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東北大学 1993年 文系 第1問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトルテーマ/存在証明
東北大学 1993年 文系 第1問 解説

方針・初手

$A^2$ を新たに $B$ とおくと、条件は

$$ BU=V,\qquad BV=U $$

となる。

ここで $U,V$ が一次独立であることに注目すると、$U,V$ を基底とする座標で見た $B$ の作用は「2つの基底ベクトルを入れ替える変換」そのものである。したがって $B$ の行列式は $-1$ になるはずであるが、一方で $B=A^2$ なので $\det B=(\det A)^2\ge 0$ である。この矛盾を示せばよい。

解法1

$B=A^2$ とおく。

すると仮定は

$$ BU=V,\qquad BV=U $$

である。

まず、$U=\begin{pmatrix}2\1\end{pmatrix},\ V=\begin{pmatrix}1\3\end{pmatrix}$ は一次独立である。実際、

$$ \det\begin{pmatrix} 2 & 1\ 1 & 3 \end{pmatrix} =6-1=5\ne 0 $$

より、$U,V$ は $\mathbb{R}^2$ の基底をなす。

したがって、基底 ${U,V}$ に関する $B$ の表現行列は

$$ \begin{pmatrix} 0 & 1\ 1 & 0 \end{pmatrix} $$

である。実際、この行列は第1列が $BU=V$、第2列が $BV=U$ を表している。

ゆえに

$$ \det B ====== \det \begin{pmatrix} 0 & 1\ 1 & 0 \end{pmatrix} =-1 $$

となる。

しかし $B=A^2$ であるから、

$$ \det B=\det(A^2)=(\det A)^2 $$

であり、右辺は実数の2乗なので

$$ (\det A)^2\ge 0 $$

でなければならない。

ところが先に $\det B=-1$ を得ているので、

$$ (\det A)^2=-1 $$

となってしまい、これは不可能である。

したがって、$A^2U=V$ と $A^2V=U$ が同時に成立することはない。

解説

この問題の核心は、$A$ 自体を直接求めようとしないことである。条件に現れているのは $A^2$ なので、$B=A^2$ とまとめてしまうのが自然である。

そのうえで、$U,V$ が基底をなすため、$B$ は「基底の交換」を行う線形変換であると分かる。基底交換の行列式は $-1$ であるが、平方行列 $A^2$ の行列式は常に $(\det A)^2$ となり負にはならない。この符号の矛盾が決定打である。

答え

$B=A^2$ とおくと、仮定より $BU=V,\ BV=U$ である。

$U,V$ は一次独立なので $\mathbb{R}^2$ の基底をなし、基底 ${U,V}$ に関する $B$ の表現行列は

$$ \begin{pmatrix} 0 & 1\ 1 & 0 \end{pmatrix} $$

である。よって

$$ \det B=-1 $$

となる。

一方、$B=A^2$ だから

$$ \det B=(\det A)^2\ge 0 $$

である。これは矛盾する。

したがって、$A^2U=V$ と $A^2V=U$ は同時には成立しない。

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