は、関数 $g(x) = \frac{a^3 x^2}{3} + \frac{1}{3x}$ のグラフと直線 $y = b$ の共有点が1つだけになることである。
$$g'(x) = \frac{2}{3}a^3 x - \frac{1}{3x^2} = \frac{2a^3 x^3 - 1}{3x^2}$$
$g'(x) = 0$ となるのは $x^3 = \frac{1}{2a^3}$ すなわち $x = \frac{1}{\sqrt[3]{2}a}$ のときである。
(i) $a > 0$ のとき
増減表を書くと、$g(x)$ は $x = \frac{1}{\sqrt[3]{2}a}$ で極小となる。 $x < 0$ の範囲では $g'(x) < 0$ より単調減少し、値域は $(-\infty, \infty)$ となる。 $x > 0$ の範囲では、$x = \frac{1}{\sqrt[3]{2}a}$ を境に減少から増加に転じ、極小値は以下のようになる。
$$g\left(\frac{1}{\sqrt[3]{2}a}\right) = \frac{a^3}{3} \cdot \frac{1}{2^{2/3} a^2} + \frac{\sqrt[3]{2}a}{3} = \frac{a}{3 \cdot 2^{2/3}} + \frac{2 \cdot 2^{-2/3}a}{3} = \frac{3a}{3 \cdot 2^{2/3}} = \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$$
共有点が1つになる条件は、直線 $y=b$ がこの極小値より下にあることである。 よって $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
(ii) $a < 0$ のとき
増減表を書くと、$g(x)$ は $x = \frac{1}{\sqrt[3]{2}a}$ で極大となる。 $x > 0$ の範囲では $g'(x) < 0$ より単調減少し、値域は $(-\infty, \infty)$ となる。 $x < 0$ の範囲では、$x = \frac{1}{\sqrt[3]{2}a}$ を境に増加から減少に転じ、極大値は (i) と同様に計算して $\frac{a}{\sqrt[3]{4}}$ となる。 共有点が1つになる条件は、直線 $y=b$ がこの極大値より上にあることである。 よって $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$。
以上から、求める条件は $a > 0$ のとき $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$、$a < 0$ のとき $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$ となる。
解説
実数係数の3次方程式が虚数解をもつ条件は、「実数解をただ1つだけもつ」と言い換えることができる。 解法1のようにそのまま微分して極値をもつ条件・もたない条件で場合分けをするか、解法2のように定数 $b$ を分離してグラフの共有点を考えるのが定石である。 解法2の方が文字 $b$ を消去して $a$ と $x$ のみの関数としてグラフの形状を追えるため、場合分けや計算が見通しやすくなる。
答え
実数 $a, b$ の間に成り立つ関係は、 $a > 0$ のとき $b < \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$ $a < 0$ のとき $b > \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$
また、点 $(a, b)$ が存在する範囲は、座標平面上で直線 $b = \frac{a}{\sqrt[3]{4}}$ を境界線として、
- $a > 0$ の範囲では、直線より下側の領域
- $a < 0$ の範囲では、直線より上側の領域 である。(ただし、境界線および $a=0$ の直線上の点は含まない)
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